みかんの花日記

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zoom RSS 淡墨桜(うすずみざくら)

<<   作成日時 : 2014/04/11 01:18   >>

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   根尾谷の山奥深くに、その一風変わった桜があると知られるようになったのは

   大正の頃だという。

   花の咲きはじめはピンクだが、花が咲き進むに従い色は淡くなり

   満開の頃は白。

   やがて花びらが散る頃には、ほんのりと薄墨色に染まるという。

   花の色の変化に加え、なんとも見事な大木ゆえに

   噂は瞬く間に広がっていった。

   こうして大正11年10月12日 「根尾谷淡墨ザクラ」 として国の天然記念物に指定された。


   
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   樹齢が1500年とも言われているこの桜

   まずは風格あるウェストをじっくりとご覧いただこう。

   (クリックして大きな画面でどうぞ)

   胴回りはなんと9メートル90センチあるのです。

   はるかな時代を生き抜いてきた背景には

   多くの人の手によって支えられてきた歴史があるのです。

   この桜の品種はエドヒガン。

   日本に数ある自生の桜の中では、もっとも長生きする桜なのです。

   とはいえ、長生きしたとしても普通は数百年で土に返ります。

   淡墨桜が長生きしている第一の原因は

   弱った樹勢を若返らせる根接ぎにありました。

   昭和23年「あと数年で枯れるだろう」と診断された淡墨桜に

   果敢に取り組んだのは、当時78歳という高齢だった前田利行さん。

   この人、本業は歯医者さんなのです。

   当時、樹木医などという職業の人はもちろんいません。

   接ぎ木が得意だった植木職人や大工の棟梁など数人を従えて、山桜の若い根を

   238本も接ぎ木するという前代未聞の難事業をやってのけたのです。

   その甲斐あって、数年後からまた見事な花が咲くようになったと記録されています。

   その時、どの部分にどれだけの根を接いだのか、の原図からの模写が、下の画像です。


   
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   この図からもわかるように、淡墨桜の巨木は、中は腐って空洞なのです。

   四方に伸びる太い枝も、中は空洞化しているので

   今、支えているつっかい棒を取り除くと、すべての枝が崩れ落ちてしまうほどの

   満身創痍の状態なのです。

   日本全国の桜の名木を撮り歩いた友人の写真家・奥田 實氏は

   その随想の中で、そろそろ休ませてあげたら、と優しい心情を述べていましたが

   私も共感するところがあります。

   とは言え、今も毎年見事に咲くこの桜に、たくさんの勇気や希望、

   元気な心をもらっている数多くの人がいることを考えると

   まだまだ頑張れ、のエールも送りたいのです。


   
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   今年(2014年)は気温が急に上がったせいか、4月5日に満開となったようです。

   画像はきょう10日の撮影ですが、まだまだ満開状態ではありましたが

   風が吹くとはらはらと散りはじめる、という日でもありました。

   音もなく、まるでほろほろ、はらはら、

   心なしか白い花びらは、ほんのわずか薄墨色を感じるそれでした。


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   ゆっくりと宙を舞って落下した花びらは

   わずかな水の流れに浮かび

   よどみに溜まって、逝く春を惜しんでいるかにも見えました。


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   淡墨桜の隣りには、淡墨桜2世が育っています。

   ちょうど樹齢は100年ほど

   エドヒガンとしては、今まさに最高の時、花つきも淡墨桜をしのぐほど見事です。

   それが下の画像です。


 
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   2本が多少前後していますが

   並ぶように生えているので

   角度によっては2本が重なって見えるので

   とりわけ華やかです。

   それが下の画像です。


   
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   これだけの名木ですから

   人出も半端ではないですよ。

   広い駐車場はまたたく間に満杯

   大型の観光バスはひっきりなし

   人の数はバーゲンセールのデパート並みです。

   平日でコレですから、土日の混雑は想像外かも。

   そんな大変な思いをしても

   やはり1度は見ておきたい桜のひとつだと思います。

   なにしろ日本三大桜のひとつなのですから。


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   左は淡墨桜の説明をしてくれる観光課の人。

   右は取材に来ていたテレビクルー。






   この辺りは今でもたびたび訪れているが、前回、花の季節に淡墨桜を訪ねたのは、もう十数年も前。

   桜を取り巻く環境が、あまりにも変化していて驚きを隠しきれませんでした。

   初めて訪ねたのは、それこそ何十年も前のはるかな昔です。

   道路事情が先ず良くなりました。本巣市になって、桜の管理もますます良くなっています。

   近くには温泉も今はあります。観光地なのでしょうね。

   じつは今日は16日に行く観察会の下見のつもりだったのですが、生徒を連れて行く当日は

   もう葉桜だろうなぁ、困った。あはは

   最後に、いつもこのブログは携帯での撮影なのですが、今回は数枚デジカメでの撮影分が

   入れてあります。

   「おい若造、また来たか。きちんと写してくれよ」と木の精に言われた気がしたからです。

   還暦をとうに過ぎたみかんも、淡墨桜から見たらヒヨコのような存在でしょう。

   仙人のようなご長命な樹に対して、ケイタイでパチリでは、あまりにも失礼では、と

   思わされたからです。

   最後にもう一度お目にかけましょう。


   
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   クリックして淡墨桜の臨場感をお楽しみください。








   撮影は2014年4月10日 岐阜県本巣市根尾で

   当時の岐阜県知事に直訴した作家の宇野千代さんのことや、最近淡墨桜に施している蘇生術の
   不定根のことなど、まだまだ書きたいことはいっぱいあるのですが、機会をみていずれまた。
   画像に見物人がほとんど入っていないのは、それなりに苦労しているのですよ。
   感想をお待ちしています。

   

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コメント(20件)

内 容 ニックネーム/日時
大変苦労して守ってくださっているのですね。それにしても長寿でびっくりしました。
昔田舎の国民学校では大木のクスノキが敷地内に沢山ありました。グランドで外周のトラックを走って休憩はは巨木のしたで憩うのが常でした。戦後昭和天皇をお迎えした時はクスノキは健在でした。いつのまにか邪魔だと伐採され今はまったくありません、隣地の神社が足利尊氏の再建になると伝えられますので、おそらく学校は元の社域に建設されたのでしょう。古いものをしっかりと守るらず自然の宝を簡単に捨ててしまうという日本人の国民性をかえていかないといけませんね。今回は感動いたしました。



目黒のおじいちゃん
2014/04/11 05:20
 何年前かTVで知ってもう少し近かったら見に行きたいと思っていましたが
この画像や説明聞いてもっともっと見たくなりました。
風太
2014/04/11 06:59
目黒のおじいちゃんさん おはようございます。
クスノキは数ある樹木の中でも最も長生きするので、名木、巨木と言われる樹齢数千年ものが各地にありますね。御神木と崇められている樹も多いのですが、神社仏閣にあるものはともかく、それ以外の区域のものは意外と簡単に伐採されてしまうことも、確かにありますね。守りたいものに対しては声をあげる。行動を起こすことが第一だと思います。小さな声も集まれば、大きなうねりとなります。
道路の真ん中に残されたクスノキなどもあるのですよ。諦めないことがいちばんなのだと思います。
みかん
2014/04/11 09:22
風太さん おはようございます。
本巣市は淡墨桜の開花状況をライブ公開しています。出掛ける人にとってはとても参考になりますね。桜はもちろん花の季節がいちばんですが、秋の紅葉や、冬の厳しい姿なども良いですよ。それこそ名木を独り占めできます。
みかん
2014/04/11 09:30
おはようございます〜。

相変わらずの早起きの私です。
サンライズスロジョギから帰って来ました〜。

来週楽しみです!!
薄墨桜は20数年前までは毎年お弁当を持って
友人たちと出かけてましたが
道路が混み始めて人もますます増えて
いつの間にか行かなくなりました。

でも美しい姿は脳裏に刻み込まれてるので
葉桜でもいいですよ〜(笑)

でも樹木医がいなかった頃に手厚い治療。
歯医者さんの前田さんのおかげなんですね。

当日はそういうお話も聞けるんでしょうね。
そのまわりの草花たちも楽しみです。

根尾村は本巣市になってるんですね〜。
ぐーま
2014/04/12 07:25
ぐーまさん おはようございます。
根尾村は平成の大合併によって本巣市になりました。市になって保護にもより一層の力をかけています。
桜の開花予想を1年前に決めるのはなかなか難しい。水曜日限定でなければ、もう少し何とかなったのですけどね。あはは、言い訳です。
当日はもっと詳しい説明をしますよ。例えば根接ぎには、大工の棟梁がノミで山桜の根とぴったりと合わさるように掘った部分に、山桜の若い元気な根を接ぎ、生卵をかけて麻縄で巻いて、さらにその上から椿油を塗って、それらを乾燥しないように手早く作業を進めた。とか。これらは記録に残ってはいませんが、前田さんたちが逗留していた近くの宿の主の証言です。
「 もしも枯れてしまったら、腹を切る 」との意気込みで臨んだ前田さんは、その時は病気療養中であり、見事によみがえって咲いた桜を見ることもなく亡くなってしまったのですが。
桜に歴史があるように、人にもまた歴史があります。
みかん
2014/04/12 08:50
こんばんは。淡墨桜のおとどけありがとうございました。
本当に長い年月を桜守りの方々に支えられながら咲き続けられるのですね。
私も20年ぐらい前に見に出かけたことがありますが、あれからも衰えることなく見事ですね。
アザミの歌
2014/04/12 23:50
アザミの歌さん 今晩は。
淡墨桜はきょう13日から散り始めたそうです。花の季節は本当にアッという間ですね。花の最盛期の1週間ほどは、賑やかすぎるほどの人出ですが、あと1週間もすればまた静かな日々が戻ってきます。
桜の樹は、きっとホッとしていることと思います。
みかん
2014/04/13 21:46
とても複雑な思いで画像を見,みかんさんの文章を読みました。

私も奥田氏同様,「もう休ませてあげては?」と,問いかけそうになります。

根接ぎ,という技術で生きながらえさせてしまったからには,このエドヒガン自身が苦しくないように見守っていきたいものです。
はるこ
2014/04/13 22:40
はるこさん こんにちは。
これだけの大木を目の前にすると、人は自然と敬虔な気持ちになります。
回りの喧騒がなければ幽玄な世界へと誘われると思います。長生きした樹には精霊が宿るという、そんな言い伝えが信じられるような不思議な感覚です。
人間の寿命はたかだか100年、我々が亡くなった後も、きっと淡墨桜は生き続けることでしょう。人智によって延命させた責任は、子々孫々に至るまできちんと取るべきだと、私は考えています。
みかん
2014/04/14 11:37
見事に花を咲かせた薄墨桜、ありがとうございます。
アチコチ出かけた時には、巨樹の情報を見かければ出来る限り立ち寄るようにしているのですが、薄墨桜はおろか、それほど遠くない神代桜も見たことがないのです。
バーゲンセール並みと表現されているような混雑を考えると、ついつい足が遠のいてしまうのです。(^^ゞ
それでも、こんな見事に咲かせた写真を見ると、一度は出向かなければなぁ〜、と思わずにはいられません。
ハラハラと散る桜の姿は、あまりにも儚いですが、たまらなく美しいです。
日本人に生まれて心から良かったと思えます。
nekoppana
2014/04/14 21:13
nekoppanaさん おはようございます。
日本人は桜には特別な思い入れがありますからねぇ。桜が咲きだすと何となく心ウキウキするのは誰もが同じだと思います。
明日カルチャー教室で再度出掛けますが、最後の散り際、桜吹雪が楽しめるのでは、と思っています。2日前から散り始めているので気にはなりますが、またしばらくは疎遠になるかも知れませんから、終焉の美を楽しんできます。
みかん
2014/04/15 08:21
ご無沙汰しています。3年振りにパソコンを復活させました。
サクラは種類が多くて大変、薄墨桜の説明を読んでいるうちに、確か三春の滝桜もエドヒガンだったよなー。調べてみると、滝桜はエドヒガン系シダレザクラになっていました。
滝桜も感激しましたが、薄墨桜、凄い。しかも昭和23年の頃に根接ぎ、驚きです。サクラは5分咲き位から満開に見えると思います。蕾の多い頃が好きです。
これからもいい写真とコメント、無理しない程度にがんばってください。
ちゅうちゃん
2014/04/16 19:17
ちゅうちゃんさん お久しぶりですね。
三春の滝桜を訪ねたのは、もう随分と昔のことになりました。今はだいぶきれいに整備されましたね。花盛りの今は連日多くの人が訪れていると思います。
昨日16日に再度、淡墨桜を訪ねましたが、もう葉桜になっていました。花の命は本当に短いです。
シダレザクラはエドヒガンの突然変異から生まれたのですよ。ソメイヨシノも片親はこのエドヒガンなのです。

きょうからまたしばらく九州に撮影に行きます。今月いっぱいくらいはブログにアクセスできませんので、よろしくお願いいたします。
みかん
2014/04/17 08:58
大地に堂々と根を張って大きく咲き誇ってる薄墨桜には、まず圧倒されました。
この老木を生かそうとたくさんの人々の努力によって、ここまで維持されてきたこと、
またサクラ自体もずいぶん頑張って毎年見事な花を開かせてるのだと、初めて知りました〜♪
薄墨桜2世の今後に、ぜひ期待したいと思います!!
名木と云われる木には、どれだけの物語が秘められているのかと、興味が湧いてきます。

リサ・ママ
2014/04/19 16:42
みかんさん、こんにちは。
薄墨桜、私も数年前に訪れました。
イワザクラを求めて山歩きしたついでに立ち寄ったのですが、“ついで”の訪問ではあまりに失礼すぎる貫禄に圧倒された記憶があります。
その薄墨桜にそのような歴史があること知り、沢山の人々によって守られていることを知りました。
薄墨桜、滝桜、神代桜、どれも風格ある立派な桜ですが、人が多すぎるので行くには覚悟が必要ですね^^;
fu-co
2014/04/25 10:55
リサ・ママさん おはようございます。
名木と言われる樹には、それぞれがたどってきた長い歴史があります。
人間は頑張って生きても、せいぜい100年の命、その点、何百年、何千年と生きる樹の生命は、やはり凄いものだと思います。
人が大木を見た時に感じる畏怖の念や畏敬の念というのは、長い年月を生き抜いてきたという力、いわばオーラのようなものを自然に感じるからだと思います。
みかん
2014/05/01 09:11
fu-coさん お久しぶりですね。
今年もスミレを追いかけて、その成果があがっているようですね。
淡墨桜、fu-coさんもご覧になりましたか。最近は手入れも良く花の咲き具合も良くなっているようです。ほんの一時ですが、さすがに花の最盛期は凄い人です。桜といえばやはり花の時なのでしょうが、そのほかの季節の桜も良いですよ。特に冬、老木に降り積もる雪の頃は、いろんなことを考えさせられます。
みかん
2014/05/01 09:20
始めまして
舟伏山の桜峠で根尾谷淡墨桜の子孫にあって調べてるうちに
みかんさんのブログにたどり着きました。
舟伏山行った頃にはもう淡墨桜見頃過ぎてると思い行かなかったことを
ブログを拝見して後悔しました(^^;;
zen
2014/05/03 08:45
zenさん ようこそお越しくださいました。
歓迎します。桜峠には確かに淡墨桜の子孫が植えられていますが、周りの木々が茂りすぎて、少し可哀そうな状態になってますね。淡墨桜、来年の花の頃にでもどうぞ。混雑は避けられませんが、見る価値は充分にあると思います。
zenさんのブログいくつか拝見しましたが、素敵な花の山旅を続けられていますね。楽しめました。
またどうぞ「みかんの花日記」にも遊びに来てください。コメント歓迎します。
みかん
2014/05/03 10:12

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