みかんの花日記

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zoom RSS ヒゴシオン  Aster maackii

<<   作成日時 : 2015/11/19 13:26   >>

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   名前のヒゴとは肥後で、熊本県のことである。

   名前が示すように、熊本県の阿蘇の湿地に生える野菊である。

   阿蘇固有と言っても良いような種類だが、厳密に言うと

   熊本県の他は大分県の一部にも自生するようである。

   阿蘇には、大陸的要素の植物が多く残っているが

   その多くが、阿蘇・九重に代表される両ススキ草原に多いので

   分布は熊本県と大分県ということになる。


   
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   広大な阿蘇の草原の中に開けた湿地に生えるが

   どこでも上の画像のように群生するのが普通である。

   足元に水が流れていたり、踏み込めば靴が濡れてしまうような湿地が住処で

   乾いた場所には出てこない。

   今年は花の季節に2回阿蘇を訪れた。

   1回目は9月10日〜12日

   湯布院で撮影した後で阿蘇に向かったのである。


   
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   ヒゴシオンの花期は9月から10月にかけてである。

   今から20数年前にはじめて連れて行ってもらった湿地が

   あまりにも見事なヒゴシオンの花野だった。

   当時、その湿地を保護すべきかどうか相談されたのだが

   まったく知られていなかった無名の湿地だったので

   あえて何にも手を加えず、このままの方が良いでしょう、とアドバイスした。

   当時、現地を案内してくれた人はすでに亡くなり

   20数年という歳月の流れは、その草原を管理していた人達にも変化が現れ

   高齢化という現実の波が押し寄せた。

   離農する人も出はじめた。

   急な斜面の草刈りや野焼きは行われなくなった。

   そのせいで谷底にあった湿地は、急速に遷移が進んだ。

   そして最近では、牧野組合が草原の入り口に鍵付きのゲートを作ってしまい

   勝手に入るわけにはいかなくなってしまった。

   湿地の場所はわかっていても、近づけなくなってしまったのである。


   
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   幸いにしてその日は、熊本在住のSさんがいたお蔭で

   ゲートの鍵を開けてもらい中に入ったのである。

   Sさんは、はじめてこの場所に私を案内してくれたTさんの弟子にあたる方で

   当時よりよくTさんに付いて歩いていた方である。

   背丈をはるかに超すススキの藪をかき分けて

   湿地について唖然とした。

   そこはかつてのようなヒゴシオンの海原ではなかった。

   花がまだ咲きはじめたばかりのせいもあるが

   明らかに規模が小さくなっていたのである。

   落胆する私を見て、同行のSさんが

   それなら阿蘇でいちばんの群生地に案内しましょう、と言ってくれた。

   だがこの日、そちらの草原の道にも頑丈なゲートには鍵がかけられていた。

   最近は草原を管理する牧野組合によって、草原の道には

   ことごとく鍵がかけられている。


   
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   2回目の訪問は9月28日から10月1日

   牧野組合に交渉してゲートの鍵を開けてもらうようお願いしておいたお蔭で

   草原のかなり奥にある上の画像の場所まで、車で行くことができたのである。

   ご丁寧にゲートの鍵は2か所にかけられていて

   牧野組合の人しか入れない、私もはじめて訪問する場所だった。

   なるほど、その場所は草原の上から眺めても薄紫色にかすんで見えた。

   そんな群生地が何ヵ所かある。

   阿蘇の花を知り尽くしているSさんなればこその、秘密の花園だったのかも知れない。


   
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   ゆるやかな水の流れに沿うように

   群生地は続いていた。

   今年は例年よりすべての花の花期が早かったように思う。

   そのせいかベストの花期を選んだつもりだったのだが

   あと1週間早かったらなぁ、とため息がもれた。

   花がもっとも美しく見える時季を的確に捉えることの難しさを痛感した。


   
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   とは言えそこかしこに咲くヒゴシオンは、まだまだ花の最盛期だった。

   多くは咲き進んでいるが、まだつぼみもたくさんあった。

   こんなに広い湿地が、誰も訪れることもなく、自然のままに放られている。

   湿原にはアケボノソウやウメバチソウなどもまだ花が残っていた。

   サワギキョウの季節に来れば、また違う色の紫色に染まっているであろう。

   そんな広い湿地を、たった2人で歩きながら

   改めて阿蘇の奥深さを知った。


   
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   阿蘇で最大のヒゴシオンの群生地と言われるこの湿地も

   長い将来にわたって、ずっと安泰というわけではない。

   周りを取り巻くススキ草原の丘や山が

   野焼きをされなくなったり、定期的な草刈りが継続して行われなくなったりすれば

   あっという間に遷移が進んで

   花の少ない原野から、林へと移行してしまう。

   阿蘇の草原は、長い年月をかけて人間が作り上げた人工の自然だからである。

   いま、阿蘇の草原は、地球温暖化などの現象のほかに

   改良牧野や草原に関わる人間の高齢化などによって

   岐路に立たされている。











   撮影は毎度おなじみのケイタイ画像です。

   クリックすると少し大きくなりますので、大きな画面でもどうぞ。

   私のケイタイカメラの特徴で、花は少し青みが強いですが、実際のヒゴシオンの花は

   もう少し赤みの強い紫色をしています。

   撮影は2015年9月11日と29日に撮影しました。

   阿蘇の野の花全般に言えることですが、20年ほど前と比べると明らかに花の量が少なくなっています。

   これから冬に向かって、咲く花の種類は極端に少なくなります。

   撮影はしたものの時間が経ちすぎてボツにしてしまった色々な花を

   この冬はアップしていきたいと思っています。

   感想をお書きいただけると嬉しいです。


   

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コメント(10件)

内 容 ニックネーム/日時
シオンと言うとどうしても園芸品種の背の高い奴を思い出すけど
やはり天然物は良いですね〜〜〜
ヽ(´ー`)ノ
準天然物ですけど家の近くの住宅地に建物を取り壊して更地にしたまま何年も放って置かれている所が有りそこに出る野菊はなかなか良いです。
▼-ω-▼
アライグマ
2015/11/19 21:18
こんばんは〜

阿蘇の原野は奥が深いですね
色んな花が色んな所に隠れているようです
でもここ数年、本当に入れなくなっています
花を守るためには良いことかもしれませんが・・・・複雑な気持ちです
盗掘だけではなくて、人間の手が入らなくなると植物も生存の危機になるんですね
ヒゴシオンの群生が見事ですね、いつまでも残っていくことを願いたいですね
いっしい
2015/11/19 22:40
アライグマさん 今晩は。
野草が好きな人は園芸種を敬遠する傾向が強いですね。私もその1人ですが、
やはり庭に植えられた派手な花より、野生種の楚々とした風情の方に魅かれるものがあります。
ヒゴシオンは地域限定で、なおかつ誰もが見られるという普通種ではありませんが
会いに行く価値がある野草だと思っています。
みかん
2015/11/19 22:56
いっしいさん 今晩は。
かつてはどこでも入れた草原に、今はことごとく鍵がかけられてしまい、花好きには撮影しずらい阿蘇になってしまいましたね。
盗掘もまだあるらしいのですが、それより花の撮影に入っただけで、今年大きな問題になった事例があったそうです。阿蘇の草原はどこも、それぞれの牧野組合が管理している民有地ですから仕方ないことではありますが、撮影する我々もそれなりの良識を持ちたいと思いました。
みかん
2015/11/19 23:06
難しい事案です。
湿地ともなると余計に難しいのだと想像します。

こうしてみかんさんの撮影したヒゴシオンをインターネット上で見られるだけで私はよいのですが,現地で現物を見たいと思うかたもいるでしょうし。

阿蘇の草原,あこがれの場所です。
はるこ
2015/11/21 15:42
はるこさん 今晩は。
阿蘇の草原も含めて、野生の花の保護はこれから大変なことになるだろうと思っています。人間が長い年月をかけて培ってきた草原が、改良草原に変わろうとしています。ブルトーザーで山を平らにして、そこに外来牧草を蒔く、古来から育ってきた植物たちは根こそぎ壊滅状態です。そんな草原が多くなっています。阿蘇の緑豊かな草原は、魅力の全くない牧草地に変わるのは、時間の問題かも知れません。
みかん
2015/11/21 21:31
わたしは去年、熊本に行く機会があった際、せっかくだからと阿蘇まで足をのばし、初めてヒゴシオンを見ることができました。大輪の花が群生するようすは図鑑のイメージよりずっとはなやかな印象で、園芸植物のようでした。
事前に阿蘇エリアの1/2.5万地図をじぃーっと見つめ、牧草地に点在する湿地という生息環境からいろいろ類推していたのですが、このときはそのとおりの場所でヒゴシオンやマンシュウスイランを見つけることができ、うれしさもひとしおでした。
放牧する側にしてみれば、牛が入り込んだりして便の悪い窪地にある湿地はなくしてしまい、輸入種子で安定生産できる広々とした牧草地にしてしまったほうがよいのかもしれませんが、さまざまな生物の生育場所であることにももっと目を向け、いろんな立場の人たちがわかりあいながら共存できるようになればよいのですが。
「2015年版・今年出会った花ベスト集」も引き続き作品募集中です。みなさん、よろしくお願いいたします。
http://wildplants.sakura.ne.jp
宮本
2015/11/23 17:06
宮本さん 今晩は。
利用価値のない湿地は埋め立てられるか、そのまま放置されることが多いのですが、湿地の周りにある草地の草刈りや野焼きが行われなくなると、湿地もかなり荒れて、マンシュウスイランなどは真っ先に絶えてしまいます。
今回はマンシュウスイランは消え、シムラニンジンなども激減していました。ある特定の植物だけを保護しても、それはあまり意味のないことです。湿原全体を保護する動きが欲しいと思っているのですが、地権者や環境保護団体や、様々な人たちの意見がバラバラでなかなか思うようには進んでいないようです。
みかん
2015/11/24 19:37
素晴らしい! 群生にビックリで〜す。
 素晴らしい場所に、案内してもらえ
よかったですね・・・
 南国肥後の国ですものね・・・
ちごゆり嘉子の部屋
2015/12/06 19:40
ちごゆり嘉子さん 今晩は。
阿蘇はもう雪景色かもしれませんね。
今年は久しぶりに素晴らしい群生を見ましたが
あと1週間早かったら、もっと素敵だったと思います。贅沢ですが。
みかん
2015/12/07 19:34

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