春の兆しがあちこちから 「野の花づくし」の紹介

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   日本各地にいる植物仲間から、春の花の開花状況が頻繁に届くようになった。

   まだ深い雪に閉ざされている地域もあるが、各地で色々な花が咲きだしている。

   春を告げるヤブツバキやセツブンソウなどは、すでに私も見ているし撮影もしている。

   沖縄のさらに先の南西諸島などはすでに初夏で、新緑のまぶしい季節になっている。

   1月に訪れた石垣島では、すでに夏の花ともいえるグンバイヒルガオが満開だった。


   
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   南北に長い日本列島は、なんとも植物相が豊かで、四季折々に様々な花々を楽しめる。

   ここ数日、当地でも暖かな日が続いている。

   近くの梅林も今年は例年より花期がやや早い。

   そんなある日、嬉しいお届け物があった。

   友人の植物写真家、木原 浩氏の最新作 『野の花づくし』 である。


   
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   植物好きであるならば、彼の図鑑や写真集をお持ちの人も多いことだろう。

   最新作の『野の花づくし』は、そんな彼が、過去に新聞や雑誌に連載したものなどをまとめたもので

   あまりエッセイなどを書かない彼が、1種類ずつにそれぞれの思い出などを綴ったものである。

   素晴らしい写真は、多くの人が見て知っていると思うが、写真に対する思いや、

   植物に対する思いなどは、なかなか伺い知ることはできない。

   本書は、そう言った意味からも、是非とも多くの人に読んで欲しい本である。


   
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   逆光に輝く見事なネコヤナギの群落の写真からページははじまる。

   早春に咲く花から、晩春に咲く花へとページは進み

   やがて、夏の花へと続いてゆく。

   本書は二分冊で構成された第一弾 [春夏偏] なのである。

   じっくりと拝見した。

   そして「ヘェーそうなの」と教えられるところもあった。


   
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   42ページのハシリドコロを読んでいた時のことである。

   毒草であるハシリドコロをフキノトウと間違えて食中毒を起こした例に触れ

   なぜ間違えるのか不思議だったと。

   そうそう全く同感と思いながら読み進んでいると

   

   ところが、ある時、雪の下から押しつぶされたような形で顔を出している新芽を見て驚いた。

   黄色くて、柔らかそうで、フキノトウそっくりだったのである。



   と、書いていたのである。

   ヘェー、そうなの、と、まさに目から鱗だったのである。

   どんなに植物と長く付き合っていても、自分の知らないことはたくさんあると

   あらためて思った次第である。


   
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   大胆でスッキリとしたデザイン。

   読みやすい文字の並び。

   この本の編集は川畑博高氏である。

   かつて山と渓谷社に勤務し、社でいくつものベストセラーの本を作った優秀な編集者である。

   木原氏も彼も私も同年という親近感もあり、喧々諤々の議論を交わしながら

   何冊もの本を作った仲である。

   当然のことながらよく飲みにも行った。

   川畑氏はフリーとなった今も、こだわりを持って木原氏の本の編集を手伝っている。

   できるべくして、良い本はできたのである。


   
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   それにしても、上手いなぁ、と思う。

   何度か見ている写真でも、こうして新しく見せられると

   思わず呻ってしまう。

   さりげなく、しかも品のある写真。

   木原氏は冨成忠夫氏の弟子だが、すでに師匠の域を越えた写真家に成長していると思う。

   この本の中でもたびたび師匠のことに触れているが

   画家でもあった冨成氏が亡くなったのは73歳。

   我々もすでにその年齢に近づきつつある。


   
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   上の画像は80ページのハルジオンである。

   ここで彼はこうつぶやく。


   この写真は、なんてことのない写真に見えると思う。実際、なんてこともない写真である。

    見慣れたものは実は見えにくい。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
   
   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(中 略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

   ・・・・・・・・・・・

    しかし、見る人にとっては 「なんでもない写真」 であることには間違いない。それはそれで

   いいのである。
 


   写真家としての思いが如実に語られている1ページである。


   
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   最後に私も登場している1ページを紹介しよう。

   155ページのベニシオガマである。

   ここで語られているN氏とは私のことである。

   何が書かれているかは、読んでからのお楽しみである。






   本が届いてからは、一気に貪るように読み進んだ。

   読み終えたのは深夜もだいぶ過ぎた時間となった。

   ああ楽しい思いをさせてもらった。読後の私の偽らざる感想である。

   まだ第一弾の春夏編が発売になったばかりだと言うのに

   もう今夏に発売予定だという秋冬編が待ち遠しい。







   『 野の花づくし 』春・夏編 データ

   著者     木原 浩 (文・写真)
   総ページ数 192ページ
   判型     菊倍変型判 (縦 25.5センチ、横 21センチ)
   出版社    平凡社
   値段     3000円+税




   より多くの花好きの人達に読んで欲しくて、紹介した次第である。

   今年の春も、皆さんが素晴らしい花たちと出会えますように。

   
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この記事へのコメント

はるこ
2019年03月01日 19:19
素晴らしい本を紹介してくださり,ありがたく思います。さっそく入手します。

なんてことない風景のくだり,本当に,そうなんですよね。
ここ数年,なんてことない関東の雑木林が宅地開発されてどんどん無くなっています。
いきなり,なんてことない雑木林がそっくり無くなって,なんてことない雑木林じゃなかったことに気づいたり。

(川畑さんがフリーでも活躍されていることも知り得て,うれしく思います。)
みかん
2019年03月02日 11:31
はるこさん こんにちは。
失ってはじめて気がつくこともありますよね。
なんてこともないと思っていた雑木林が、じつは癒しの元になっていたんだ、なんてことに気がついたり。
貴重なもののある場所だけが大切ではないこと、もっと多くの人に気がついて欲しいですよね。
かけがえのない自然は、意外と身近な所に存在している。
リサ・ママ
2019年03月02日 21:40
おぉーー!!
素敵なご本のご紹介、ありがとうございます~♪
みかんさんがそうであるように、
すぐれた写真家さんはすぐれた文章家さんでもあるのですね~(喜)
タイトルと余白がなんと美しいこと~!!
編集者とタッグを組んで、ご自分らしい贅沢なご本にまとめられた1冊、
私もできることなら購入し、一気に読破したく思いまーす!!
まず老眼を克服しなくてはなりませんけど。。
オキナグサ、まずとりあえずは、牧野植物園へ行ってきまーす(^^)/(笑)
みかん
2019年03月02日 23:36
リサ・ママさん 今晩は。
植物園でもオキナグサはまだ開花していないと思います。
この画像は以前に撮影したものの流用です。とは言え南国高知では、もう色々な花が咲きだしていると思います。天気の良い日に出掛けることをお薦めします。
この本は著者自身も言っているように、なかなか素敵な印刷に仕上がっていると思います。是非手に取ってじっくりとご覧になってください。
2019年03月04日 23:26
 ご無沙汰しております。
先日、花仲間と沖縄に行った際木原氏に会いました。挨拶だけでしたがなんかうれしかったです。
みかん
2019年03月05日 14:41
風太さん こんにちは。
お久しぶりです。沖縄にはいっしいさん達と一緒だったのですか?
こまつなさんの所で会ったのかな?
木原さんはオキナワウラジロガシの花の撮影で行かれていたようですね。彼は今、
南西諸島の植物図鑑を作るべく東奔西走しています。
2019年03月06日 17:50
春の兆しと言っていても、南西諸島は初夏なんですね。
日本って、小さい国のようやのに、最北と最南って、そんなに違うんですね。(^^)

木原浩氏の『野の花づくし』春・夏編、注文してみます。
みかんさんの紹介文で興味が沸きました。(^^ゞ
ハシリドコロをフキノトウと間違えるというのは、サスペンスドラマでもあって、コワイなぁ…と思ってましたが、ここに書かれている条件でないと、実際には間違える事はなさそうなんですね。
といっても、熟知してないと解らなくて間違える事はあるでしょうけど。(^^ゞ
2019年03月07日 09:23
この本、イイですね。
未だ、読み終えてはいないのですが…

タイトルに「季節の植物図鑑」となっている通り、確かに、植物図鑑の内容を盛り込みながら、なんというか…「写真の物語」という感覚になりました。
「はじめに」に書かれている事が、この本の象徴なんやと感じました。
つくづく「出会い」ってスゴイ事やと。
それも、一度目の「出会い」で終わらず、二度目の「出会い」も…
これって、運命が、これでもか、これでもかって、やって来てくれたんかなぁ…と。(^^ゞ

里の花(こんな表現で良いのかどうか解りませんが。(^^ゞ)も高山植物も取り上げられていて、「野の花」が好きなボクにとっては、ラッキーという感じです。

写真は、当然、素晴らしいですが、文、内容も読み易く、解り易く、対象となる「花」に興味が沸き起こる内容でした。
この本を読んでいると、不思議に、このブログ…
「みかんの花日記」が頭を過ぎりました。
「みかんの花日記」って…
これを一冊にしたら、この本と同じやん、と。(^^ゞ
「みかんの花日記」にお邪魔すると、素適な写真と巧みな文章で、植物の内容や逸話、不思議さなどを教えてもらえるし、そして、興味を持たせてくれる。
木原浩氏の『野の花づくし』を読む事で、「みかんの花日記」の素晴らしさを再認識してしまいました。
「みかんの花日記」の読者になってて良かった!
なな
2019年03月08日 19:43
良きご本の紹介で、早速本屋さんに買いに行きました。
うぅーーんと本の世界に没頭する自分が怖いです。
絶対一晩では読破しないで じっくり味わいます。でないと次が気になり落ち着かなくなります。文章に引き付けられてます。
↑登場のオキナグサは庭で随分前から咲いてます。とても強い植物で草取りの度に抜いて燃えるゴミに出してます。可憐に一輪ではなく古株はてんこ盛り状態に咲き今年は少し咲き出しが遅く2月の後半からです。株は7~8年位で自然消滅します。だからあんなに沢山の種子を飛ばすのですね。見事な根です。移植は嫌います。長年の観察で分かりました。因みに今年の銅色の葉のカンアオイは無くなっていました。残念です。
私はハシリドコロを毎年見に行きますが咲き出す前にも見なくてはだめですね写真は無理ですが植物の観察は面白いですね。
どなたかも書いてましたが老眼が進みとても悲しいです
みかん
2019年03月15日 22:08
yoppy702さん 今晩は。
コメント返しが大変遅くなりました。
『野の花づくし』ご購入いただきありがとうございます。著者に代わって御礼申し上げます。読んでくれた感想にもありますが、とても良い本でしょ。
一読した後に、数年経た後で読み返してみると、また違った感慨が湧く本だと思います。私が多くの方に読んで欲しいと薦める一因はそんな所にもあります。いつまでも大切に保存しておきたいと思える本は、それほど多くはないと思うのですが、自分の経験や知識が増えると、また違った見方ができてくる本こそ、いい本だと思えるのです。
写真を見ているだけでも楽しいですから、いつかまた読み返してみてください。
みかん
2019年03月15日 22:18
ななさん 今晩は。
コメント返しが遅くなりました。
早速の購入ありがとうございます。お薦めした甲斐があると言うものです。
決して安い値段の本ではないですが、じっくりと読んだり見たり、色々な楽しみ方ができる本ですから、まだ見ていない方にも是非、とお薦めしておきます。

銅色の葉のカンアオイの事が気になっていました。なくなってしまった、ということは盗掘、それとも葉の色が普通の緑色に戻っていた、という事でしょうか。どちらなのかやはり気になります。
植物観察の楽しさについては、ななさんはすでに充分感じておられるので、どうぞこれからも引き続きつづけられますように。観察して、あるいは栽培してわかることは山ほどありますね。そんなつぶやきは当コメント欄でもよろしくお願いします。
ケイ
2019年03月16日 18:03
ご無沙汰しています。
みかんさんのオキナグサの写真を見て、北総のススキ草原をうろつきまわっていた頃を思い出しとても懐かしくなり、久々にこの紙面にお邪魔させていただきます。
14年前の春、枯野に咲き始めたばかりのオキナグサに遭遇! 
初々しいその姿を夢中で撮りましたが、その後はタイミングが合わずお気に入りが撮れないまま、盗掘、大規模開発で、行くたびに胸キュンの出会いがあった北総の草原はほぼ消えました。
ご紹介いただいた「野の花づくし」を拝見すると、当方で保護されている身近な里山植物がいくつか載っていますが、こんなにのびのびと自然と一体となった姿を見ることが難しくなってきました。
保護の機運が高まっても、目印の棒が林立する中に咲く稀少種も少なくありません。
農道の傍らに咲く野菊類、今ではイノシシブルトーザーに耕され見る影もありません。
美しい自然の植物を撮り残して下さるみかんさんや木原氏に感謝です。
どれもうっとりするような写真ばかりですが、チシマミクリとニガウリの写真になぜか心惹かれました。
いっしい
2019年03月16日 23:00
ご無沙汰しています
素敵な本の紹介ありがとうございます
先日風太さん達と沖縄に行った時に、木原先生にお会いしました
ゆっくりお話も出来ませんでしたが、写真への情熱を感じました
私も早速注文して読みたいです!
みかん
2019年03月17日 10:15
ケイさん 久しぶりですね。
木原さんのこの本、素敵でしょ。
それにしてもチシマミクリに魅かれるあたりさすがケイさんです。クオリティの高い画像だと、同業の私が見てもそう思います。
ニガウリの写真は自宅で栽培でもしていないと、なかなかこのように裂開した状態は見ることができませんね。あの緑色のニガウリが収穫せずにいると黄色くなり、やがて割れて真っ赤な種が顔を出す。こんな状態を見たのは、私も2度しかありません。

それにしても最近は北総に限らず、日本の各地で食害による荒廃や、遷移によって豊かだった自然が減少傾向にあります。里山でいえば耕作者の老齢化によって、棚田をはじめ、山間部の耕作地が放棄されて、悲しいまでに薮山化しています。なんとかしたいと思いながらも、個人でできることには限りがあり、歯ぎしりする思いです。せめて今のうちに出来ること、豊かだった自然の記録を残すつもりで、せっせと撮影しています。
みかん
2019年03月17日 10:22
いっしいさん こんにちは。
ご無沙汰しています。沖縄で木原さんに会ったこと、風太さんからもお聞きしました。多忙な毎日を過ごされているので、現地ではなかなかゆっくりとお話しすることはできないと思いますが、会えてラッキーでしたね。本の著者と会うことは少ないと思いますが、この本を読むとさらに彼自身の思いが伝わってくると思います。
ご購入をお薦めします。
自分の本の告知より熱心だなぁ。あはは