みかんの花日記

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zoom RSS ミカワマツムシソウ   Scabiosa japonica var. breviligula

<<   作成日時 : 2017/10/07 13:56   >>

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   はじめて見た人は

   「エッ、これがマツムシソウなの」と疑問に思ったことでしょう。

   そうなんです。ミカワマツムシソウは坊主頭のような

   こんな花の形をしているのです。

   もう少し花に近づいてみましょうか。


   
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   1輪の花に近づいてみました。

   正確には1輪の花ではなく、多数の小花の集まりですが

   これが今まさに満開状態の花なのです。

   あなたがイメージしていたマツムシソウとは

   随分と感じが違うことと思います。

   マツムシソウとミカワマツムシソウの違いは

   ひとつひとつの小さな花、小花の数の違いなのです。

   ミカワマツムシソウは小花の数が15個から30個くらいと少ないのです。

   マツムシソウは小花の数が70個から100個ほどあります。


   
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   上の画像をクリックしてみてください。

   この画像なら、あなたがイメージしているマツムシソウに近いかな?

   これもじつはミカワマツムシソウなのですよ。

   花のいちばん外側に、いくつかの舌状花をつけるものもあります。

   上の画像だと舌状花が4個、咲きはじめた小花が2個、丸いつぼみが全部で18個あります。

   この1輪の花のように見えるのは、じつは小花が24個集まったものだったのです。

   小花の数が少ないですから、ミカワマツムシソウということになります。


   
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   上の画像は長野県の菅平で撮影したマツムシソウです。

   ミカワマツムシソウとは、随分とイメージが違うでしょ。

   こちらの花の方が豪華に見えますよね。

   それもそのはず、高原に咲くマツムシソウは、いちばん外側にある舌状花が大きく目立ち

   中の小花も70個から100個くらいとたくさん着きます。それが1輪の花のように見えるのです。

   ですから花の直径も2.5〜5センチほどあり、かなり目立ちます。

   それに対してミカワマツムシソウは、花の直径が1〜3センチほどしかなく

   小さくて貧弱な感じがします。

   同じような状態の花を並べて見てみましょう。


   画像画像























   左がミカワマツムシソウ、右がマツムシソウです。

   どちらも花が咲きだしてきた状態です。

   こうして並べてみると、小花の数が違うということがわかりますね。

   ですが野外では両種が混生して咲いている場所はありません。

   ミカワマツムシソウは、愛知県、岐阜県、三重県、静岡県に分布しています。

   その昔、三河と呼ばれていた地域だけに限って生えているのです。

   生育しているのは主に蛇紋岩の崩壊地ですが、非蛇紋岩地にも稀に見られます。


   
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   蛇紋岩というのは普通青黒くて、ピカピカとした光沢があります。

   ですが長い年月風雨にさらされた崩壊地では

   赤茶色に変わっていることの方が多いですね。

   画像は愛知県新城市での撮影ですが、蛇紋岩の山として有名な尾瀬の至仏山や

   東北の早池峰山、北海道のアポイ岳など

   いずれも共通した赤茶色の岩や礫がゴロゴロとしています。

   蛇紋岩やカンラン岩などはマグネシウムイオンを多く含み、植物の生育を阻害します。

   それゆえ、それらに耐性を持った植物しか生えることが許されない特殊な土壌です。

   ミカワマツムシソウはそんな砂礫地の中や、蛇紋岩地周辺の草地などを主な住処としています。


   
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   蛇紋岩地の中では、上の画像のような舌状花のない花が目立つ気がするのですが

   一概には言えず、舌状花の目立つ株も今年は多かった気がします。

   一体どんな関係で舌状花が出たり、出なかったりするのか、はなはだ疑問です。

   花の咲いた株は枯れてしまいます。

   マツムシソウは越年草です。

   一般にはマツムシソウは2年草と言われることが多いのですが、成長の遅いロゼット株では

   3年目になって、初めて花を咲かせるものもあります。

   それゆえここでは越年草と表記しました。

   種子から芽生えた苗が、花の頃にはよく目立つロゼットへと成長しています。


   画像画像






















   このロゼットのまま冬を越し

   翌春から成長をはじめ、8月〜10月にかけて花が咲くようになるのです。

   花期の草丈は20センチほどの小さなものから、大きなものでも90センチほど

   マツムシソウよりは全体に小さく、枝分かれもまばらな感じがします。

   蛇紋岩の影響は受けている気はするのですが

   ミカワマツムシソウを発表した友人の須山氏によると

   ミカワマツムシソウは蛇紋岩変形の植物ではないと言います。

   試しに私も栽培してみたことがあるのですが、通常の土では草丈も大きく

   枝振りも多くなったのですが、頭花の大きさは変わらず、小花の数も少なかった。

   我が家での栽培では、新城市の自生地のものより、花の色は明らかに淡くなった。

   DNAの塩基配列ではマツムシソウとミカワマツムシソウは何ら変わる所がない。

   それゆえミカワマツムシソウはマツムシソウの変異の幅に収まるとして

   ミカワマツムシソウを区別しない考えの学者もいる。

   須山氏の研究では萼棘の長さが1〜2ミリで、マツムシソウより短く、半分くらいの長さしかないなど

   マツムシソウとは異なる点も色々と指摘している。

   見た目にこれほどの違いがあるミカワマツムシソウは、マツムシソウの変種である、という説に

   私も賛成である。


   
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   上の画像は舌状花を多くつけた花つきの良い株だが、普通は、花が小さいうえに

   枝は四方八方に伸びるので非常に絵にしずらい。

   これもまたミカワマツムシソウの特徴であるかも知れない。

   季節が来ると、毎年のように撮影に赴くが、いまだに気に入った画像が撮れていない。

   スッキリとしている割には、絵にするのが難しい被写体でもある。


   
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   このくらいの寄りだと、何とかなる気はするのだが

   植物図鑑の写真としては今一歩なのである。

   ところでマツムシソウの花の構造だが、限りなくキク科に近い。

   キク科に含めても良いほど、と思えるのだが

   DNAによる新分類では、なんとマツムシソウ科が消滅してしまった。

   スイカズラ科になったのである。

   ビックリ仰天である。

   新分類ではスイカズラ科マツムシソウ属となる。

   日本には北からエゾマツムシソウ、

   タカネマツムシソウ、

   マツムシソウ、

   ソナレマツムシソウ(アシタカマツムシソウ)、

   ミカワマツムシソウの5種がある。

   すでにすべて撮影済みだが、最後に今年撮影したタカネマツムシソウをお目にかけよう。


   画像画像






















   マツムシソウの仲間内では最も花の色が濃く、頭花は大きく、草丈は低い。

   いかにも高山植物と言った風格で、高山の晩夏の風に揺れている。

   タカネマツムシソウは、マツムシソウの中では

   最も好きな種類である。











   撮影はミカワマツムシソウが2017年10月4日 愛知県新城市で

   一部に数年前に撮影した画像も併用しています。

   マツムシソウは2010年9月13日 長野県菅平で。

   タカネマツムシソウは2017年8月21日 北アルプスの八方尾根で。

   画像のメインはデジカメで撮影。一部にスマホでの撮影が含まれています。
   クリックすると大きくなります。大きな画面でもどうぞ。

   画像、文章とも著作権は永田芳男にあります。無断使用を禁じます。

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コメント(14件)

内 容 ニックネーム/日時
ミカワマツムシソウだ!なんかなつかしく、嬉しいな。
最初はナベナみたいだ〜って思いましたよ。
アポロチョコのような種子の大きさや、
ノギの長さの違いを見ていると、変種でも良いのではないかなぁ〜、なんて思ったりして(^^;(素人の無責任発言です。スミマセン)。興味深いですね。
(^^)

新分類は未だに慣れません(^^; マツムシソウがスイカズラ科とは!?びっくりです。
shuku
2017/10/08 16:32
shukuさん 今晩は。
豊ボタで皆で訪れた頃が懐かしいですね。あの蛇紋岩地には変わらずミカワマツムシソウが咲いています。まだムラサキセンブリやリンドウには季節が早いですが、オケラやエンシュウハグマは咲いていましたよ。
須山氏がさかんに研究していた頃に、種子の形をアポロチョコに例えていましたが、私は当時アポロチョコを知らず、世代のギャップを感じました。彼女は当時は豊橋動植物園の学芸員でしたが、今や岐阜大学の准教授ですから、我々も歳を取るはずですよね。彼女の研究の成果、今後も期待しています。
みかん
2017/10/08 21:17
ミカワマツムシソウ、エッ、これがマツムシソウなの」と思いました。(^^ゞ
近づいた写真を見ると、ますます思ってしまいます。
でも、お馴染みのマツムシソウの雰囲気はありますね。
以下、みかんさんの説明を聞いて納得しました。
ミカワマツムシソウとマツムシソウの同じ状態を並べた画像を見ると、マツムシソウですね。
一つ一つの花弁の形が、ほぼ一緒。
DNAの配列では、何ら変わらなくても、それが、満開になると、こんなに違うんですね。
不思議ですねぇ…
お話を聞いてると、とても面白いです。(^^)
yoppy702
2017/10/09 12:11
yoppy702さん おはようございます。
いつもコメントありがとうございます。
ミカワマツムシソウは地域限定の植物ですが、蛇紋岩地に多いので、他の植物も楽しめます。今回ミカワマツムシソウを撮影していたら、いきなり背後から「マツバニンジンを知りませんか」と声を掛けられてビックリしました。ご夫妻で必死になってマツバニンジンを探しているようでした。なんでも植物仲間が今年この辺りで撮影したので、それを探しに来たようでした。時期的に少し遅いのと、この時間ではもう花は散っているのでは、と答えたのですが、夫妻はなをも探しているようでした。咲いているミカワマツムシソウには目もくれず。
みかん
2017/10/10 10:36
絵師さんに話をしたら昔、葦毛の主さんに連れて行ってもらった蛇紋岩の所に咲いていた小さなマツムシソウを一緒に観察させていただいた女性に「ミカワマツムシソウと名付けようと思っている」と聞かされたと言ってました。
同じ場所にいたのにσ(^^;)はミカワマツムシソウ見損なった。
(゜_゜;)
アライグマ
2017/10/10 20:50
アライグマさん こんにちは。
多分その時の女性が須山さんだったのだと思いますよ。
新城の蛇紋岩地であれば、個体数はそれなりに多いので、アライグマさんもその時に見たのだけど、記憶が飛んでいるのだと思います。
綺麗な大きな花なら印象に残るのでしょうが、ミカワマツムシソウはともかく地味ですからねぇ。ナベナかな、と思う人も多いようです。
みかん
2017/10/11 12:11
こんにちは。
ミカワマツムシソウ、かわいいですよね。でも、友人たちはムラサキセンブリは感動しますが、ミカワマツムシソウには「ヘェー」という程度の反応です。9月27日に見てきました。キキョウやナンバンギセル、アイナエその他色々と楽しませてもらいました。今月末、山は初めてという若い人たちにムラサキセンブリを見てもらいに行く予定です。
みえ
2017/10/12 10:33
 みかんさん、みなさん、ご無沙汰しています。HP「野生植物植物館」の宮本です。ミカワマツムシソウは、頭花が小さいのはもちろん、草姿がひょろひょろとしていて、どうにも絵にしにくいなぁ、と感じた記憶があります。写真のようなステキな被写体に出会ってみたいものです。

 ところで、わたしが運営するHPでは、今年も例年どおり、「2017年版・今年出会った花ベスト集」の作品募集を行っています。みなさん、この1年、さまざまな植物との出会いがあったと思います。わたしもこの4月、神奈川県から長崎県に転居し、県内や阿蘇でさまざまな植物を見る機会がありました。この企画は、かつてこのブログの常連だったYasukoさんが立ち上げたものを引き継いで運営しています。Yasukoさんのホームグラウンドだった九州に住むことになったのも、なにかの縁かもしれません。

 「ベスト集」には、この掲示板にお見えになる方も多く参加されていますので、ご興味のある方の投稿をお待ちしています。
http://www.wildplants.sakura.ne.jp/bestflowers2017.htm
宮本@長崎
2017/10/12 22:49
みえさん こんにちは。
久しぶりですね。ミカワマツムシソウは派手さがないですからムラサキセンブリなどと比べると、反応の薄い人が多いですね。
これからの季節はリンドウやヤマラッキョウ、ムラサキセンブリなどが賑やかになってきますね。あの場所も最近はイノシシの被害が多くなりましたね。先日もすぐ近くで唸っていて、姿こそ見せなかったものの、困ったことだと思いました。
みかん
2017/10/15 13:32
宮本さん こんにちは。
長崎の自然や九州の自然を楽しんでおられるようで、何よりです。
単身赴任だと何かと色々と大変でしょうが、与えられたチャンスは活かしながら多いに楽しんでくださいね。

連絡を貰って、もう「ベスト集」の季節なんだと、改めて思いました。
今年もまた沢山の人に参加して欲しいものです。もちろん私も参加します。もうすでに応募された方もいるようですが、こちらに遊びに来る方で、まだ1度も参加したことがない人も、今年は是非、お仲間に加わってください。
よろしくお願いいたします。
みかん
2017/10/15 13:39
ミカワマツムシソウを、それとは知らず、初めて見たのは、学生の時ですから、かれこれ35年ほど前です。

学生時代の夏休み、自転車に乗って、カメラと三脚を担いで、あちこち、花を探しに出かけていました。
昭和40年ごろの文献に、三河東部にも、ヒゴタイがあったとあって、その場所を探しまわっていたら、マツムシソウを見つけました。
あれ、こんな、低い山にマツムシソウがある、でも、えらい貧弱なマツムシソウだなあ、と思ったのを覚えています。

それが、ミカワマツムシソウだったんですね。
貧弱で、写真にも撮りづらいかったし、当時の私も、そんなに、感動はありませんでした。
ほととぎ
2017/10/22 22:52
ほととぎさん 今晩は。
分布域の限られたミカワマツムシソウですが、花が貧弱なためか、感動する人は確かに少ないですね。
かつての愛知県のススキ草原にはヒゴタイも咲いていたのですよね。愛知県からは完全に絶滅してしまいました。唯一標本が残されているのが救いでしょうか。ミカワマツムシソウにはそんな二の舞はさせたくないですね。
蛇紋岩地が残る限り、絶滅の心配だけはしなくて済みそうですが、いついかなることが起こるかはわからないので、種子だけは永久保存をしておくべきでしょうね。
この蛇紋岩地周辺に桜を植えたり、他の園芸種を植えたりは、相変わらず続いています。そのせいでもないのでしょうが、今年はエンシュウハグマの数が極端に少なくなりました。
みかん
2017/10/25 20:20
世界の桜園、でしたっけ?
何年か前、美談として、NHKの特集番組まで、組まれてましたね。

蛇紋岩地帯に自生する貴重な希少種を絶滅に追いやっているんだ、って投書したら、NHKから電話がかかってきましたよ。
残念ながら、その電話、妻が受けて、私は話ができませんでしたが。
ほととぎ
2017/10/27 00:17
ほととぎさん 今晩は。
そんなことがあったのですか。NHKの担当者も肝を冷やしたことでしょう。
せめてほととぎさんが電話を受けていれば、もう少し詳しい説明もできたのでしょうが、残念なことをしましたね。
以前に新城市の市役所に、K大のU先生を通して抗議したことがあったのですが、市役所の職員は事の重要性を全く理解できなかったようで、いささか厭きれてしまいました。
みかん
2017/10/28 21:08

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