みかんの花日記

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zoom RSS ランド・アート(land art)とは

<<   作成日時 : 2018/02/02 17:17   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 22 / トラックバック 0 / コメント 4

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   多くの人にとって聞きなれない言葉かも知れない。

   ランド・アートとは、環境芸術などとも呼ばれるように

   自然の素材、石や木や草、貝、土、鉄などを使って、自然の中に構築する作品のこと。

   砂漠や平原などに作られる規模の大きなものは、アース・アート(earth art) などとも呼ばれる。

   エジプトのピラミッドやナスカの地上絵などは、古代のランド・アートである。

   今回紹介するランド・アートは、それほど大袈裟なものではない。

   やろうと思えば誰にでも出来るランド・アートである。


   
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   そもそも芸術とは、などと難しく考える必要はない。

   楽しければそれで良い。程度の軽い気持ちで作ればよい。

   ランド・アートとは、大地に人間による痕跡を残すことによって生まれる美術のジャンルだからである。

   このブログを訪ねてくれるほとんどの人が、自然が大好きの人達だろうと思う。

   特に自然の中でも、植物が大好きな人達であろうことを承知した上で

   我が友人の作ったランド・アートをお目にかける。


   
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   上の2点は、沖縄県の嘉津宇岳の頂上で友人が作ったランド・アートである。

   この日はあいにくの雨で、頂上は強風にあおられるほどの最悪の天気だった。

   白い濃霧に包まれた頂上からは、展望は皆無、目の前さえ見えないほどの悪天候。

   この場所なら、風も雨もある程度は防げるだろう岩陰に友人を残して

   私は足場の悪いさらにその先に、どうしても探しておきたい植物の探索に出掛けた。

   雨でメガネは曇るし、踏み跡程度があるかなしかの危険な場所をあちこち覗きながら

   目的の植物を探したが、それらしき姿は見えない。

   岩陰で待っていて、と残してきた友人のことも気にかかり、目的の植物が探せないまま

   スゴスゴと引き返したのである。

   すぐ側まで帰ってきても、大岩に阻まれて友人の姿は見えない。

   「オーイ」と大きな声で呼びかけてみる。

   そしたらなんと、この場所で友人は上の画像のようなランド・アートを楽しんでいたのである。

   いつの間に、どこで拾ってきていたのか赤いヤブツバキの数々と

   山頂まではびこって花を咲かせていた帰化植物のオオバナノセンダングサの花を摘んで

   上の画像のような作品を作っていたのである。

   帰りの道すがらも、彼は思いつくままにパパッと作品を作る。


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   大きく育ったクワズイモの葉が3枚、枯れ落ちる寸前なのだろうか、少し黄ばんで垂れ下がっていた。

   登山道に落ちていたヤンバルマユミの実をササッと拾うと、彼はその葉にリズミカルに並べてゆく。

   私はテントウ虫が這っているようで面白いな、と思う。

   「これは、どう」と、今度は山道に落下していたヤブツバキの花をちょこんと載せる。

   おそらく彼は、ほんの遊び心でやっているのだと思う。



   上のクワズイモとは別の株だが、雨でぬれて光り、葉脈が異様に目立ち、木々の間から吹いてくる風に

   大きく揺れている株があった。

   その葉の上に、赤いヤブツバキの花を1個だけ載せて、彼は真剣な眼差しで

   揺れ動くその様をスマホの動画で撮影していた。

   動画にしろ静止画にしろ、ランド・アートは記録が二次資料以上の意味を持つ。

   美術の表現は長く後世に保存される美術館の中だけのものではなく、時の経過とともに

   原型を留めず崩れ行くものもあるのである。

   1960年代後半に、アメリカやイギリスで起こったランド・アートは、写真に収めて作品とするひとつの

   美術のジャンルなのである。


   
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   嘉津宇岳に登った前日は、思いもしなかった絶滅危惧植物の開花に出会って

   大喜びで、じっくりと撮影に専念した。

   下見のつもりで訪れた場所に、なんと目的の植物が花ひらいていたのである。

   仕事に集中すると、周りのことなど全く気にしなくなる。

   自分が納得できるまで、思う存分に粘る。

   そんな私のことなど気にするでもなく、彼は彼でランド・アートに励んでいた。

   その作品のひとつが上のアレンジメントである。

   常々センスの良さは感じていたのだが、この作品を見て、これは真面目に記録に残そうと思った。

   普段はケイタイでパチパチするだけなのだが、本格的にデジカメで撮影した。

   クリックすると大きくなります。大きな画面でどうぞ。

   画像に記録することは、制作者との戦いでもある。

   作者の心をどれだけ読み取れるか、いや、作者が意図した以上のものを捉えたい。

   撮影者は常にそんな気持ちでシャッターを押す。


   
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   まるでブーケのようなアレンジメントが置かれていたのは、大木が二股に分かれた場所だった。

   その樹についた丸い模様の地衣類も面白いな、と思い

   少し引いて撮ったのが上の画像である。

   この場所に置かれていたということは、作者は多分、樹の二股は意識していたはずである。

   そう考えると、こちらの方が良いのかな、とも思えるのだが

   私が推すのは断然に最初の画像なのである。

   いちばん上の岩とヤブツバキの画像も、捉え方によっては、こんなにも雰囲気が変わるのですよ、

   という意味で別アングルのものを載せている。

   タテ位置とヨコ位置でもイメージは変わるし、どこをどのように切り取るかによって

   写真は全く違うイメージにもなるのである。

   制作者との戦い、と書いたのは、そういう意味である。


   
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   同じ素材を使いながら、こちらはヤエヤマオオタニワタリの葉を利用したものである。

   先ず注目して欲しいのは、その素材である。

   自然にある素材と言っても、何でもかんでも摘んでいい、というものではない。

   貴重なものなどは当然のことながら御法度。

   画像の花は、どちらも帰化植物のムラサキカタバミとオオバナノセンダングサである。

   それらを虫に喰われたヤエヤマオオタニワタリの葉の穴に挿しこんだだけなのだが

   一定の法則が面白い効果となっている。

   自然を良く知り理解していない人は、例え遊びと言えどもランド・アートなどをしてはいけない。

   彼が使う植物で言えば、散ってしまった花や落ちている果実、枯れてしまった葉、

   駆除の対象になるような帰化植物など等ばかりである。

   植生調査などの専門家でもあるから、その辺の事情は百も承知なのである。

   自然保護に関して言えば、私と全く同じ方向を向いている。

   あれこれ植物名をあげて、それがツーカーでわかる人間は滅多にいないが

   彼はそれらがわかる1人なのである。

   ケラマジカの調査に慶良間諸島に向かった彼とは、那覇でさようならをして

   ひと足早く家に戻った私に、慶良間に着くなりランド・アートをしていたという彼から

   メールで画像が届いた。

   彼の承諾を得たので、その画像をお目にかける。

   本人の意図するところが丸々写り込んでいるはずである。


   
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   最後の画像は私の大好きなモンパノキに、園芸種のオオハマボウだろうか

   野生のオオハマボウとはやや雰囲気の異なる花を並べている。

   それにしても慶良間の海は、いつ見ても素晴らしい。

   この島の多くの植物が、今は増えすぎて困っているケラマジカの食害に遭っている。

   天然記念物とは言え、指定を解除するなり、頭数を制限するなり

   何らかの方策を打ち出さないと

   取り返しのつかないことは目に見えている。














   私の撮影分は2018年1月18〜19日、沖縄県本部半島で。彼の手による慶良間の画像は20日だと思う。

   画像はクリックすると大きくなります。

   見た感想などお聞かせください。


   新しいブログをリリースしたと思ったら、雪の東京にいる彼から、再度メールが届いた。

   かつて生け花の先生から、雪を活ける、というタイトルで斬新な作品を見せられたことがあるが

   今回彼から送られて来た作品も、南国の沖縄とは真逆の斬新な作品なので、追加でアップすることにした。

   題材としている材料も、沖縄と同じ落花したヤブツバキの花である。


   
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   スイセンを題材とした、こんな作品も。

   
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   雪が解けてしまうまでの束の間の一瞬。

   消えてしまうからこその、命の輝きなのかも知れない。

   うす汚れた雪に小鳥の足跡、その足跡に重ねるような真ん中の作品に、いたく心魅かれた。

   ランド・アートはやはり面白い。





   2018年2月2日21時すぎに追加でアップした。

   

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
ランド・アート、知りませんでした。(^^ゞ
何なのか?素晴らしさは、この記事で理解出来ました。
でも、それ以上に、大切な事を教えて頂きました。
「自然を良く知り理解していない人は、例え遊びと言えどもランド・アートなどをしてはいけない。」
これには、ズキンときました。
というのが、「面白そう。やってみたい。(^^)」という単純な気持があったから。
「芸術は、楽しければそれで良い。」と言って頂いても、「自分が良ければそれで良い」という事ではないから、みかんさんの言葉は、とても重いです。

最初の画像で、大変な岩場に行かれたんや!と思いましたが、赤いのがヤブツバキで、二枚目の画像を見る事で、状況を理解できましたが、この発想がスゴイ!
クワズイモの葉を使った作品にも、オーッとなりました。
アレンジメントのテクニックも素晴らしい方なんですね。
生花展に、こんな作品があったら度肝を抜くやろなぁ。
勿論、そうなると、大木は、そのまま持ち込めないから、カットしなければなりせん。
そうなると、ランド・アートじゃないし、自然破壊になりそう。(^^ゞ
そう考えると、ランド・アートって、ものスゴイ芸術なんですね。
ヤエヤマオオタニワタリの葉の虫喰い穴に、ムラサキカタバミなどを挿しただけと言われても、どんな葉っぱでもOKというわけでもなく、この葉っぱの個性から、これを想像されるんやから、やっぱり、芸術家の方の「目」って違うんや。
そういう意味では、みかんさんも同じやと思いますけど。(^^ゞ
慶良間での作品は、ボクが見ると、自然にしか見えません。(^^ゞ
「モンパノキに、園芸種のオオハマボウ」…
モンパノキの花とは違っても、もう、普通に咲いてるようにしか見えへん。(^^ゞ
最後の雪を使ったランド・アートも素晴らしいです。
yoppy702
2018/02/03 18:42
みかんさまこんばんは。
ランド・アート知りませんでした。
楽しいですね よくわかりました。
そうですか 長くはもたなくとも 楽しめるアートですね。
雪の中に赤い椿がくっきり並び 素敵でした。
教えて下さってありがとうございました。

ブログのURLは http://blog.goo.ne.jp/tomo2013tomo2013 です。
ちごゆり嘉子
2018/02/03 19:03
yoppy702さん 今晩は。
みかんの言わんとするところを、これだけストレートに感じ取ってくれたことに、正直驚きました。
ありがとうございます。アッシも果たしてランド・アートを正しく認識しているのか、はなはだ疑問ではありますが、友人に触発されてなかなか面白いなぁ、と思いはじめています。
「いつも歩いている場所で偶然見かけた物が人の手によるのか自然にそうなったのか、微妙に判断に苦しむような、そんなかすかな不条理感を大切にしようと思っています。」彼は自分のホームページでこう書いています。
あなたも森のアーティストシリーズを読むと、より理解が深まると思います。
初心者が守らなければならないこと、なども優しく書いています。これからランド・アートをはじめようかな、と思ったら是非とも参考にしてくださいね。
http://biotopegarden.jp/news/1814.html
みかん
2018/02/04 19:39
ちごゆり嘉子さん お久しぶりですね。
お元気そうで何よりです。
植物つながりで友人のランド・アートを紹介してみました。
自然に負荷をかけずに自然の中で遊ぶ、なかなか楽しいと思います。お孫さんと一緒に自然の中で、こんな楽しみを見つけるのも意義のあることかと。
枯れ葉の1枚が、散ってしまった花びらの1枚が生き返るのですから。
みかん
2018/02/04 19:47

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