春風スケッチ

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   木の花では最初に咲くことから、先ず咲く、が語源とも言われるマンサクは

   まだ周りが雪で覆われている頃から咲きだす。

   花が咲いてから雪が降ることも、決して珍しいことではない。

   枯れ木に花が咲いたような景観を呈するマンサクは、日本には何種類かあるが

   画像のマンサクは園芸種。花の頃にも枯れ葉がまだ枝に残っているのが何よりの特徴。

   日本のマンサク同様に、ともかく花が咲くのが早い。

   2019年3月1日 三重県いなべ市で


   
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   観梅の宴は、すでに万葉の昔からあった。

   お花見と言えば誰もが桜を思い浮かべるが、梅を愛でるという風雅な宴は、すでに天平2年に

   九州の太宰府で行われていたのである。

   西暦に直せば730年のことである。

   万葉集には桜を詠んだ約40首をはるかに超す100首以上が詠われているのである。

   梅には白梅と紅梅があるが、花の開花は紅梅の方がわずかに早い。


   
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   春の温かな陽ざしを浴びて、紅梅や白梅が馥郁と香る。

   ここは残雪の鈴鹿の山を背景に、白梅や紅梅の多くの品種が集められた農業公園である。

   特に枝垂れ梅が多く集められ、最近は梅林公園として脚光を浴びてきた。

   花の最盛期には有料となるが、一見の価値がある梅林である。

   2019年3月1日 三重県藤原町 いなべ梅林公園で。


   
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                       (フクジュソウは昨年の画像)


   セツブンソウやフクジュソウの自生地として、藤原岳は有名な山である。

   今年は温暖化の影響か、山の残雪は例年よりは少ない。

   そのためか花期も若干早いようである。

   山麓のセツブンソウはやや花の盛りを過ぎていた。

   だが今回の目的はセツブンソウではない。

   コショウノキである。


   
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   これがコショウノキである。

   関東地方以西に分布する野生の木である。あまり大きくはならない。

   ジンチョウゲ属であるから、庭で栽培される沈丁花に大変良く似ている。

   ジンチョウゲほどの強い匂いではないが、花には仄かな香りがある。

   ふいに風が立ったりすると、どこからともなく花の香が漂ってくる。

   昨年、鹿の食害調査をしている時に、見事なコショウノキを見つけた。


   
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   その木の全体像が上の画像である。

   昨年はまだつぼみだったので、花の最盛期を狙ってやって来た。

   狙いはぴたりと的中して、見事に咲いていた。

   毒があるせいで鹿が食べないはずなのだが、餌をことごとく食べつくした鹿たちは

   有毒のシキミやこのコショウノキの葉なども、少しずつ食べはじめている。

   葉は食べるが、つぼみの塊は毒性が強いのか、枝の先端の蕾だけが残って

   葉はすべて食べつくされている木を、昨年は何本か見ている。

   その心配があったのだが、この見事な木は無事だった。


   
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   今から50年以上も昔に、コショウノキをはじめて見た。

   岡山県の阿哲台の山の中でである。

   「誰、こんな山の中に白花の沈丁花を植えたのは」 と一人だったのに思わず声を出してしまった。

   植物の知識が乏しかった私は、沈丁花だと信じて疑わず、撮影すらしなかったのである。

   今思うと、まさに笑い話しである。


   
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   家から歩いて行ける距離に、毎年菜の花ロードが出現する。

   幅 3 メートルほど、長さが 2 キロ弱の幹線道路沿いにまかれた菜の花畑である。

   地元の篤志家が趣味でやっているようなものなのだが

   最近はあちこちに工場などの建物が建ち、道沿いの駐車場や電線などが邪魔で

   とても絵になるような場所ではないのだが、時々出かける。

   2019年3月14日 愛知県半田市で


   
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   その菜の花畑の中に、今年は多量のセイヨウカラシナが紛れ込んでいた。

   河川敷などを黄色一色に染める帰化植物である。

   上の画像で花がやや大きく赤味を帯びた菜の花(アブラナ) と比べると

   セイヨウカラシナはやや黄色が薄く、花が小さい。

   クリックして大きくして見ると、その違いがわかるだろう。

   帰化植物は自然に種がこぼれて、またたく間に大きな群落となってゆく。


   
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   春の花が本格的に咲きだす前に、我々プロのカメラマンは

   冬の間に鈍った勘を取り戻すべく、撮影の練習に出るのである。

   民家や工場が立ち並ぶ中に、わずかに残った水田の土手に頭を持ち上げてきたツクシや

   タネツケバナなどを題材に、ああでもない、こうでもないと一人呻吟しながら

   水が心持ち温んだ水面に、季節の表情を捉えながら。

   3月も末ともなれば、桜前線の北上がはじまる。

   様々な花が、堰を切って流れる水のように、一気に開花がはじまる。

   多忙を極めるその前に、しばしの時間の余裕と、思うようにならない心の葛藤と戦いながら

   春爛漫への準備を整えているのである。









   画像はクリックすると大きくなります。大きな画面でも楽しんでくださいね。

   いつものスマホとキャノンM 3、キャノンEOSマークⅡで撮っています。

   撮影は2019年3月、三重県と愛知県で。

   感想をお待ちしています。


   


   


   




   
                          


   


   

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この記事へのコメント

宮本@長崎
2019年03月18日 23:19
みかんさん、みなさんこんばんは。ごぶさたしております。
プロのみなさんほどではありませんが、わたしも例年、いまの時期は身近な植物にカメラを向けながら、距離感やアングルなど、冬のあいだに鈍ったカンを取り戻すのが習わしになっています。
この春、長崎市内ではノジスミレは3月中旬にもう満開となり、ザイフリボクも咲きだすなど、いつもよりも春の花の開花が早いように感じています。
そうそう、わたしも数年来の愛機がEOS5のmarkⅡなのですが、先日修理に出したところ、今年の9月でサポートの期限となるとのアナウンスがあり、さびしいかぎりです…。
リサ・ママ
2019年03月19日 00:30
毎年、春のお彼岸に数カ所の墓地を回って、
付近に咲いている草花をコンデジでパチパチ撮るのが愉しみですが、
昨日は私の元気が足りないのと野山に緑が少ないのとで、
どうにも寂しい気持ちになりつつ帰宅しました。
昔は寒くても梅園に友達とお弁当を持って出かけ、よく風邪を引いてました。
墓山へ行くとき、車を止める道の行き止まりは大きな農家で、
良く吠えるワンコと用心深いニャンが見えており、
ちょっと庭に寄ってシロバナタンポポなど撮ってると、
猛烈に吠えて飛び出して来て、鎖が外れてることが分かり、
必死に車内に逃れたことは、一生忘れられそうにありません。
でもその農家が昨年から無人の家と化し、
ワンコとニャンはどこへ行ったのか??
たちまち荒れ果てつつあり、
まるで自分が萎んで行くようで辛かったんです。
今夜、このブログか更新されていて、春の兆しを眼にすると、
おかげさまで段々に心が上昇志向に変われそうで!!
まっことありがとうございます
私もみかんさんのコメンテーターとして頑張りますよ~♪
花日記のファンがこんなに幅が広いって、ステキなことですよね~(笑)
2019年03月19日 16:18
「まんずさく」から「マンサク」というのを初めて聞いた時、「ウマイ!(^^)」と思いました。
植物の名前って、ホンマ、上手い事付けますね。

「いなべ梅林」は、ツアーで二度行った事があります。
ウォークのツアーやったので、「いなべ梅林」では、そんなにゆっくりとは出来ませんでしたが、ここは、上から見下ろすと、見頃の時は、もう、息を呑んでしまう景観ですね。
それに、雪を被った鈴鹿の山々がバックにできるので、とても感動した記憶があります。

コショウノキは、何かに似てると思ったら、確かにジンチョウゲ。
白花のジンチョウゲやと思ってしまいます。(^^ゞ
毒性があっても、やっぱり、鹿が食べるようになったんですね。
伊吹山でも、以前は、毒があると鹿は食べなかったのに、食べる物がなくなってきたため、食べるようになったとか聞いた事があります。

「ナノハナでもセイヨウカラシナだよ」って聞いても違いがよく解らなかったんですが、こうして、大きくなる一枚の写真の中にあったら、違いが良く解りますね。
淀川の河川敷でセイヨウカラシナが一杯咲いてる所があるんで、かなり前に行って写真を撮ったんですが、セイヨウカラシナだけやったんで、フツーのナノハナとの違いなんて考えませんでした。(^^ゞ
BiotopeGarden
2019年03月19日 18:41
東京都の奥地、青梅の梅園はウメ輪紋ウイルス(プラムポックスウイルス)で壊滅的被害を受けてしまいました。
そちらのウメは、まだ健在なんですね。
青梅市の対策は杜撰きわまりなくて、とても終息する気配はありません。
何だか今の日本、こんなのばっかりでうんざりします。

グチはさておき、シカの被害は全国的に植生を変えてしまう規模まで拡大しつつありますね。
佐久平のスキー場でも、スイセンやチューリップ、アジサイの仲間のアナベルなど、だいぶ毒性の強い植物も食害を受けるようになって来ています。

それにしてもまぁ、コショウノキってこんなに綺麗な花なんですね。
ジンチョウゲの白花よりも凛々しいような気がします。
まだ図鑑でしか見たことがない花の一つで、興味津々。
みかん
2019年03月22日 15:42
宮本さん こんにちは。
長崎勤務も長くなりましたね。今までとはひと味違う九州の植物をあちこち訪ねて収穫も多くなったことと思います。今年はどこでも春の花の開花が早いようです。一昨日霊仙山に登ったのですが、頂上近くに大群生するフクジュソウが見事でした。藤原岳より群生の規模が大きいのでは、と思いました。誰も人の来ない場所でしたが、こちらも鹿の食害がひどく、まるで鹿達の運動場のようでした。
みかん
2019年03月22日 16:01
リサ・ママさん こんにちは。
いつもコメンテイターの役目ご苦労様です。心強いと同時に嬉しくもあります。
これからもよろしくお願いいたします。
今年のお彼岸も実家などの墓参りは済ませましたか。みかんはあまりにも実家と遠く離れているので、墓参に帰ることはありません。両親の位牌はこちらにもあるので、もっぱら仏前に花やおはぎなどをお供えして、お彼岸を済ませます。場所によっては色々な花が咲きだしていますね。比較的近くのカタクリの自生地も、もうかなりの花が咲いているようです。これからの季節は増々忙しくなります。
みかん
2019年03月22日 16:17
yoppy702さん こんにちは。
いなべ梅林は最近は人気が上昇しているようですね。観光バスも最盛期には多く訪れるようです。普段は何もめぼしいものがない場所ですが、植物は結構豊富です。
ですが最近はあまりにも増えすぎた鹿による食害がひどすぎて、農作物までかなりの被害が出ています。新鮮な野菜があるような畑はすべて鹿や猪除けの柵が張り巡らされて、ピリッとくる電気柵なども普通に張り巡らされるようになりました。梅林の近くの里では、猿の集団が道路を横切ったりもしています。農家の方ならずとも獣害は何とかならないだろうかと思います。
コショウノキの多くは、まだ被害は少ないものの、これから先のことを考えると安穏とした状態ではなくなるでしょう。鹿達の嫌う植物ばかりが繁茂しているのは、なんとも異様な光景です。
みかん
2019年03月22日 16:33
BiotopeGardenさん ようこそお越しくださいました。
歓迎します。
素敵な自然を相手にしているのだから、当方も愚痴などは言いたくないのですが、
昨今の日本の自然はどこもかしこも特に鹿の食害がひどいですね。鹿達はエサが亡くなれば移動するのが普通ですが、背に腹は変えられないので、少しずつではありますが毒性のある植物も食べて、耐性ををつけているようにしか思えない節があります。かつてならトゲが痛くて食べなかったアザミ類などは、今では芽出しの頃から真っ先に食べられています。毒性の高いトリカブトでさえ、最近は食べはじめているのです。本当に困った問題です。
コショウノキは愛知県内にも結構あり、特に豊橋市周辺には多いですよ。ただサイズの小さな木が多いですが。庭があるなら沈丁花よりこのコショウノキを植えてみたいと思っています。
いっしい
2019年03月22日 22:38
こんばんは
春の花あっという間に、色々と咲きだしましたね
こちらではコショウノキは花が終わってしまいました
私も初めて平戸の山でコショウノキを見た時には、何故に沈丁花を植えてあるのだろうと不思議に思ったものです
後でコショウノキだと分かり、ビックリした思い出があります
初めてみたコショウノキは、今は無くなってしまいましたが
アチコチで見られるので、毎年楽しみに見に出かけています
みかん
2019年03月22日 23:20
いっしいさん 今晩は。
さすがに長崎は花が早いですね。きょうからまた寒さは戻るようですが、こちらも春の花がいっせいに咲きだしてきました。暑さ寒さも彼岸まで、とは良く言ったもので、これからの季節は咲く花を追いかけるのではなく、こちらが追いかけられそうな雰囲気です。
毎年どこかで出会い撮影している花でも、年が変わるとまた撮影したくなるのも不思議です。カタクリやキクザキイチゲなどのスプリングエフェメラルは、何度も何度も撮影しているのに、また今年もどこかの山で写すことになるのだと思います。
ちごゆり嘉子
2019年04月10日 21:27
いいお花見せて貰え良かったです。
コショウノ木は見てないので、うれしかったです。
有難うございました。