みかんの花日記

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zoom RSS ピレオギク  Dendranthema zawadskii

<<   作成日時 : 2011/10/06 19:28   >>

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   北海道の日本海側だけに分布する珍しい野菊である。

   日本海側と言っても、小樽周辺のごく限られた海崖だけに生える。

   私の知る限りでは手の届くような場所にはほとんど生えていなかった。

   個体数が少ないせいか、良くは調べられていないような気がする。

   ピレオギクはイワギクと同種と考える学者が多いようであるが

   はたしてそうだろうか。

   かつてはエゾノソナレギクと呼ばれたりもした。

   ピレオギクのピレオとはサハリンの地名である。

   北海道からサハリンへと分布している。




   
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   今回ピレオギクを撮影した、北海道の日本海側の海崖である。

   クリックして見て欲しい。

   このような荒々しい海辺の、断崖絶壁に生えている。

   足のすくむような岩肌に、場所によっては遠くから花のかたまりが白く見えるほど咲いているのだが

   手の届くような所にないのである。

   望遠レンズで狙ってみても、なかなか図鑑に使えるようなものは撮れない。

   意を決して急な岩場を恐る恐る探すこととなる。




   
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   上の画像は、海辺のボロボロと崩れるような急な斜面で

   良い株はないかと探している私である。

   一緒に行った友人が知らない間に写していたもの。

   私の頭上に白い花のかたまりが見えているが

   あの場所までは危険で、近づくことができなかった。

   急傾斜すぎて三脚やデジカメは持って歩けない。

   で、ポケットにケイタイだけを忍ばせている。




   
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   そうこうして、やっと絵になる株を見つけて、

   岩に寄りかかるようにして撮ったのが、トップに掲げた画像である。

   画像を見る限りではあまり急斜面に見えないが

   ここは傾斜度が70度くらいの急な斜面なのである。

   折りしも雨上がりなので、岩は滑って緊張した。




   
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   前日に下見をしておいたので、花が咲いていることも、場所もある程度はわかっていたが

   今ひとつ満足できる株が探し切れなかった。

   翌日かなり上の絶壁から海を見下ろしてみた。

   両手を思い切り突き出して、ケイタイを花に向ける。

   高所恐怖症ではないのだが、ほぼ垂直に切り立った崖は

   さすがに迫力満点である。




   
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   それにしても何故、ピレオギクは海辺の岩にしか着かないのか

   海辺の岩場以外には出てこない。

   そして花は何故か、みんな海を向いて咲いている。

   花と海を一緒に写そうとすると、花の裏側しか写らないことになる。

   ピレオギクに限らず、海辺に咲く野菊のほとんどが、みな海の方向を向いて咲いている。

   ノジギクしかり、ワカサハマギクしかり、いつも海を入れようとすると苦労させられる。




   
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   身の丈を越すオオイタドリの茎に掴まりながら

   やっと花が咲いているその場所までたどり着いた。

   岩が細かく砕けて、砂利のように積もっていて、スニーカーが埋まるような場所だった。

   花の咲いている場所には近づけたのだが

   急斜面すぎて後ろに引けない。ここでも結局三脚は使えずデジカメでは撮れず

   こんな時はケイタイが威力を発揮する。

   液晶の画面で確認することはできないが、右手に持ったケイタイを高く掲げてシャッターを押せば

   なんとか意図する絵にはなるのである。

   何回か失敗しながら、どうにか撮れたのが上の画像である。




   
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   ピレオギクは岩場に生えるが、カラカラに乾燥した場所ではない。

   雨が降れば水の通り道となるようなやや湿った場所

   時には岩場に滲むわずかな水があるような場所を選んで生えている。

   上の画像にも左下に白いダイモンジソウの花が写り込んでいるが

   このようにある程度の湿り気がある場所に生えるのである。

   ダイモンジソウはかなりの水気がないと生きていけない。




   
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   ヤブを漕いで海辺に下りて、最初に出会ったピレオギクは危険な場所ではなかった。

   目の前で写せる好条件の場所だった。

   だが、残念なことにすべてつぼみだったのである。(上の画像)

   この株が咲いていてくれたらなぁ、と、一緒に行った仲間と何度も残念がった。

   そこは本当に写しやすい場所だったのである。




   
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   すでにお気づきのことと思うが、ピレオギクはシュンギクのような細かく切れ込んだ葉が特徴である。

   葉の幅の細裂具合は、細かいものもあれば、やや幅の広いものもある。

   本州や四国、九州の山地に生えるイワギクと比べると、葉の厚さや光沢に明らかな違いが認められる。

   海辺の岩場では草丈10センチほどで咲くものもあれば、草地に生えたものでは高さは30〜40センチと大きく

   なり、枝を分けて何輪もの花を咲かせる株もある。




   
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   ピレオギクはロゼットで冬を越す。

   上の画像が来年花を咲かせる株である。

   これほどの瑞々しい緑色ではない、外側の葉は寒風に晒されて白っぽく枯れてしまうが

   芯にはしっかりとした緑の小さな葉が、赤ちゃんの手のひらのような形で緑色を保っている。

   深い雪の下で眠りに入るのは、あと1ヶ月ほど後のことになるだろう。




   
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   2日間に渡って、小樽から余市にかけての海岸線をあちこち訪ねてみたが

   ピレオギクが見つかったのはごく限られた場所だけだった。

   2日目の午後になって 「オッこれなら図鑑向きだ」 と思える株にやっと出会えた。

   それが上の株である。

   崩落を防ぐために張られたネットの向こう側から、こちらを伺うように咲いていた。

   これでやっと今回の目的の花の2つ目が撮影できたのである。












   撮影は2011年9月19日〜20日 北海道小樽周辺で

   画像は友人が撮影した私の画像2枚以外は、クリックすると大きくなります。

   撮影はすべて携帯電話についているカメラで撮っています。

   明日からしばらく撮影に出ます。コメント返しは遅くなります。

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コメント(18件)

内 容 ニックネーム/日時
随分と変わった葉の形ですね。ヽ(´ー`)ノ
あの斜面に崩れやすそうなガレ場。
写真家も「命崖」じゃなくて「命がけ」
(゚◇゚)☆\バキ
アライグマ
2011/10/06 22:43
アライグマさん おはようございます。
座布団2枚。あはは
ピレオギクは葉が厚く、このように切れ込むのが特徴です。
みかん
2011/10/07 08:04
うわぁぁ,すごい斜面から…お帰りなさい。

一眼レフのカメラを持って行けない場所での撮影,苦労しますよね。

カメラやさんの友人と「ささっと使えて,それなりの画質と機能のコンデジ」を探しています。
もちろん,マクロ撮影,マニュアルフォーカスできるものを。
広角側もきれいだといいね,とか,限りなく欲望は膨らむばかり。
はるこ
2011/10/07 22:45
初めの画像を見て『ピレオギク』を検索して見て
『やっぱり春菊みたいだわ』と思いながら全文を読んでいきました・・・。
みかんさんもそう書いてたのでヤレヤレ・・・
『春菊みたいと書いても笑われないなと思いましたね。

荒々しい環境の中で華奢な感じの花なんですね。
それにしても・・・よくぞご無事で〜(笑)という場所でしたね。

前ページの『ハナツリフネソウ』のなんて優しい花なんでしょう。
ぐーま
2011/10/08 21:14
こんにちは、
面白い形の葉がチャーミングですね。これぐらい際立った特徴があればアバウトな私でも分かりそうです。
4枚目はお宝映像ですね。液晶モニターのカメラはこう構えて撮るという感じで、不安定な岩場でも安定感が感じられます。右ひじは右ひざで軽く固定しているのでしょうか。

Amazonで予約していた2012年の山溪ミニカレンダーが昨日届きました。来年は月が変わるたびにカレンダーをめくる楽しみができました。それぞれの月の花の写真が季節感を感じさせて好きなのですが、特に挙げるならば8月のグンバイヒルガオの輝き感が気に入っています。
ridge_line
2011/10/09 12:27
はるこさん こんにちは。
長野県から帰ってきました。晩秋の花や早目の紅葉、木の実などを楽しんできました。
コンデジほどの性能はありませんが、新しいケイタイは画素数が多い分シャープで気に入っています。これでマニュアルだったら文句ないのに、といつも思います。ケイタイでは自分の思うところにピントが来ません。特にアップ気味に撮りたい時にはイライラします。
このブログはケイタイでどんなことが可能か、の実験でもありますので、コンデジ欲しいですが、もうしばらくはケイタイにこだわってみます。
みかん
2011/10/11 14:32
ぐーまさん こんにちは。
見方は人様々ですから、どのように見えても自分がそう感じたのならそれが正解だと思います。ピレオギクの葉は春菊のようだ、と書けば理解してもらえるかな、とみかんは想像したのですよ。実際の葉はシュンギクよりも厚く、ゴワゴワした感じですが、見た目はシュンギクに似ていますよね。
花はわりと大きく、華奢な感じではありません。しっかりと花の存在を主張しています。花の直径は3センチほどあるのですよ。
みかん
2011/10/11 14:48
ridge_lineさん こんにちは。
来年のカレンダー早速にお買い上げいただき、ありがとうございます。
例年、10月に入ると書店に並ぶように手配しているようです。表紙の見本ができた段階でアマゾンでは予約の受付をしていて、本人がいちばんビックリしました。見本ができたらここで紹介します、と以前に書いているので、次回はカレンダーの紹介ですかね。
ケイタイは軽いですから、逆に手ぶれを起す人もいるようですが、木や岩に寄りかかったり、自分の腕や膝を三脚代わりに固定して使うと、ブレのない安定した画面になりますね。背の低い植物なら、両腕を地面につけて写すと安定します。
自然と自分流のスタイルが出来上がるようです。
みかん
2011/10/11 15:06
こんばんは!
ピレオギク、すごい崖に咲いているんですねー。
撮影中の写真見て、つくづくそう思いました。
急斜面で、足場が悪くて、滑りそうなんて、聞いただけなら近寄りたくないですが、そこに咲いているのが見えてしまうと・・・
花の美しさだけでなく、葉も切れ込みが深くていい雰囲気です!
(春菊という話もありますが(^^ゞ)
nekoppana
2011/10/12 00:25
nekoppanaさん こんにちは。
撮影に行きたいと思いながら、なかなか行けない場所のひとつでした。北海道には毎年何回か出かけますが、日本海側を訪ねることは少ないですね。去年からは意識して日本海側を訪ねるようにしています。ピレオギクは今回の目的の花のひとつでした。
みかん
2011/10/12 14:35
どう見ても八百屋の春菊そっくりなのに、畑ではなくて断崖絶壁に咲いてるビオレギクって、すごいですね。
危険と冒険を好む植物なのでしょうか?
5枚目の写真は、まるでサスペンスドラマのラスト風景のようです。
みかんさん、ご無事で何よりでしたね。
3・4枚目の写真を見た後は、ハラハラ、ドキドキ、手に汗握る思いですべての写真を拝見しました。
2日目に、図鑑向きの花が見つかったところで、思わずバンザーイ!!
今後は八百屋で春菊を見たら、ビオレギクを思い浮かべることにしましょうウフッ
リサ・ママ
2011/10/13 16:42
こんにちは。

あれっ!トレードマークがありません。

断崖絶壁に咲くピレオギク、大の高所恐怖症の私には、この病気が治らない限り見ることが出来ない花です。
こうして見せていただけることは嬉しい限りですが、お仕事とはいえどうかお気をつけ下さいませ。
中葉春菊にとてもよく似ていますが、アップを見るとやはり厚みがありますね。厳しい環境下に咲く孤高の花は健気で美しいです。
さなえ(花の庵)
2011/10/13 17:32
あわてんぼのリサ・ママさん 今晩は。
ビオレギクではなくピレオギクね。わかった。あはは
最初に間違えて覚えてしまうと、それがずっと抜けないので要注意ですよ。言葉の伝言ゲームをやると、途中でどんどん変わってゆきますが、そのことを思い出してしまいました。これこそまさにサスペンス。あはは
みかん
2011/10/13 18:51
さなえさん 今晩は。
みかんのトレードマーク、サンタクロースのような真っ白な髭は健在ですよ。あまり長く伸びると、近所の小学生にサンタクロースと間違えられるので、時々11ミリにカットします。短く刈り込んだ後なのでないように見えるだけです。

さすがにこの場所はさなえさんは近づけないと思います。みかんは若かりし頃、岩登りをやっていたので岩壁に対する恐怖心はないのですが、運動神経も鈍ってきた最近では、割と慎重になりました。命はひとつだけなので大切にしたいと思っています。ピレオギクは撮影心をくすぐる素敵な花でした。
みかん
2011/10/13 19:06
 みかんさん、みなさんこんばんは。宮本@神奈川です。キク属のなかでも、北海道の特産種はなかなか観察に出かけにくく、ピレオギクはチシマコハマギクとならんでわたしには未見の種類です。じつは今年の5月、みかんさんのブログ情報をもとにカザグルマを見てきたところですが、このレポートもいつか活用させていただきたいと思います。

 わたしは上記で「キク属」としましたが、みかんさんはタイトルでピレオギクの属名にChrysanthemumでなく、Dendranthemaを用いられています。「YList」や、いがりさんの「日本の野菊」では前者が使われていますが、どのような見解によるものでしょうか。アドバイスいただければうれしく思います。

 ところで、去年、一昨年と、このブログで案内させていただいた「今年出会った花ベスト集」ですが、本日より、わたしのHP「野生植物写真館」で募集を開始しました。みかんさんのお勧めもあり、Yasukoさんのご遺志を引きついでスタートしたこの企画、ご興味のある方はぜひ参加をご検討いただければうれしく思います。

○2011年版・今年出会った花ベスト集の募集について
http://www.wildplants.sakura.ne.jp/bestflowers2011.htm
宮本@神奈川
2011/10/13 23:30
宮本@神奈川さん おはようございます。
ピレオギクの学名にデンドランテマを使ったのは訳があります。クリサンテムムもデンドランテマもともにキク属ではあるのですが。
以前の分類ではキク科のシュンギクやリュウノウギク、ハマギクなどがすべて一括してクリサンテムム属にまとめられていました。ところがシュンギクは1年草、リュウノウギクは多年草、ハマギクにいたっては亜低木です。種子の形も異なるので、最近の傾向ではこれらを分けるのが主流となっているのです。
デンドランテマとは、樹木と花を組み合わせた樹の花という意味ですが、リュウノウギクや栽培される園芸菊などの根元が木質化することに由来しています。今回ここで取り上げたピレオギクも根は木質化します。そんな訳でクリサンテムムではなく、デンドランテマ属を使ったわけです。
クリサンテムム属とする見解が間違いというわけではありません。

今年も恒例の「今年出会った花ベスト集」の募集が始まったのですね。今から皆さんのベストを見るのが楽しみです。このブログを見に来てくださる方で、まだ応募したことのない人は、是非とも応募して、皆さんに素敵な画像を披露してください。みかんももちろん参加しますよ。
みかん
2011/10/14 10:07
あら、ヤダ、もうアタマの中に入っちゃってますよ〜(^_^;)トホホ
ご紹介のカレンダーは、アマゾンで入手するつもりです。
愉しみ〜〜〜o(*^▽^*)o~♪ヤッホーーー
リサ・ママ
2011/10/15 14:59
リサ・ママさん こんにちは。
それでは間違いは追い出してください。あはは
カレンダー届いたら、是非、感想聞かせてくださいね。
みかん
2011/10/16 11:43

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