みかんの花日記

アクセスカウンタ

zoom RSS 花野   忍び寄る秋の気配

<<   作成日時 : 2015/08/12 14:12   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 28 / トラックバック 0 / コメント 8

画像



                     花野とは、俳句の世界では秋の季語である。

                     秋草の咲き乱れる野辺を指す言葉でもある。



   暦の上では立秋もすぎたが、当地はまだ連日の猛暑日が続いている。

   連日の暑さにはうんざりだが、8月の声を聞けば涼しい高原には

   秋の気配が忍び寄る。


   
画像



   そんなわけで、涼しい高原の風に触れてきた。

   場所は長野県の某所である。

   すでにマルバハギはかなり咲きだしていた。

   その萩に埋もれるようにしてキキョウも咲いていた。


   
画像



   ハギもキキョウも、秋の七草に選ばれている代表的な秋草である。

   特にキキョウは、寺院の庭に植えられたものや、園芸種としても矮性化したものが売られていて

   馴染みはあるものの、野生のキキョウを見ることは

   最近ではほとんどなくなった。

   かつては日本中のどこの里山でも見ることができた、ごくごく普通の野草だった。


   
画像



   それが、今では絶滅危惧植物に指定されるほどに

   減ってしまったのである。

   花屋の店先などでもおなじみであるために

   キキョウの減少は一般にはあまり知られていない。

   だが、分布からすれば日本のほぼ全土にあるものの

   その密度は、極めて危ういのである。


   
画像



   上の画像は、今回訪れたなかでも、最もキキョウがたくさん咲いていた草原である。

   こんな場所はもはや幻

   出会うことなど滅多にないであろう群生地である。

   こんな場所がかろうじて残っているのは

   1にも2にも、スキー場の管理による。


   画像画像





















   長野県内には多くのスキー場があるが

   ここ一帯のスキー場は、ブルドーザーで整地をするわけでもなく

   外来種の牧草をまくわけでもなく、芝の種をまくわけでもない。

   自然のままの斜面を利用して、秋に定期的な草刈りをしているだけなのである。

   それゆえ見事なお花畑が広がっている。


   
画像



   上の画像はオオバギボウシである。

   春の若葉は山菜としても利用されるオオバギボウシは

   地元ではウルイの名前で呼ばれている。

   キキョウだけではなく、それらも大群生している。


   画像画像





















   里人は山からの恵みも享受するために

   スキー場といえど、大事に管理しているのである。

   このスキー場一帯は、特に春先のワラビ狩りでも知られている。

   ちなみにオオバギボウシはつぼみも花も食べることができる。

   さっと湯がいて三杯酢などにすると

   花の色の紫色がより強く出て、何とも優雅な一皿となる。


   
画像



   ススキの穂が出はじめた草原には

   秋の七草がほぼ揃っている。

   オミナエシの黄色の花も、あちこちで花盛り。

   だだひとつないのがフジバカマだが

   まるでそれに代わるように、あちこちで大きな群落を作っていたのが

   下の画像のヨツバヒヨドリである。


   
画像



   万葉の時代のフジバカマだが

   私はフジバカマもヒヨドリバナもヨツバヒヨドリなども、見た目がすべて同じように見えるこれらの植物を

   すべて含めてフジバカマと呼んでいたような気がしてならない。

   この考察は改めてしたいと思う。

   今でこそ、カワラナデシコとエゾカワラナデシコ、タカネナデシコなどと細かく分類しているが

   おおらかな万葉人がそれらを区別していたとは、とうてい思えない。

   これらはすべてナデシコだったのである。


   画像画像





















   草原を歩いていると、何やら良い匂いが立ちのぼってくる。

   上の左画像のイブキジャコウソウである。この画像はまだ花盛りだが

   道端に生えた多くは、もうすでに花期を終えた。

   それらを誰かが踏んづけたのであろう

   ほんの一瞬だったが、涼しい風の中に香気が混じっていた。

   上の右画像はカセンソウ。草原は今まさに花盛り

   歩くほどに様々な花が顔を出すのである。


   
画像



   2メートル以上の高さになって、ダイナミックに咲いているのはシシウドである。

   このスキー場の斜面には、より高所に生えて、葉裏に毛が密生するミヤマシシウドも生えている。

   高山植物と高原の花が入り混じって咲いているのである。

   8月になったばかりだというのに、マツムシソウがかなり咲きだしていた。

   コウリンカが花弁を垂れて、随所に咲いている。

   座り込んで目をこらさないと花に気がつかないほどタチコゴメグサの花は小さい。

   ヤマハハコが白いカサカサとした花を咲かせている。

   ウツボグサの紫色がまだ咲き残っていた。

   アヤメの果実の多さが、最盛期の絨毯のような広がりを連想させる。


   
画像



   とびきり広いスキー場をいくつか巡ったが

   どこでも目立っていたのがオレンジ色のコオニユリである。

   スキー場の斜面にはオニユリは1本もなく

   何輪も花やつぼみをつけているユリのすべてが

   葉の付け根にムカゴをつけないコオニユリだった。



   長野県の多くの高原が、いま鹿の食害に悩んでいる。

   花の名所と言われる高原のほとんどに

   あきらかな被害が出ている。

   なかには丸坊主状態の所もある。

   かつてマツムシソウの群生地だった霧ヶ峰や八子ヶ峰は

   今や面影さえも残ってはいない。

   トリカブトのような毒草さえ、極端に減少している。

   そんな現況の中にあって、これだけの花野が維持されているこのスキー場周辺は

   なんとも貴重な場所である。


   画像画像

























   撮影は2015年8月5日 長野県のスキー場で
   この日は月に一度あるカルチャー教室の生徒を連れての団体日帰りでした。
   じっくりと撮影する余裕はなく、生徒に説明する合間にケイタイでパチパチ撮ったものです。
   もっとたくさん色々な花が咲いていましたが、そのごく一部分です。

   デジカメは持参していませんが、本来ならここで数日は過ごす場所なのです。

   初心者のコメント歓迎します。気軽に書き込んでください。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 28
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス
面白い 面白い 面白い
かわいい かわいい
驚いた

コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
花好きには天国のようなスキー場ですね。花を見て、観て、写して寝ての繰り返しで数日のんびり過ごしたいです。
流れ星
2015/08/12 20:44
あらま、あのスキー場にはイブキジャコウソウもあったの!
知らなかった。
マツムシソウもコウリンカも大好きです。
野生のキキョウは、ほぼ見られるところが無いと聞いていたので
以前訪れたときにこのスキー場で見られたときは衝撃だった。
しかもあの大群生ですから。
アライグマ
2015/08/12 21:46
草刈りでしっかり管理されているスキー場は少ないのかもしれません。
東北地方のスキー場では,草刈りもしているけど,外来種も植え込んでるところが多いように感じます。

それにしても,素晴らしいところです。
フジバカマに関する考察,楽しみにしています(私も気になっていました)。
はるこ
2015/08/12 22:24
流れ星さん 今晩は。
長野県内のスキー場では一級の花野です。ですが、ここは花の名所でもなんでもなく、夏合宿の学生で賑やかなくらいです。花を見に来る人がいないことも気に入っている原因のひとつです。
ところでブログのナツエビネ、見事ですねぇ。私は各地で比較的良く見るランですが、これほどの群生は見たことがありません。
みかん
2015/08/12 23:55
アライグマさん 今晩は。
イブキジャコウソウは多いですよ。それこそ踏みつけないと歩けないくらいです。
白花も咲いていましたよ。生徒の一人が、伊吹山よりはるかに多いですね、と驚いていました。ただ高山の色の濃いものと比べると、高原に咲く花は花の色が淡い傾向が強いですね。
帰る頃になってユウスゲがぽつぽつと花を開いてきました。ここのユウスゲもなかなか見ごたえがあるので好きです。
みかん
2015/08/13 00:01
はるこさん 今晩は。
スキー場の管理としては、自然を活かした見事な管理だと思います。近くに別荘地やペンションが多いせいか、野生の鹿が頻繁に現れないのも好ましいですね。ですがいつまでもこの状態が続くかは、はなはだ疑問です。
オオアワガエリやヒメジオンなども相当入り込んではいますが、まだまだ自然度はかなり高いですね。キオンやアキノキリンソウ、ウメバチソウなどが次に咲く準備を整えていました。
みかん
2015/08/13 00:08
すばらしい、お花畑ですね!
キキョウの群生、こんなの、見たことありません。
シカの食害が及ばないことを祈るばかりです。
万葉の昔は、フジバカマ、ヒヨドリバナなどひっくるめてフジバカマ、
カワラナデシコ、タカネナデシコなどひっくるめてナデシコ、
激しく同意です!
現代だって、学者さんが詳しく分けるのはいいけど、一般には、あまり細分化しなくていいと思う。

ほととぎ
2015/08/13 22:39
ほととぎさん 久しぶりです。
この夏はどこかに出かけましたか?暑いですが丹後半島がなつかしいです。いつか夕陽と海とユウスゲの写真を撮りたいと思っています。
花の多い長野県ですが、最近はどこも鹿の食害が多すぎて、出かけてみようという気が失せてしまいました。そのくらいヒドイ状況です。そんな中にあってここは別格ですが、いつまでこの状態が続くのか不安でもあります。
分類に関しては、細かく分ける学者もいれば、大きく括る学者もいます。こればっかりは個々の学者の考え方ですから。素人が納得できる分類というのは、とても大事な気もします。
みかん
2015/08/14 12:20

コメントする help

ニックネーム
本 文
花野   忍び寄る秋の気配 みかんの花日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる