古都錦秋   東福寺にて

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   京都には紅葉の名所と言われる場所が随所にある。

   京都五山のひとつ東福寺もそのひとつである。

   特に通天橋は紅葉の名所として知られ

   東福寺の参拝客が一年中で最も多くなるのが

   この紅葉の季節とも言われている。


   
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   上の画像で、紅葉の奥に見えるのが通天橋である。

   混雑は覚悟のうえで、それでも土日や三連休を避けて、平日の火曜日にやって来たのだが

   京阪電車の東福寺の駅で降りれば、道など知らなくても、ぞろぞろと続く人混みの後について行けば

   自然と東福寺の入り口に導かれるほどなのである。


   
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   20万平方メートルの広い境内を取り囲むように、土塀が続くが

   その土塀の白線が5本あるのも寺の格式の高さを物語っている。

   塀に沿って多くのモミジが植えられていて、境内に入らなくても

   紅葉狩りができるほどである。


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   覚悟してきたとは言え、入り口から押すな押すなの大盛況である。

   立ち止まらないでください、立ち止まらないでください。という監視員の声などどこ吹く風

   今は訪れる人の全員が、と言っても良いほどにそれぞれがスマホやケイタイのカメラを向ける。

   紅葉の季節は、境内では三脚の使用は禁止、スケッチ等もご遠慮ください、という混雑ぶりなのである。

   ゆえに三脚もデジカメも用意はしてきたのだが、小さなザックを背に

   ポケットにスマホだけを忍ばせてやって来た。


   
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   紅葉のいい時を狙って来たのだから当然だが

   この日は天気にも恵まれて

   青空を背にした紅葉は、まさに申し分がなかった。

   夜明けと同時に愛知県の我が家を出発したので

   拝観券も並ぶことなくスムースに買えた。

   ただ、もう入り口から人の列である。


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   植えられているモミジの多くはイロハカエデである。

   今を盛りとばかりに燃え立つような紅葉もあれば

   まだ緑の葉を残しているものや、色づきはじめたばかりのものもある。

   それらが経蔵の丸窓に映えている。

   人の列の歩みは遅いものの、写真を写すにはちょうどいい。

   ここで何枚か写したい、と思える場所では、列から外れれば拝観者に迷惑がかかるほどでもない。


   
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   すでに散り敷いたモミジもあるが

   散ってもなお風情を残すのがモミジの良さでもある。

   ここを訪れる人は日本人ばかりではなく、他国からの観光客も多いので

   飛び交う言葉もさまざまだが、中国からの観光客のやや騒々しい声をのぞけば

   観光バスを連ねてやってくる団体客も、騒がしいというほどではない。

   上の画像の散り敷いた葉は、ほとんどがトウカエデである。

   根を大地にしっかりと張って、威風堂々としたこの大樹がトウカエデである。

   東福寺を開山した聖一国師が、宋に渡って修行した後、日本に持ち帰った植物のひとつが

   このトウカエデと言われている。

   最近では街路樹としてもお馴染みのトウカエデだが、これほどの樹齢のトウカエデは珍しい。

   樹齢100年はゆうに越えているであろうこのトウカエデは

   おそらく聖一国師が持ち帰った当時の子孫であろう。

   開山の国師が没後、今年で738年が経過している。


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   通天橋の下は深い谷になっていて、洗玉澗と呼ばれている。

   その昔、修行する僧侶たちが歩きやすいように通天橋が架けられたと言われている。

   まさに右を向いても左を見ても、そこは鬱蒼と茂るモミジの谷なのである。

   谷をのぞき込んでいると、ここにも監視員が立っていて

   どうぞ後から来た方に場所を譲ってください、と声をかけていた。


   
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   谷に降りて、谷を登ってくると、重要文化財に指定されている愛染堂の

   八角形の優美な円堂が目に入る。

   南北朝時代の建築で、丹塗りの杮(こけら)葺きの屋根が、特に眼を惹く。

   祭られているのはもちろん愛染明王である。


   
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   愛染堂の周りには紅葉が少ないせいか

   この優美な堂に目を向ける観光客が少なかったのは意外だった。

   みな右手に広がる紅葉の海にばかり気を取られているせいか

   こちらにカメラを向ける人はほとんどいなかった。


   
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   確かに、これだけ見事な紅葉の森がつづいているのだから

   紅葉の赤に魅かれる気持ちは良くわかる。

   クリックして臨場感をたっぷりとお楽しみください。

   いよいよ待望の通天橋を渡る。

   橋の上から俯瞰して見る紅葉も、それはそれは見事であった。

   左手の橋の欄干から、紅葉越しに方丈の建物を眺めたり


   
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   右手の橋の欄干から、思い切り腕を伸ばして紅葉を撮影してみたり


   
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   まさに今、紅葉真っ盛りの風景を楽しむ。

   下から見上げる紅葉も素敵だったが、通天橋の上から眺める赤い森も

   一幅の絵そのものだった。


   
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   東福寺に来たからには、私には見ておきたい場所がもう一ヵ所あった。

   方丈(庫裡)の八相の庭である。

   東西南北に四つの庭があるが、とりわけ北庭の苔むした庭がお気に入りなのである。

   明治時代に火災により消失した方丈は、その後再建されたが

   八相の庭が完成したのは昭和14年(1939年)のことである。

   重森三玲によって作られた。


   
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   東庭の円柱の石は北斗七星を現したものという。

   眼を惹くのは、何と言っても面積の広い南庭の枯山水で、ここが方丈の代表的な庭になっている。

   奥の苔むした築山は、借景とものの見事に調和している。


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   西庭は市松模様が特徴だが、植物好きには是非ともサツキの花が開花する頃に見て欲しい。

   四角に刈り込まれたサツキに花が咲くと、白い石と緑の葉、赤い花とが醸し出す雰囲気が

   今の季節とは全く異なった妙なる印象を作り出す。


   
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   さてさて、私のお気に入りの北庭は、言わば裏庭にあたる場所で

   陽当りも悪く、どちらかと言えば陰湿な場所である。

   ところが稀代の作庭家・重森三玲は、この負の場所を逆手にとって

   見事なまでに変身させたのである。

   ここでの主役は、ウマスギゴケという名の苔である。

   それでは眼下に広がるコケの世界をご覧いただこう。


   
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   どうです、今の季節でもこの鮮やかさ

   生きているコケが盛り上がって崩す不条理さ

   そんな所も計算ずくだったのではないのか、とさえ思えてくるのです。

   東福寺は禅寺、座禅を組んでしかと己を見据えるには

   まさにうってつけの気がするのです。

   最後にこの日、奇跡と言えるような一瞬の出来事に遭遇しました。

   延々と人の列が長蛇のごとく続く参道で

   まさに神様がくれた私へのご褒美

   それが下の画像です。


   
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   たった1枚だけ撮れた人も車もいない参道の紅葉

   こうして私の2018年の取材も、滞りなく終了となりました。

   長いお付き合いありがとうございました。
















   撮影は2018年11月27日 京都府の東福寺で。

   撮影はすべてスマホのカメラです。クリックすると2段階に大きくアップになります。

   紅葉狩りに出掛けられなかった方、どうぞ大きくして今年の紅葉を楽しんでください。

   京都の紅葉の名所は、どこもかしこも大混雑します。今や紅葉の穴場は、京都に限って言えばありません。

   どこもかしこも大混雑しています。来年出かける方はそのおつもりで。

   拝観券は通天橋・普門院庭園が400円、方丈庭園が400円です。

   毎度言っていることですが、混雑はするものの東福寺の素晴らしさは、是非ともあなた自身の眼で確かめて

   ください。私が気が付かなかった素晴らしさに、きっとどこかで出会えることと思います。

   最後に感想など聞かせていただけると喜びます。




   オマケ画像


   画像画像






















   東福寺の巨大な三門は火災を免れた日本最古のもの。国宝に指定されています。

   気が付く人はほとんどいませんが、その手前の植え込みの一部に、茶の木が植えられています。

   聖一国師が宗から持ち帰ったもので、この茶の木が静岡茶の元となりました。

   聖一国師こと円爾弁円(えんにべんねん)は駿河の国の生まれ、今の静岡県の出身なのです。

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この記事へのコメント

アライグマ
2018年12月04日 21:57
う~~~~~
行きたくなってしまったではないですか~~~~
 ̄Д ̄ =3 ハァーー
リサ・ママ
2018年12月05日 00:13
ちょうど京都の紅葉が恋しくなってたところでした。
京都の紅葉を知ってると云っても、
知識は浅くて何も知らなかったに等しかったので、
すごくお勉強させてもらいました。
高知の紅葉の名所は全然京都の紅葉とは趣が違うものなので、
関西に足を踏み入れることがなくなって35年もの年月が経って、
もう行く機会のありそうもない京都の雅やかな紅葉が、
急に見たくなってたのでした。
おかげで良い思いをさせていただきました!!
今、うちの近くのハゼが、キレイに紅葉してますよ。
ヤツデの花が、とってもきれいに咲いてます。
8月の台風にヤラレなかったタフな花です。
今年最後の更新なのでしょうか??
1年間楽しませてくださって、ありがとうございました!!
また来年も、どうぞよろしくお願い申し上げます(=゚ω゚)ノ
人士
2018年12月05日 10:10
2018年、どうもお疲れさまでした。
北海道から西表島まで、低地から高山まで、たくさんの花々
をありがとうございました。

東福寺の紅葉、見事なものですね。私も京都にはいましたが
東福寺には行ったことがないような。

又、来年も楽しみにしています。
みかん
2018年12月06日 11:39
アライグマさん こんにちは。
あっという間に師走ですねぇ。時の経つのが本当に早くなった気がします。
京都の名庭も魅力はありますが、アライグマさんなら、やはり人の手を介していない自然の中の紅葉でしょうね。京都はあまりにも人が多く、それだけで疲れてしまいます。
みかん
2018年12月06日 11:46
リサ・ママさん こんにちは。
体調はその後どうですか。無理をせずに楽しんでくださいね。
京都の紅葉は場所を変えて、やはり一度くらいは訪ねてみたいと思っています。
ここを訪れてくれる多くの人は、自然派志向の方が圧倒的に多いと思うので、あまり人工的なものや園芸種などは極力避けて掲載するように心がけてはいますが、みかんはガーデニングなんかも大好きなので、時々はこんなブログもいいかな、と思って載せています。
みかん
2018年12月06日 11:54
人士さん こんにちは。
もう1年を振り返る季節になってしまいましたね。12月の声を聞くと何となく気忙しくなる気がします。振り返ってみると、今年も結構あちこちへと飛び回りました。多分来年も同じことの繰り返しのような気がします。もう若くはないので、無理をせず、なるべく効率よく回りたいと考えているのですが、次から次へと撮りたいものが出てくるので焦ります。あはは
せめて1日が48時間くらいだったら良いのに、なんて思っています。
ほととぎ
2018年12月06日 23:52
東福寺は、行ったことがありません。
京都駅より、南側なんですね。
紅葉シーズンの京都の人出、半端なく凄いです。
特に嵐山。
2度ほど行きましたが、正直、もう、行きたくないです。
土日休日しか行けない(こともないのですが)、サラリーマンには厳しい。
混雑を避けるなら、早朝しかないでしょう。
嵐山も、朝9時くらいまでなら、空いていました。
あと、京都府立植物園の紅葉が穴場と言われていますが、どうなんでしょうね。
みかん
2018年12月09日 11:41
ほととぎさん こんにちは。
京都の中でも嵐山周辺は特に混みますね。まぁ一年中混雑している場所ではありますが。嵐山には花びら餅の絶品の和菓子屋があり、今頃の季節になると訪れたくなります。朝は寒さも半端ないですが、12月に入るとそれでも多少人混みが緩和されるので。
府立植物園の紅葉は見たことがありません。以前は知り合いがいたのですが、最近は足が遠のいています。
ホワイトリリー
2018年12月10日 17:16
東福寺、久しぶりに聞く名前です。息子が京都に下宿していたとき、何回か行きました。手が入りすぎかな? でもきれいですね。!
嵐山も東福寺も、もう一度行きたいです。
元気に歩けるうちに!
みかん
2018年12月10日 19:39
ホワイトリリーさん 今晩は。
コメントありがとうございます。鎌倉などもそうですが、名のある寺院はどこでも昔より徹底した整備がなされているようです。あまり手の入っていない庭も素敵なんですけどね。混雑する時季を避けて出かけるのもひとつの方法かと思います。
2018年12月16日 21:25
さすが、東福寺の紅葉、素晴らしい!(^^)
紅葉の時期の京都は何処も混むけど、東福寺は、さらに混雑するでしょ。
でも、みかんさんは、それもなんのその。
京都って、家から比較的近いんですが、混雑を考えると、ついつい足が遠のいてます。(^^ゞ
でも、こんなに素晴らしい紅葉を見せられたら、めっちゃ悔やまれますね。

通天橋から撮影できたんですね。
撮影が禁止になってると思ってました。
ここが、多くの方が目当てにされているポイントですもんね。

ブロ友さんで、11月25日に東福寺駅で下車された方がいらっしゃいます。
でも、その方は、東福寺を避けて、今熊野観音寺に行かれてました。
東福寺辺りも、素晴らしい紅葉のポイントが多いんですね。
みかん
2018年12月17日 14:34
yoppy702さん こんにちは。
紅葉の季節に1度くらいは京都の寺を訪ねるのが恒例のようになってます。
自分の好きなお寺さんだったり、気になっているお寺さんだったり。なるべく混雑は避けたいと思っているのですが、昨今の京都ではそんなことを言っていられないので、行く曜日や時間帯などを考えてから行きます。駐車場を探すのがとても大変ですが。
東福寺さんは境内は撮影禁止ではないですが、三脚の使用は禁止です。ただ混雑する土日などは撮影禁止の看板が出ることもあるようです。特に通天橋がバックに見える門前は撮影禁止の看板が出ています。紅葉を見るのは、いつも京都がその年の最後になりますね。