みかんの花日記

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zoom RSS タムシバ    Magnolia salicifolia

<<   作成日時 : 2013/06/16 11:24   >>

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   深山に春を告げる花である。

   春、といっても花期は5月から6月だから

   初夏というべき季節である。

   まだ残雪のたっぷりとある季節に

   雪の重みに耐えながら、木々の先端は起き上がり

   直径が10センチ以上もある大きな花を咲かせる。




   
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   上の画像のような風景を見ると

   私は今年も高山に春がやってきた、と思うのである。

   タムシバやムラサキヤシオやオオカメノキが咲く頃

   ブナ林は新緑に輝き

   高い山にも春がやってくる。

   そんな景色が見たくて、毎年どこかの山を訪れる。




   
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   ブナの若葉は萌えるような輝きを放っているが

   林床はまだ2メートル近くの厚い残雪に覆われている。

   固くしまった残雪の上を歩くと

   ブナの雄花が無数に散っている。

   私の黒い影の周りに散乱している茶色のものは

   すべてブナの花の残骸である。




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   同じ沢筋に生えているブナの樹でも

   まだ芽吹いたばかりの木もあれば

   緑がかなり濃くなっている木もある。

   人間と同じように

   ブナの木にもそれぞれの個性があるのである。

   萌黄色のブナの樹のはるかに

   きょうも爽やかな青空が広がっている。

   残雪から立ちあがってきたばかりの枝先には

   垂れ下がって花を咲かせる雄花が、目の前にあった。




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   ブナの新緑が輝く、ほんの数十メートル上の斜面では
   
   タムシバがまさに花盛り

   黒っぽく見えるほどの青空を背景に

   その花の白さを際立たせているのである。




   
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   それにしても、なんと多くの花を咲かせることだろうか。

   1本の木に咲く花の数は、どれほどあるのだろうか

   タムシバが身近に見られた山村では

   この花の開花は農耕の目安にされた。

   タムシバが咲いたから種を蒔こう、とか、畑を耕しに出かけようとか

   昔の人の知恵のひとつだったのである。




   
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   タムシバはコブシと大変よく似ている。

   コブシよりひとまわり花が大きく、より標高の高い場所に生え

   開花時期もコブシより1ヶ月ほど遅れる。

   タムシバもより標高の低い場所にも生えるが

   決定的な違いは、コブシは花のすぐ下に小さな葉が1枚ついていることである。

   タムシバは花の下に葉はついていない。

   葉は花が散ってから伸びだしてくる。




   
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   タムシバの特徴は、また花にとても良い香りがあることである。

   香水の原料にするために、かつてはつぼみをよく摘まれた時代もあった。

   花の香りがとても良いために、タムシバはニオイコブシという別名で呼ばれることもある。

   花に出会う機会があったら

   是非とも、香りも堪能して欲しい。

   わざわざ花に鼻を近づけなくとも、どこでもびっしりと花が咲いているので

   風に乗って甘い香りは漂ってくる。




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   つぼみはすでに前年の秋には形成されていて

   長い冬の期間、ずっと雪に耐えている。

   春の兆しが見えてくると一気にふくらんできて

   あっという間に花をひらく

   つぼみから花までの過程は

   雪に埋もれたタムシバの樹を見つければ

   容易に観察することができる。




   
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   豪雪に押しつぶされていた幹が、雪解けによって

   先端部分が見えてきたタムシバの大木である。

   この樹で、おそらく100年以上の樹齢だろう。

   特に日本海側の深山に生えるタムシバは

   冬季の積雪によって、樹の根元は大きなカーブを描くように

   曲がっている。

   高さは低いように見えても、立ち上がった先端は5メートルほどになる。

   樹には粘りがあり、しなやかである。

   雪に耐えて育つ樹木の多くは、このように幹そのものに弾力のあるものが多い。

   上から2枚目の風景的な画像は

   タムシバの樹に2メートルほど登って、木の上から片手でケイタイのシャッターを押したものである。




   
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   タムシバの白い花は

   なんとも青空によく似合う。

   太宰治は、富士には月見草がよく似合う、と言ったけれど

   さしずめ、タムシバには何が似合うと表現しただろうか

   太宰のふるさとである青森県には、案外タムシバと良く似合う山は多そうである。




   
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   タムシバの花も、ブナ林の新緑も、山の温泉の露天風呂も

   ともかく、存分に満足した2日間だった。














   撮影は2013年6月3日〜4日  岩手県、秋田県、宮城県の3県の県境にある栗駒山で
                      秋田県側での撮影が多いです。

   撮影はすべて携帯電話についているカメラで撮っています。

   クリックすると画像は少し大きくなります。




   オマケ画像


   
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                                          須川湖




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                          ミズバショウ(左)とミネザクラ(右)




   
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                      露天風呂から眺めた夕陽、左のピークは鳥海山




   




   




   

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
げっ、タムシバってそんなに大きかったのか?
見るときは、いつも山から見下ろすか見上げるかで近づいて見たこと無かったからなーーーー
六日町の坂戸山とか、新潟の櫛形山とか遠くにチョコットだけ視界に入るくらいだったからそんなに大きいとは思わなかった。
ヽ(´ー`)ノ
アライグマ
2013/06/16 15:55
アライグマさん 相変わらず一番乗りですね。
遠くから眺めていると、背丈が低く見えるのですが
いざ近づいてみると、見上げるほどの高さがあるので
なかなか思うように花を写せません。今回も四苦八苦しましたよ。
みかん
2013/06/16 22:33
うわぁ〜!!久しぶりに見ごたえがありましたぁ〜♪
タムシバに、ぐんぐん引き寄せられました。
またブナの樹の見事さにも眼が開かれたように思いました。
やはり根雪が残る北国の深山に咲くタムシバは、豪いですねぇ〜☆(*^。^*)☆
ウチの近所に弱々しく咲くコブシの花が、哀れになりました(笑)
リサ・ママ
2013/06/17 17:02
リサ・ママさん 今晩は。
芽吹きの頃のブナ林は、とりわけ美しいですね。輝くような新緑の季節はほんの短い間ですが、思わず歓声が出ますね。もう1週間早かったら、もっと素敵だったと思いますよ。タムシバは輝くような白さが魅力です。
みかん
2013/06/17 21:52
こんばんは。

タムシバは山道から離れた場所にあるために、なかなか細かく観察できませんでした。
匂いも気づきませんでした。
この記事を読んで、こんど匂いに注目してみようと思いました。

こちらの地方ではこの花がたくさん咲き乱れるとあまりいい年ではないと伝えられています。
さなえ(花の庵)
2013/06/21 18:51
さなえさん 今晩は。
意外な報告でした。農耕の目安にされるような植物の多くは、豊年満作を意味したり、どちらかと言うと、良いことの前触れとして使われることが多いのですが。みかんの故郷でもタニウツギは蚕が死ぬ、といって忌み嫌いますから(根拠のない迷信ですが)地方によってはそんな場所もあるのでしょうね。
みかん
2013/06/21 22:53

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