みかんの花日記

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zoom RSS サクユリ   Lillium auratum var. platyphyllum

<<   作成日時 : 2016/07/19 11:21   >>

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   日本の野草の中で、いちばん大きな花を咲かせるのがサクユリである。

   花の直径は、大きなものでは30aほどもある。

   ともかく巨大な花を咲かせるのである。

   サクユリは伊豆七島だけに分布する。

   七島の中でも、特に利島、御蔵島、青ヶ島に多い。

   今回のサクユリの撮影地は神津島だが

   神津島でも個体数はかなりのものがある。


   
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   サクユリはヤマユリの変種である。

   花びらに赤褐色の斑点がないか、あってもヤマユリと比べたらその数が少ないものを指す。

   大島や神津島のサクユリのように、ヤマユリの形質を強く引き継いだものは

   画像のように、花びらに赤い斑点が出るものが多い。

   神津島では大部分の花にこの赤い斑点が出る。


   
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   青ヶ島ではこの花のことをサックイネラと呼んでいた。

   イネラとは百合のこと、サックは意味が不明だが

   この方言名サックイネラがサクになり、現在のサクユリという名前が定着したとされている。

   伊豆七島ではユリ類を総称してイネラと呼んでいたのである。

   学名に付けられている変種名platyphyllumとは、葉が幅広い、という意味である。

   サクユリの特徴は、茎は太くがっしりとして丈高く、大きなものは2メートルにもなる。

   葉の幅が広くて大きく、花も大きい。花被片(花びら)に赤褐色の斑点が少ない。

   などが特徴としてあげられている。


   
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   最初に神津島の林道脇で見た集団は

   どれもこれもかなり草丈が大きかった。

   サクユリの特徴でもある幅の広い、大きな葉をびっしりと着けて咲いていた。

   茎が太くてがっしりしているので、大きな花がいくつも咲いても

   花茎が倒れることはほとんどない。

   だが山の斜面や崖に生えたものなどは

   垂れさがって咲いているものもあった。


   
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   ヤマユリが大好きな私は、最初にこの集団に出会って

   すっかり有頂天になっていた。

   だが、かつて利島で撮影した典型的なサクユリは

   花びらに全く赤い斑点がなかったことを思い出した。

   ところがいま目の前に咲いているサクユリの集団の花には

   すべてヤマユリのような赤い斑点があるのである。

   だが、その他の点ではサクユリの特徴をすべて備えている。


   
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   まず花が大きい。

   ヤマユリを見慣れていると、ひと回り花が大きいことが即座にわかる。

   ちなみに、ヤマユリの花径は22〜24aだが

   サクユリは25〜30aもある。人の顔より大きいのである。

   おまけに葉の幅が広くて、厚い。

   ヤマユリの葉は地域変異が多すぎて、一概に数値に表せないが

   披針形から狭披針形、あるいは長卵形まであるのに対し

   サクユリは楕円形から長楕円形で、幅4〜5a長さ18〜20aである。


   
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   上の画像はまだつぼみだが、葉の幅が広いのがこれでわかるだろうか。

   今回は島内の何ヵ所かでサクユリを撮影した。

   数多くの個体を見ていると、やはりヤマユリに近いと思われる個体も出てくる。

   葉の幅にも変異はあって、相対的には幅広で厚いのだが

   なかにはやはり細いものも出てくる。


   
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   撮影したのは山の中腹、ある程度標高の高い場所なので

   そのほとんどがまだつぼみだった。

   注目して欲しいのは、つぼみのついた株の下に葉だけ見えている株の方である。

   上の幅広の葉と比べると、明らかに葉の幅が細いのがわかるだろう。

   個体差、と言ってしまえばそれまでなのだが、このように同じサクユリであっても

   葉の幅の狭いものもあるのである。


   
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   同様に草丈にしても、大きなものは2メートルにもなると書いたが

   山の頂上付近に生えるサクユリは、画像のように草丈がかなり低い。

   高さは30aくらいだろうか。

   これは常に強風が吹く風衝地であるために、サクユリと言えど

   丈高く伸びることが許されていないのである。

   1本の茎につく花の数も少ない。

   サクユリの花芽分化は草丈20〜30a、展開葉が10〜15枚の時に行われるが

   山頂付近のサクユリでは、一体いつ行われるのだろうか。


   
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   サクユリの花期は6月下旬から7月中旬にかけてである。

   標高の低い場所から開花がはじまり

   山の頂上付近では7月中旬に満開となる。

   この間であれば、どこかで花にお目にかかれるのである。

   すっくと大きいサクユリは、ヤマユリ以上の存在感がある

   どこで出会っても嬉しいものである。


   
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   花には芳香がある。

   かなり強い匂いである。

   この花の香りによって、サクユリはますます存在感が強くなる。


   
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   神津島には、上の画像のような典型的な

   無斑の個体は非常に少ない。探して探して、やっと見つかる程度である。

   サクユリはヤマユリの発表から遅れること18年後の

   1880年にベーカーによって新種発表がなされた。

   1879年にイギリスに送られた球根が開花し、それを元に新種発表がなされたのである。

   日本においては牧野富太郎が1902年に「大日本植物誌」に発表したのが最初である。

   牧野自身の手による見事なまでの植物画とともに。

   牧野は違う学名を用意したが、国際命名規約に乗っ取って、現在では先取権のあるベーカーの

   学名が使われている。

   サクユリは利島などでは園芸化されたものの栽培がさかんであり

   球根は手に入りやすい。ヤマユリと比べると球根も大きい。

   球根は食用にもなる。苦味はまったくなく甘みがある。

   ただ貯蔵中に腐敗しやすいという欠点がある。












   撮影は2016年7月2日〜4日 伊豆七島の神津島で

   画像はほとんどがスマホのカメラですが、一部にデジカメ画像もあります。

   デジカメ画像はかなり拡大になります。大きな画面でもお楽しみください。

   著作権はすべて永田芳男にあります。画像の無断使用には損害賠償請求を行います。

   充分お気を付けください。

   

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
サクユリ,どこかで見たことがあると思ったのですが,ヤマユリ好きの友人が「大手園芸会社から購入したヤマユリ」として庭に咲かせているものとそっくりです。
葉が少し大きめでつやもありました。
ヤマユリよりも開花期が少し早めでした。
ふだん野山で会うヤマユリよりも豪華で,「ヤマユリじゃなくて園芸種でしょう?」と言ってしまったほどです(仲のよい友人なので言いたい放題)。

もしかしたら,あれはサクユリかも,と,今回の記事を読んでしっくり来ました。
友人にも謝らなくては(サクユリという,ヤマユリの品種のようだよ,と)。
ありがとうございます。

(みかんさん,「則って」が誤変換になっています。)
はるこ
2016/07/20 15:45
↑の私のコメント訂正

サクユリはヤマユリの変種

ですね。
Lilium auratum Lindl. var. platyphyllumでした。
はるこ
2016/07/20 15:50
はるこさん 今晩は。
サクユリを庭に植えている人は結構多いですね。
サクユリの園芸品種としては大口紅、大紅筋、白星などという代表的な品種の他に、様々なユリとの掛け合わせで生まれたジャパニーズハイブリットが幅を効かせているようです。毎年のように新品種が発表されるので、園芸品種にはなかなかついていけません。
それにしても野生で、これほど大きな花を咲かせるサクユリは、やはり日本の誇りでしょうね。
みかん
2016/07/20 19:36

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