みかんの花日記

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zoom RSS ユキワリイチゲ  Anemone keiskeana

<<   作成日時 : 2018/03/14 14:40   >>

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   早春の頃から花を咲かせるので、雪割り一華の名前がある。

   花は稀には1月末頃に咲くものもあるが、普通は2月中旬から3月中旬にかけてが

   最も花の数が多くなる。

   どこに生えても群生するのが普通である。


   
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   根茎は横に這い、普通は栄養繁殖によって増える。

   生えている場所が日陰になると、日当りの良い方へと根茎を広げるので

   自生地の集団は徐々にではあるが移動する。

   より良い環境へと集団移動をするのである。


   
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   比較的最近になって出版された図鑑などでも、分布は近畿地方以西、と記されたものが多いが

   ユキワリイチゲの自然分布の北限は三重県である。

   だから正確には東海地方以西ということになる。

   今回ここで紹介する画像は、すべて三重県で撮影したものである。

   私の著書の1冊である山渓フィールドブックス『春の野草』の初版は1991年だが

   分布はすでに三重県以西と正確に記している。

   この時に使った画像は京都の保津峡で1989年3月21日に撮影したものである。


   
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   私がはじめて三重県のユキワリイチゲを撮影したのは

   2013年の3月のことである。

   それ以前に、四国や九州、本州では岡山県や京都府などで撮影はしていたが

   北限にあたる三重県の自生地のものを見たのは

   この時が最初だったのである。

   それ以降、毎年のように三重県まで見に行っている。

   自宅から最も近い三重県の自生地は、家から日帰りが可能だからである。

   場所は異なるが、3ヶ所ほどの自生地を知っている。


   
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   闇雲に動いたからと言って、そう簡単に自生地には行き着けない。

   これらの場所を教えてくれたのは、当ブログにも度々コメントを書いてくれた

   ハンドルネームはアザミの歌さんこと、河野ノブ子さんである。

   彼女は惜しくも2015年に他界されてしまったが、こよなく自然の花を愛した

   芯のしっかりした女性だった。

   今も自生地を訪ねるたびに彼女のことを思い出す。


   
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   ユキワリイチゲは春を告げる素敵な花である。

   キクザキイチゲやアズマイチゲなどと同じような、スプリングエフェメラルのような感じがするが

   生態はキクザキイチゲやアズマイチゲとは、やや異なっている。

   葉が出てくるのは雪が解けた後の春先ではなく、晩秋の11月頃から出てくるのである。

   葉の色は赤茶色で、おまけに葉の表面には細かな白斑が入るので

   なんだかうす汚れたように見える。

   見た目の印象が凄く悪いので、損をしている気がしてならない。

   いっせいに葉を展開させたまま、集団で寒い冬を乗り切るのである。

   花が咲く頃になると、葉の色はだいぶ緑色が強くなるのだが

   葉裏は驚くような赤紫色をしている。


   
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   この葉の形からもわかるように、根出葉は3深裂する。

   茎葉は3個付くが柄がない。

   花は茎の先端に1輪咲くが、たまに枝分かれして2輪花を咲かせるものも稀にある。

   ユキワリイチゲにはウラベニイチゲやルリイチゲという別名がある。

   下の画像を見ると納得できると思うのだが、いちばん外側にある花びらの後ろが

   ほんのりと紅色をおびるのである。あるいは単純に、裏紅とは葉裏のことかも知れない。

   ルリイチゲは花の色による。

   三重県のものはいずれの地でも画像のような花の色のものがほとんどなのだが

   四国の高知県などでは、まさに瑠璃色と表現したくなるような色の濃い花もある。

   本山町で撮影したユキワリイチゲは、何とも色の濃い素晴らしい花だったが

   その場所は埋め立てられてしまった。


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   ところでユキワリイチゲの花は、太陽の光りが当たらないと開かない。

   思いのほか朝寝坊である。

   三重県ではどの場所でも、花が綺麗に開花するのは昼頃から

   午後の3時頃までである。生えている場所は川沿いの雑木林の下や竹林や笹薮の縁、

   植林された杉林の林縁部などである。

   朝早くだとビッシリとあるつぼみも、すべてしっかりと閉じていて

   そこに花園が出現することなど信じられないような場所ばかりである。

   自生している場所が総じて北斜面のせいかもしれない。


   
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   陽が陰った後も少しの間は花ひらいているが

   左上の花のように、中心の花びらからオシベやメシベを包み込むように

   意外と早く閉じてゆく。

   花の鮮度の良いものほど、花びらを閉じる速度が速い。

   花が終盤になるほど開閉の速度が遅くなる。


   
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   陽が陰ると花の色は青味を増して

   これはこれでまた魅力はあるのだが

   見られる時間はわずかである。

   まだ咲く花の種類が少ない早春に咲く花は、フクジュソウにしてもセツブンソウにしても

   各地の植物園をはじめ、観光用にお寺さんなどにも良く植えられている。

   植物園はともかくとしても、客寄せのために野生の植物を安易に庭などに植えて欲しくはないのだが

   人気があるとなると、商魂たくましい人は多い。

   山野草カタログなどにも載っているが、手は出して欲しくない、というのが

   みかんの切なる思いでもある。

   最後に、今回撮影した場所とは違うが、フラワーカレンダーの表紙を飾った画像をお目にかけたい。

   アザミの歌さんに三重県の自生地を教えてもらい、はじめて訪れた時のものである。


   
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   撮影は2018年3月12日 三重県松阪市で

   最後の画像は2013年3月9日 三重県の宮川河畔で。

   最後の画像はデジカメで撮影。その他はいつものスマホとコンデジでの撮影。

   スマホやコンデジは手持ちでの撮影です。画像はクリックすると2段階に拡大になります。

   細部を見たい時などは2段階に拡大すると、花びらのキラキラ感なども見えてきます。

   ですが、スマホの小さなサイズで撮影したものは、あまり大きくは拡大になりません。

   感想などお聞かせください。

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コメント(15件)

内 容 ニックネーム/日時
イチゲと名の付くキンポウゲ科は皆太陽大好きですね。
リンドウの仲間も陽が陰ると直ぐに閉じちゃうし。
今日、毎年見ているフデリンドウが順調に蕾を付けているのを確認してきました。
アライグマ
2018/03/14 19:21
アライグマさん こんにちは。
ここに来て急に春めいてきました。野生の花はなんと季節に忠実なことでしょう。
これからまた忙しくなります。
あまり急激に雪解けが進んで欲しくないのですが、こればっかりは神のみぞ知る、なのでしょうね。
みかん
2018/03/15 11:17
わたしはじつは、当時の新刊だった「春の野草」で、ユキワリイチゲの存在を知りました(それまでの植物図鑑では、西日本メインの植物は一部しか掲載されていませんでした)。実際に見ることができたのはそれから15年後、くじゅうでした。関東の人間にとっては憧憬のアネモネです。いま住んでいる長崎県はなぜか、ユキワリどころかキクザキ・アズマ、イチ〜サンリンソウもないところですが、キンポウゲ科ではカラマツソウで存在感を発揮しています。その土地土地の個性を大事にしながら、今年の観察をスタートしたいと思います。
アザミの歌さんは、わたしのHPの企画「今年出会った花ベスト集」の常連さんでした。みかんさんとの深いご縁を知り、アザミの歌さんのお人柄が忍ばれました。ご冥福をお祈りします。ネットで植物関係のやりとりをするようになって20年ほどになりますが、ほかにもyasukoさんや新井和也さんはじめ、ネットで知り合った方々の訃報が聞かれるようになってきたのはさびしいかぎりです。
宮本@長崎
2018/03/18 08:54
宮本さん 今晩は。
ユキワリイチゲのことを今まで書かなかったのは、アザミの歌さんのことが気になっていたからかも知れません。
彼女からの最後の私信は2015年1月19日でした。すでに体調は思わしくなく「宮本さんのところも、今年はまともな映像がないので思案していましたが、来年があるかどうかわからないので、思い切って投稿させていただきました」と書かれています。この時すでに死を覚悟していたのだと思います。
この年の4月17日にアザミの歌さんは、帰らぬ人となりました。
奇しくも彼女が亡くなったその日に、京都の早苗さんからメールがあり、ちょうど私がメールをもらった頃と同じ頃に、アザミの歌さんから携帯に電話があり、今生の別れを告げられて、辛くて悲しくて言葉にならなかったと。アザミの歌さんは、本当に芯の強い人でした。
その早苗さんも今、難しい病気と闘っています。ブログも更新されていないので、とても心配しています。年齢を重ねるとあちこちに色々と不具合が生まれます。親しい植物仲間と連絡が取れないと心細くなります。早く元気になられて、また早苗さんからのコメントが欲しいと、切に願っています。
みかん
2018/03/18 23:24
みかんさん、当時のアザミの歌さんのようすをご紹介いただき、初めて知ることばかりで言葉になりません。また、早苗さんも早く回復されるといいですね。
アザミの歌さんの最後の作品をあらためてごらんいただければうれしく思います。ちょうど今ごろ咲きだすヒメスミレ、「まともな映像がない」なんてことはありません。このスミレらしい、すてきな1枚です。
http://www.wildplants.sakura.ne.jp/best2014/2014best0121.htm
宮本@長崎
2018/03/19 22:42
みかんさん,ご無沙汰しております。
最近は知りませんが,従来の学校の教科書で採用されている日本の地域呼称によれば,三重県は近畿です。東海という呼称はなく,東海北陸を合わせて中部です。したがって,その延長で一般には三重以西なら,近畿以西という表現になります。
Magnolia
2018/03/20 12:58
訂正
三重をのぞく東海と,北陸,長野,新潟を合わせて中部,です。
Magnolia
2018/03/20 13:00
宮本さん たびたびどうも。
ブログでは個人的なことはなるべく書かないようにはしているのですが、どうしても書いておきたいこともあります。先方様に失礼のないように、とは常に意識しているつもりではあるのですが、話し言葉とは違って、文字ずらだけの難しさも感じているところです。
アザミの歌さんの最後の作品、時々拝見しています。
みかん
2018/03/20 22:54
Magnoliaさん お久しぶりです。
今年無事に退官されたそうで、長いことお疲れ様でした。
これからは研究一筋に徹するのでしょうか。

三重県は近畿地方に入るのですか、全く知りませんでした。ご指摘ありがとうございます。東海三県という言葉はいまだに使われているので、東海地方という言葉が死語になっていたとは思いもしませんでした。ありがとうございました。
テレビなどでは東海、北陸地方の天気予報として、東海では愛知、岐阜、三重の順番でいまだに放送されています。
教科書と言うのはどんどん変化してゆくので、昔の常識が非常識になっていることも多いですね。つくづく自分の歳を感じます。
ご教示感謝します。ありがとうございました。
みかん
2018/03/20 23:10
みかんさん,違いますよ!
私の言ったのは従来の文部科学省の地理の定義です。地方名はいろんな省庁がいろんな計画のために提唱していますから,それによってそれぞれ違います。ですので小中高の教科書には東海は載ってないかもしれませんが,東海は立派に現行言語です。死語ではないです。むしろ最近の教科書では東海が採用されてるかもしれません。地理の最近の教科書は見たことがないので。
そして,たとえば上記の私が言った中部に山梨県は入りますが,一般に天気予報などでは関東甲信越という言い方をしており,関東とくっつけられています。一方で,首都圏という国土交通省の用語では,首都圏に山梨県は含まれていますが,関東には含まれていません。
ですので,図鑑などでは地方名を使う場合は定義をしておかないと,本来は意味が通じません。

因みにおっしゃるように後1週間ほどで定年です。当分は無職のまま,植物三昧ができればいいなぁと思っていますが,どうなることやら。
Magnolia
2018/03/21 17:37
三重県は、近畿に入るはず、って先にMagnoliaさんがコメントしてくれました。
近畿、中部、関東という区分と、東海、北陸、甲信越といった区分は、別の区切り方なんでしょうね。
中部地方って、確かに地理で習いましたが、広すぎて、実感がない。
東海地方って言った方が、馴染みがあります。
ちなみに、東海3県と言ったら、愛知、三重、岐阜で、静岡を加えると東海4県になります。
さらには、近畿2府5県と言えば三重が入りますが、近畿2府4県と言うと、三重県は入りません。

すみません、なんか、うんちく話になってしまいました。
週末、ユキワリイチゲを見に行こうかな?
ほととぎ
2018/03/24 00:18
Magnoliaさん たびたびどうも。
文部科学省の地理の定義ですか。なるほど。
何しろアッシが学校で習った頃は文部省でしたからね。あはは
植物図鑑の分布等で使う場合は都道府県名での表記の方が共通の認識が持てそうですね。でも、具体的な場所の表記では地名もどんどん変わるので、これもなかなか難しい問題です。
3月の分類学会には出席したかったのですが、何かと多忙で行くことができませんでした。アッシも昨年すべての仕事を辞めたので、純粋な年金生活者となりました。これからは細々と生きていかなければ・・・あはは。
またどこかでお目にかかりたいですね。
みかん
2018/03/24 08:16
ほととぎさん おはようございます。
時間を見つけられて、あちこちに撮影に出ている様子はブログで拝見しています。
セツブンソウの雪のヤラセに関しては、まだこんなことをしている人もいるのかと、ビックリしましたが。
図鑑類での地方名の表記は、つくづく難しいと、今回の件で再認識しました。みかんは三重県は近畿地方という認識が全くなかったからです。こうやって自分の無知を指摘してもらえると有難いな、と思います。これもブログを長く続けている良さのひとつでしょうか。感謝、感謝です。
みかん
2018/03/24 08:31
ブログを見ていただき、ありがとうございます。
近頃は、花を撮る人が増えたように思います。そのせいか、いろんな人がいますね。
去年は、アズマイチゲの自生地で、ロープの中に堂々とマットを敷いて、その上に寝そべって、撮っている人がいました(今年も行ってみましたが、その人が寝そべっていたあたりは、花が一つも咲いていなかったような)。

そして、今年は、氷を削って、セツブンソウに振りかけて撮っている人。
まあ、霜の上にかき氷をかけても、大した影響はないし、写真の楽しみ方は人それぞれなんですが。
でも、せっかく霜のセツブンソウを撮りに、早起きして、1時間半かけてやってきたのに、台無しされた思いでした(でも、霜のセツブンソウはたくさん撮れましたが)。

春になると、皆さんから、ブログやフェイスブックに、次々と花の便りが届くので、ちょっと、あせりますね。
でも、以外なのは、北関東の花だよりが、兵庫あたりとほとんど変わらないか、むしろ早いくらいなこと。
ショウジョウバカマが咲いた、なんて、こっちは、まだ固いつぼみだというのに。

そうそう、ユキワリイチゲ、見てきました。
たぶんピークは過ぎていたけど、今年は、物凄い花付きでした。すぐに、ブログにアップしますね。
ほととぎ
2018/03/26 20:39
ほととぎさん たびたびどうも。
早速ブログを見に行ったのですが、ユキワリイチゲはまだでミスミソウやアマナでした。ユキワリイチゲ待ってますね。
確かにネットで春の花の開花状況が、あちこちから届けられると、本当にそわそわしますよね。今頃の季節はまさに3日見ぬ間の桜かな、で当地のソメイヨシノも昨日の晴天で一気に開いてきました。
みかん
2018/03/27 14:08

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