みかんの花日記

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zoom RSS どなんの島ふたたび 2   与那国島の絶滅危惧植物

<<   作成日時 : 2015/04/17 07:12   >>

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   名前に島の名を冠したヨナグニイソノギクは、与那国島を代表する固有種であり

   絶滅危惧植物でもある。

   花期は2月〜4月だが、いちばんの最盛期は3月頃のような気がする。

   だが南国の植物の多くは、だらだらと長い期間にわたって咲くものが多く

   ヨナグニイソノギクは秋でも花を見ることが多い。


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   花びらの色は薄紫だが、個体によって濃淡があり、中には真っ白いものもある。

   沖縄本島や奄美大島などに生えるイソノギクとは、葉や茎に生える毛で区別する。

   ヨナグニイソノギクには長軟毛がびっしりと生えている。

   海辺の岩場や崖地に生えるが、与那国島の中でも生える場所は限られている。

   島の東側の限られた地域にしか分布せず

   たくさんの種子ができても、一定の区域以外に分布が広がることはない。

   人間の目でははかり知ることのできない、何かがあるのだろう。


   
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   今回の訪問では、いくつかの目的があったが

   いちばん撮影したかった花がある。

   ヨナグニカモメヅルである。

   与那国島の固有種で、絶滅危惧植物としては最もその存在が危ぶまれているCRにランクされている。

   3年前の訪問で、生えている場所は何ヵ所かで確認していた。

   問題は花期である。

   普通は夏から秋にかけてが開花期とされるが、私の持っている様々な情報から

   春に賭けてみたのである。


   
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   島に渡って3日目、ある山の登山口付近で、たった1輪だけ咲いている花を見つけた。

   その花を写そうと近づいてみると

   なんとその花の裏側に、花盛りの株が絡みついていたのである。

   天気が良すぎて、木や草の影でまだらになるのを敬遠して

   太陽が雲にさえぎられて陰るのを辛抱強く待ちながら

   内心ほくほく顔での撮影となったのである。

   この日の収穫はこれだけでも充分だったが、もうひとつ素晴らしい野生蘭との出会いがあった。


   
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   それは、まったく想定外の大収穫だった。

   ラン類には香りのないものが多いが、

   ジャコウキヌランには、芳香がある。

   花に出会って真っ先にしたことは、小さな花に鼻を近づけて

   その芳香の確認である。

   なんと表現したら良いのか迷うが、ともかく品の良い香りである。

   この香りを麝香にたとえて、ジャコウキヌランの名前がついた。

   絶滅危惧植物のなかでは、絶滅危惧TB類のENに指定されている。


   
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   1本ずつぽつんぽつんと咲くのが普通の姿だが

   帰りがけに2本並んで咲いている株があった。

   花はちょうど咲きはじめたばかりで、何ともラッキーな出会いだった。

   ただこの場所に行き着くまでが大変で

   さしたる距離でもないのに、まったくのジャングル

   滑る石や岩に気をつけながら、沢沿いを歩いたり、急な斜面を登ったり

   茨にひっかかれ、ツルに足をとられ、クモの巣をかぶり

   したたる汗をタオルで絞り絞り

   難行苦行の連続だったのである。

   1日分の体力を使いはたしてしまうほどで、路肩に停めた車に帰り着いて

   がぶ飲みした水のうまかったこと。

   3月に発売した増補改訂新版の『レッドデータプランツ』にも

   ヨナグニカモメヅルとジャコウキヌランは載せることができなかった新作中の新作である。


   
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   上の画像のマルバアサガオガラクサも

   与那国島の固有種である。

   以前に撮影した場所とは違う場所で、思わぬ群生に出会った。

   今の季節、ケサヤバナはどんな具合だろうかと立ち寄った岬だった。

   朝からカンカン照りの真夏日だったから

   午前中だけに咲くこの花が花盛りだった。


   
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   花の直径はわずか1センチほどの小さな花なのだが

   ご覧のような鮮やかな色をしているので

   とてもよく目立つのである。

   私のケイタイのカメラの具合でブルーが強調されているが

   実際の色はもう少し紫色がかっている。

   花は咲きだしたばかりのせいか、とても多くの花が微笑んでいた。


   
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   マルバアサガオガラクサも生える場所は

   上の画像のような海崖や海辺の草原

   主に隆起珊瑚礁の中である。

   これだけたくさん咲く花が、午後になると

   まるで嘘のように目立たなくなるのである。

   地面を這って、へばりつくように咲く花だから

   ケイタイカメラの広角のレンズでないと

   上の画像のようなアングルは取れない。

   本業のデジカメ映像では、上のような場面が撮れていないのである。

   う〜ん、やはり本業用の広角レンズが欲しいなぁ。


   
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   与那国島がニュースネタとなって、テレビに流れるようなことはほとんどないが

   先ごろのニュースで、島に住む中学生にまで選挙権を与え

   自衛隊の基地の是非を問う投票が行われたことは、大きく全国ネットでも放映された。

   その自衛隊の基地づくりの作業が、今、粛々と進行中である。

   現場をこの目で確認したいということも、今回の目的のひとつでもあった。

   このあたりが基地予定地と以前に聞き及んではいたが

   実際にその工事現場を見てみると、あまりにも広大な面積で

   失われた広大な緑が残念でならない。



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   その自衛隊の基地近くに、このトゲイボタはある。

   環境アセスメントによって、この場所は避けられているものの

   実際に建物ができ人が暮らしはじめると、その影響はどう出るのか

   決して今のままではあるまい、と思う。

   トゲイボタは与那国島の他には、渡名喜島と伊良部島だにしか自生していない。

   絶滅危惧植物の中でも、CRにランクされている絶滅寸前の貴重種なのである。


   
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   絶滅寸前と言えば、上の画像のオオバケアサガオも同じランクのCRである。

   やや花期的には早いものの、この花も是非とも今回撮りたい花だった。

   だが大きな葉がからみついたツルはあるものの

   花が咲いた株が見つからないのである。

   オオバケとは大葉毛で、大きな葉っぱに毛が生えているという意味である。

   上の画像の右上の葉で、毛が生えている状態がわかると思う。

   クリックして大きな画面で確認してみてください。


   
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   葉が大きい割に、花はなんとも小さい。

   上の画像で、花の周りの葉はすべてオオバケアサガオである。

   花が咲いている場所をやっと見つけて

   ここでかなり粘って撮影しました。


   画像画像






















   ハママンネングサは多くはないものの、島の東部でも西部でも

   海辺の岩場で見ることができる。

   与那国島では多くはないが、九州の西南部から

   琉球列島にかけて広く分布するので

   レッドデータブックでは、準絶滅危惧のNTに分類されている。


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   上の画像は少し雰囲気が異なるが、どちらもヤエヤマスズコウジュである。

   左が隆起石灰岩(隆起珊瑚礁)に生えたもの。右が原野に生えたものである。

   レッドデータブックでは、ヤエヤマスズコウジュは絶滅危惧U類のVUの指定だが

   現地調査が細かく行われていないための判定に思えて仕方がない。

   沖縄本島から八重山まで広く分布し、特に八重山ではその量が多い。

   与那国島以外では減少傾向のようだが

   与那国島の大群落を見てしまうと

   指定するなら準絶滅危惧のNTくらいが妥当のような気がする。

   与那国島ではいたるところにあって、しかもその量が半端ではない。

   さながらピンクのカーペット状態が随所にあるのである。

   参考までに下の画像をご覧ください。


   
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   このように、見渡す限りピンクの花が咲き続いているのです。

   限られた島だけにある植物と考えてみても

   まだ絶滅危惧植物に指定するのは、時期早尚のような気さえします。

   ちなみに、2006年発行の改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物においても

   国の指定同様の絶滅危惧U類になっている。その生育状況として、与那国島では島内の各地に産し、

   すぐに絶滅する恐れはないが個体数は少ない。とある。

   日本全国の絶滅危惧植物に関わってきた者として言わせてもらえば

   レッドデータブックは年数を経るごとに、現実味を帯びたものにはなってきているが

   まだまだ現状を反映しているとは言い難い植物も多数ある。

   指定の根拠となる個体数の調査なども、まだまだ不完全である。

   植物に興味のある方の、多くの協力が今後もずっと必要である。

   あなたも是非ご参加ください。知っていることの提供をひとつでもふたつでも良いのです。

   最後に前回訪ねた3年前に、同定ミスというポカをやってしまったヨナグニトキホコリ

   今回はしっかりと見てきました。

   花期ではないので花はつけていませんが、減少傾向著しい与那国島の固有種

   じっくりとご覧ください。


   画像画像
































   撮影は2015年4月3日〜6日 沖縄県の与那国島で。

   すべて携帯電話についているカメラでの撮影です。そのためピントの甘い画像も何枚かあります。

   文句を言わずに大目に見てくださいね。あはは

   ピントが思うようなところにこないのでイライラすることもあるのですよ。何しろ押すだけですから。

   この後、石垣島経由で西表島に渡り、目的の植物数種類を写してきました。

   17日から22日までは新潟県の佐渡に行ってきます。

   コメント返しは遅くなりますが、コメントを読むのを楽しみにしています。

   あなたのコメントをお待ちしています。

   なお、与那国島をより良く知るためにも過去記事もどうぞ。

   http://48986288.at.webry.info/201210/article_1.html

   http://48986288.at.webry.info/201211/article_1.html

   今、改めて読み直してみたら、前回もその3に続かず尻切れトンボだったのですね。あはは

   今回はこれで一応の区切りとします。

   前回は蛹しか見ることができなかったヨナグニサンですが、今回は羽化した雄や

   産み付けられた卵まで、しっかりと観察してきましたよ。ただ画像はピンボケでしたけど。あはは

   今回の取材では与那国島在住の村松 稔さんに大変お世話になりました。

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
関東に住まっていると,どの植物もふだん目にしない種ばかりで,見入ってしまいます。
ヨナグニカモメヅル,開花期を予測してしっかり撮影されたとのこと,素晴らしい。
ジャコウキヌランの香り,長年自然に携わってきたかただけがかぐことができる香りなのでしょう。かいでみたい香りだけど,私にはまだ分不相応。精進して,いつかその香りに出会いたいものです。
トゲイボタが,意外に(!)かわいらしい。

などなど…どの植物にも,いちいち,くだくだと,コメントしたくなりました。
はるこ
2015/04/17 13:18
ジャングルの中、一人で行かれるんですか?
方向音痴でないことが羨ましい。
確かな腕と経験の持ち主の植物バカ、写真バカがいないと、私たちにこのようなレアな情報は届かないのですね(敬意を表しているつもり)
南の島での出来事(植物を含め)わくわくする反面、心が痛いです。

ピントの甘さなんて、なんのその・・・携帯で写せるカメラアングル、羨ましいです。
本業の広角レンズ、手に入るといいですね。
ケイ
2015/04/19 11:20
はじめてみる花ばかりをたっぷり見せて頂きました。満腹・眼福です。
今後とも残ってくれることを願うのみですが自衛隊の基地づくりの影響は必ずでてくるのでかなり心配です。人はまだ愚かなことをやり続けていますね。失ったものを再生できないのに・・
流れ星
2015/04/21 09:33
はるこさん おはようございます。

いちいち、くだくだのコメントは大歓迎ですよ。あはは
小さな画像でも、まだ見たことのない植物を見るのは楽しいですね。
いつかはご自身の目で、本物をどうぞ。
みかん
2015/04/23 09:19
ケイさん おはようございます。

道のないジャングルの中に1人で入ることもありますが、それはかなり無謀なことです。今回は案内人さんと一緒でした。ですが、この案内さんが迷ってしまうほど大変なところでした。直線距離にしたら、それほど大変な距離ではないのに。
ともかく収穫は大でした。
             ヘロヘロになった植物バカと写真バカ
みかん
2015/04/23 09:27
流れ星さん おはようございます。
自衛隊の基地のために失った緑の面積は広いですが、日本の最西端の島ですから、防衛の意味からも必要なのだと思います。我々人間は緑を切り拓いて生活の場を作ってきました。何がどう大事なのか、見極めることの重要性がこれからも問われてゆくのだと思います。
みかん
2015/04/23 09:35

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