みかんの花日記

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zoom RSS トキソウ   Pogonia  japonica

<<   作成日時 : 2012/06/12 12:28   >>

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   最近の嬉しかったことのひとつに、佐渡島に放鳥されたトキがペアリングに成功し

   雛が無事に巣立ったというニュースがあった。

   期待していただけに、このニュースに接して、思わず口元がほころんだ。

   トキが羽ばたくときの羽根を逆光で見ると、なんとも美しい朱鷺色をしている。

   淡いオレンジに、うっすらと朱を含んだような色を朱鷺色という。

   ひとつの色を表わす言葉である。

   そのトキの羽根の色に似ているところからトキソウという名前が付いた。

   トキソウは言わば草のトキなのである。




   
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   生えるのは湿地や湿原、根元がミズゴケに覆われているような場所である。

   花は標高の低い場所では5月から咲き出すが、最盛期は6月から7月。

   尾瀬のような高層湿原では7月が花盛りである。

   大抵どこでも群がって生えることが多い。

   場所によっては見事な群生も見られる。

   関東地方なら千葉県の成東の湿地、九州ならこの画像を撮影した佐賀県の樫原(かしばる)湿原などである。

   保護されている場所では、いずれも木道などが設置されているので

   観察も撮影もしやすい。




   
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   クリックして見て欲しい。

   たくさんの花が咲いているのがわかるだろう。

   このように群れて咲くのは長い地下茎で広がるからである。

   もともと養分の乏しい酸性の土壌に生えるので

   他の草があまり入り込めないミズゴケ湿原や、頻度の多い草刈りなどによって、他の草があまり伸びることができない

   湿った草地を本拠地としていた。

   だが人々の生活の中から牛馬がほとんど姿を消してしまった今では

   採草のために多頻度で草刈りされていた草地が減り

   花を見られる場所が限られてきた。




   
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   上の画像の樫原(かしばる)湿原は、ボランティアの人達の手によって、草刈りがされたり

   外来種の引き抜きがされたりして、とても良い状態で保護されている。

   夏のサギソウの頃に訪れる人が多いが、トキソウが花盛りの今も素敵である。

   この湿原の特徴は、トキソウの白花が随分と多いことである。

   トキソウは朱鷺色をしているのが標準品だが、稀に白花もある。

   普通はごく稀にしか見ることができない白花が、樫原湿原ではごく普通に見ることができるのが嬉しい。

   中には唇弁だけがピンクの花なども混じっている。




   
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   ボランティアの人達は手弁当で湿原の保護に尽力している。

   訪れた人達に快く花の説明などもしてくれる。

   私が訪れたこの日は、人に会うことがほとんどなかった。

   トキソウが花盛りで、他にはヒツジグサの白い花がかなり咲き出していた。

   アギスミレの白い花の塊もところどころで見られた。

   時間が遅かったせいかジュンサイの花はもう閉じてしまっていたが

   午前中なら今頃はジュンサイの花も地味な花をたくさん咲かせている。




   
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   ひとつ気になったことがある。

   おそらく撮影のためだと思うのだが、木道のすぐ脇の湿地の草が踏まれていた箇所があった。

   とりわけ湿原は踏み固めによるダメージが大きい。

   再生するのに時間がかかる脆弱な自然である。

   自戒を込めて言うが、花の撮影をする人は、三脚の足などにも充分気をつけて欲しい。

   樫原湿原では、木道のすぐ脇にもトキソウはたくさん咲いているので

   特に携帯などでは、手を伸ばすだけで当ブログのような写真はいくらでも写すことができる。

   木道から外れないよう心がけたいものである。




   
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   樫原湿原は佐賀県唐津市の標高600メートルほどの場所にある。

   緑のすがすがしい丘陵地である。

   山間部に開けた水田の端に位置する、さして広くない湿原ではあるが

   水生植物や昆虫たちの宝庫である。

   今はトキソウやヒツジグサの花の季節だが

   サワギキョウやヌマトラノオの若芽が勢いよく育っていた。

   春から秋まで花が楽しめる貴重な湿原となっている。




   
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   最後にトキソウの学名だが、属名の Pogonia (ポゴニア) とは、髭のある、とか、ノギのある、という意味で

   トキソウの唇弁の色の濃い部分に、肉質状の突起が多数あることに由来している。

   Japonica (ヤポニカ) とは日本の、という意味だが、トキソウは日本以外にも

   中国や朝鮮半島、千島、ロシアなどにも分布している。

   いずれも生える環境は同じで、湿地に生えている。


   
   佐渡島で巣立ったトキの雛たちは、無事に成長しているだろうか。

   大空に羽ばたくトキの雄姿を、また身近で見たいものだと願っている。











   撮影は2012年6月4日 佐賀県の樫原湿原で。撮影当時、まだつぼみもたくさんあったので

   今でも多くの花が見られると思います。

   撮影はすべて携帯電話についているカメラで撮っています。

   画像はクリックすると大きくなります。

   今年の春まで、この湿原で働いていた風太さんに案内していただきました。
 




   




   




   

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コメント(18件)

内 容 ニックネーム/日時
トキソウの淡い色に対してサワランは濃いピンク。
良く似ているなーーー
トキソウって標高の低い所でも有るけどサワランは標高の比較的高いところでしか見てないな。
σ(^^;)は良くこの2つを間違える。
朱鷺色のトキソウなんだから間違えようがないんだけどねーーー
ヾ(_ _*)ハンセイ・・・
アライグマ
2012/06/12 14:14
アライグマさん こんにちは。
サワランは花の色を除けば、姿も形もトキソウによく似ていますね。尾瀬などの高層湿原では両方が混じって咲いている場所もあります。これからの季節は東北地方の湿原などではトキソウもサワランも楽しめますね。小さな野生ランですが、花の形はしっかりとラン顔をしています。
みかん
2012/06/12 16:13
みかんさん こんばんは〜

佐渡島で巣立ったトキは、元気に成長して欲しいですね
今アチコチでツバメも巣立っています
小さかった雛が大きくなって巣立って行く姿を見るのは嬉しいものですね
樫原湿原のトキソウ、沢山咲いていますね
今年はトキソウ見に行けなかったので、こちらで沢山見せて頂きました
湿地へ降りては行けないと書いてあっても、マナー違反をする人が沢山居ますね
自分もそうならないように心がけて行きたいと思っています
いっしい
2012/06/12 23:20
 みかんさん、おはようございます。
遠いところお疲れさまでした。

トキソウに限らずいつも一つの花ばかり撮っていたのが
画像拝見して 「そっかぁ」次行く時は広角気味の
レンズで雰囲気も撮ってみようという気持ちになりました。

風太
2012/06/13 05:17
いっしいさん おはようございます。
2度目の多良岳なのにアカショウビンは出なかったですか。残念ですね。あの日はすぐの頭上でしばらく鳴いてくれましたね。声はすぐ近くなのに、姿が見えなかったのが残念でした。野鳥の世界では木化け、草化け、とも言うそうですが、ジッと動かずにいるとすぐ近くまで鳥達はやってきますね。どこかでアカショウビンに出会えることを願っています。
樫原湿原は想像していたよりも沢山のトキソウが咲いていました。小規模ながらとても素敵な湿原だと感じました。
みかん
2012/06/13 10:34
風太さん その節はお世話になりました。
湿原の周りの雑木林まで、隅々まで知り尽くした風太さんの案内があればこその湿原散策、楽しかったです。思いの他、沢山のトキソウが咲いていたので、樫原湿原の紹介を兼ねたブログになりました。最初からそのつもりなら、もう少し風景的な画像を撮っておくのだったと、ブログを書く段階になって後悔しました。あはは
素敵な湿原なので季節を変えて訪れてみたいですね。ありがとうございました。
みかん
2012/06/13 10:45
北陸でも見る事が出来る場所があるでしょうか?
もしかしたら 見てても私が気が付いてないだけかもしれないですね
(-_-;)う〜ん お花の名前は なかなか覚えられなくて勉強不足です。
少し紫がかった1枚目の色合いが好きです。ピンクのトキソウが一般的なのかもしれないけど〜
のの ☆
2012/06/13 22:53
千葉の成東湿原でもボランティアのかたがたの努力があちこちに見えますが,周辺の環境悪化が激しく,いつ湿原じゃなくなるか心配しきりの私です。
成東ではトキソウは木道から離れた場所に群生していますので,遠くからピンク色を眺めてにこにこしています。

そして,トキの巣立ち…私も非常にうれしく思っています。
環境も含めて,現地のかたがたの協力と理解があってこそ実現した素晴らしいことです。
とはいえ,日本でトキは一度絶滅したという事実は忘れないようにします。
はるこ
2012/06/14 00:09
のの ☆さん 今晩は。
北陸でもトキソウは見られると思いますよ。ミズゴケが生えているような湿原であれば、割と普通に見られるはずです。花が咲いていると結構目立ちますから、ののさんならきっと気がつくと思います。
みかん
2012/06/14 22:13
はるこさん 今晩は。
確かに成東湿原は乾燥化が進んでいますね。貴重な植物も多い場所ですから現状を維持していって欲しいものです。

佐渡の巣立ちしたトキ、一時は行方がわからなかった雛も、その後、無事が確認できたようですね。テンなどの小動物に狙われないで成長して欲しいものです。
みかん
2012/06/14 22:21
みかんさん、おはようございます。

トキソウ、久しく見たことがありません。
品の良い色が心を和ませてくれますね。
この湿原のようにボランティアの方々が守っておられるのは素晴らしいことです。
こちらの湿原もかっては多くの湿原にふさう植物があったようですが、今は荒れ果てています。
それまでは村人が下草刈りをし、野焼きをして綺麗に保たれていたようです。
保護区になってさわれなくなり、その後の対策が盗掘が無いか見回りをされるだけになり、反故になりました。
残念です。
さなえ(花の庵)
2012/06/15 05:39
そう言えば、通っていた小学校に朱鷺の剥製があったな〜
まぁ朱鷺が生息いていた眉丈山の麓だったから。
北陸で湿地帯 ん〜〜〜
Tatsuya@能登
2012/06/15 06:00
さなえさん おはようございます。
保護区になってさわれないというのは、間違った管理の方法ですね。湿地のような身近な自然は、人間や動物の適度の介入によって成り立っています。

北海道のある原生花園が、放牧されていた牛馬を締め出し、柵で囲って立入禁止にしました。見事に咲き誇っていたエゾスカシユリなどがみるみるうちに減少し、見るも無残な花のない原生花園になってしまいました。地元自治体がこれでは観光資源にならないと、専門家の意見を聞いて、今まで通りに牛馬の放牧をはじめると、花のなかった原生花園に再び見事な花園が帰ってきました。

湿原も同様で、草刈りや火入れ、土壌の天地返し、などを行なえば元のような自然が戻って来るはずです。地元がどのような対応をするかが問題ですね。盗掘の見回りだけなんて、なんて時代錯誤の取り組みをしていることか。
みかん
2012/06/15 08:50
こんにちは。この地のトキソウを見にいっていませんが、「きれいだったよ」との事。目立つ存在ですね。
先日お花散策に行きました。目的の花にはかなり遅かったのですが、まだ待っていてくれました。その折に他の場所に丸太やロープがかけられていました。「お花を見に来ていただいたときに足場が悪いので掛けました」との事でした。時季が遅かったので私たちは行きませんでしたが、踏み荒らされないかと気になります。盗掘も後を絶たないということです。県などでは観光資源としているようですが、心配なことです。でも花を見るために来年その場にも行きたいと思います。
みえ
2012/06/15 09:59
Tatsuya@能登さん 今晩は。
トキの剥製があったのですか、恵まれていましたね。
日本で最後まで残ったトキ、キンの剥製は佐渡島のトキ保護センターにあります。心なしか物悲しく映るのは気のせいでしょうか。とても良くできた剥製なのですが。亡くなった日の朝、それまで鳴くことのなかったキンが、一声甲高い鳴き声を発した、という新聞の記事を、まだ昨日のことのように思い出します。種の絶滅がどういうことなのか、一人一人に考えて欲しい問題です。
みかん
2012/06/15 21:14
みえさん 今晩は。
植物の生命力は人間以上にしたたかだと私は思っています。簡単なことでは絶滅するようなことはありません。それを絶滅に追いやるのは、一にも二にも人間の仕業です。万物の霊長などと思いあがった気持ちでいると、いつしかしっぺ返しを受けるような気がします。すでに誰もが感じている気候の変動などは、その前触れなのかも知れません。謙虚な気持ちは何事においても大切なんだと、つくづく思います。
みかん
2012/06/15 21:25
みかんさん、こんばんは。
ホンモノのトキがこんな風に三々五々群れていた昔も、あったのではと、
ふと幻想の中に入って行くようなトキソウの花、とっても風情がありますね〜♪
水辺のトキソウが、今にもトキに姿を変えて飛び立つのを見たような〜☆
湿原の水の輝きや草いきれ、水と草と昆虫のないまぜにかもす匂いのようなもの、空想します。
木道が整えられている道は、私にも行けそうな気が、ちょっとしてます(笑)
リサ・ママ
2012/06/17 00:03
リサ・ママさん 今晩は。
樫原湿原は道路の左右に広がる湿原で、木道や散策路が整備されているので、誰もが気楽に訪ねられる湿原です。ハッチョウトンボなども舞う昆虫の宝庫でもあります。チャンスを作って是非どうぞ。
みかん
2012/06/17 22:12

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