花紀行3 西表島はすでに初夏  山編

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   きょうも快晴の一日がはじまった。

   本州で暮らす人にとっては、1月にツツジの花が満開になるなんて信じられないかも知れないが、亜熱帯気候

   に属する西表島では、すでに1月に山ではツツジの花が咲きだすのである。

   1月31日から2月9日まで、八重山諸島の西表島に滞在していた。

   今年は島に暮らす人も驚くほど、連日、晴天が続いた。

   本来なら1月から2月にかけては、曇天の日が多く、亜熱帯の島と言えど寒く感じる日が多いのだが、

   何故か連日の晴天、おまけに気温が25~26度という夏日が続いた。

   ますます晴れ男に箔がついたようです。

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   画像の赤いツツジはタイワンヤマツツジである。

   花期は1月から3月にかけて。島の山の中の比較的乾燥して日当たりのよい場所に生える。

   こんもりと茂りびっしりと真っ赤な花を咲かせるので、船で海から山を眺めていてもそれとわかるツツジである。

   西表島にはセイシカをはじめ、いくつかのツツジが自生しているが、タイワンヤマツツジは量も多く

   よく目立つツツジである。葉は丸みがあって小さい。

   同じ赤いツツジでも、サキシマツツジは渓流沿いに限って見られる花の大きいツツジである。

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   渓流沿いの岩の割れ目などに根を降ろす。

   川の水が増水すれば、根元は水に浸かるような場所に生える。

   2月のはじめでは、まだ花期は早いのだが、ここならば咲き出しているであろう、と思える場所に船で向かい

   川の上流で船を降り、歩きはじめるとすぐにこの花の赤い色が目に付いた。

   「ああ、やっぱり咲き出している」と独り言を言いながら山道を歩きはじめる。

   サキシマツツジは葉が黒っぽく幅が広く細長い。慣れてくれば葉を見るだけでもタイワンヤマツツジとは区別が

   つくのだが、多くの人は、どちらも同じに見えると言う。

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   簡単な見分け方としては、渓流沿いに生えているもの、流れに身を乗り出すようにして咲いている赤いツツジ

   は、サキシマツツジと思って、ほぼ間違いないだろう。

   花期はタイワンヤマツツジより少し遅く、2月から3月に花盛りとなる。

   木全体が真っ赤に見えるようなことはなく、大きな花がまばらに咲くのも特徴である。

   山道を歩いてゆくと、ほろほろと散る白い花の落下に足を止めた。

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   リュウキュウエゴノキである。

   今まさに落下したばかりの花は、命が宿っているようでもあった。

   左画像は白浜林道で、右画像はカンピレの滝へ向かう道である。どちらもリュウキュウエゴノキなのだが

   微妙な標高や木による個体差で、同じ木の花でも開花期はズレる。

   左の新鮮な花と比べると、右画像ではだいぶ前から落下がはじまっていたらしく、花の鮮度に差があることに

   お気づきだろうか。

   高木の木の花は、落花した花で気がつくことが多い。

   下の画像は川を遡行していた時に、流れの淀みに溜まっていた花びらである。

   
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   ふと見上げると、はるかな青空を背景に、天に向かって無数の花が咲いていた。

   タイワンオガタマノキである。

   高さは10メートル近くはあろうか、花が咲いていることはわかっても、なかなかすぐ近くで花を見ることができな

   い木である。ここはケイタイカメラではどうにもならないので、デジカメを取り出し、望遠レンズに付け替える。

   
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   植物の正式な和名はタイワンオガタマノキだが、八重山地方には独特の方言名がある。

   西表島ではこの木のことを「ドスン」と呼ぶ。

   隣りの石垣島では「ルスン」である。

   今では高速船に乗ってしまえば、西表島と石垣島はわずか45分ほどの距離だが、琉球王朝時代は、

   はるか遠くの島だったのである。民族や風習すべてが違う。

   西表島の中でさえ東部と西部では、同じ植物を別の名前で呼ぶことだってあるのである。

   初めて西表島を訪ねた時は、石垣島から西表島へ渡る船は漁船そのものだった。渡し賃は50セントだった。

   当時はアメリカ領だったから、通貨はすべてドルだったのである。

   沖縄に渡るにはビザが必要で、持ち込む日本円も限られていた。沖縄は外国だったのである。

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   タイワンオガタマノキの花は、とても良い匂いがする。

   今まで何度も花は見ているが、いつも下から見上げるばかりで、花をまじかに見ることができなかった。

   それが今回、船をチャーターしたお陰で、川に倒れこむような樹齢100年を越していると思われる大木に

   花が真っ白く咲いていて、船を近づけて存分に撮影した。

   そのアップ画像が上の2枚なのである。

   タイワンオガタマノキの花は12月頃より咲きはじめ、1~2月が花期である。

   かつては島の民家の柱や梁として、その材が使われた。

   良い匂い、と言えばその代表のような木がある。

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   山の林縁部などでよく見かけるこの木は、野生状態になってはいるが、もともと西表島に自生していた木では

   ない。多くの果樹が鳥や獣に食べられて、山の中で芽生え、それが成長して自生状態になっている。

   クダモノトケイソウやフトモモ、それにこの木あたりが野生化しているものの代表である。

   おなじみの果物の木なのだが、沖縄では青いうちに収穫し炒め物や漬物として利用する。

   この木は雌雄異株である。

   オスの木とメスの木が別々にあるものを雌雄異株(しゆういしゅ)という。

   花の形も随分と違う。下の左画像が雄花、右画像が雌花である。

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   どちらの花も遠くからその甘い香りに気がつくほど、良い匂いがする。

   当然ながら雌花の方が花は大きい。

   熟した果物は知っていても、南方系の植物はその木の姿や花を知っている人は意外と少ない。

   この木の正体、下の画像を見ればわかるだろうか。

   まだまだ果実は青いままだが。

   
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   この画像を見て、ああ、と気がついた方もおられよう。

   そうですパパイヤの木なのです。

   果物としては食べないのですか、と地元の人に聞いてみると

   「熟すまで待っていたら、みんな鳥達に食べられてしまうよ」 との答えが返ってきた。

   白浜林道は入り口をチェーンでふさがれていて、車は入ることができない。

   山道の真ん中に、こんな花が咲いていた。

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   キツネノヒマゴである。

   右画像は早朝だったため、葉にまだ朝露が宿っている。

   本州で秋に咲くキツネノマゴによく似ているが、それより花の色が淡く、全体がやわらかい感じの小草である。

   石垣島などでは海岸に行くと葉に光沢があるキツネノメマゴという花もある。

   一日歩いても誰にも会わない静かな道、小動物や昆虫などにもよく出会う。

   まるで道案内でもしているように、ひらひらと舞っては止まるイシガケチョウは、ケイタイを持って近づくと

   すぐにパッと逃げてしまう。

   
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   上の画像は目下、木に化けているキノボリトカゲである。

   こいつは隠遁の術を心得ていて、カメレオンみたいに色が変わるのである。

   だから緑の葉のところに移動すると、体の色は緑色に変わる。

   ちょっととぼけた顔をして、近づくとチョロッとこちらを見て、そのまま知らん振りをしている。

   本人はきっと木にうまく化けているつもりで、私は木ですよ~とでも思っているのだろう。

   なかなか可愛い奴である。
















   次回に続く。

   画像はクリックすると大きくなります。大きな画面で楽しんでくださいね。

   撮影は沖縄県西表島で、2009.1.31~2009.2.9

   タイワンオガタマノキのロング写真以外は、すべてケイタイのカメラで撮っています。

   次回は海辺の植物を取り上げる予定です。


   
   

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