みかんの花日記

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zoom RSS ヤブツバキ

<<   作成日時 : 2010/01/27 10:13   >>

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   ヤブツバキは日本を代表する樹木のひとつである。

   北海道をのぞく日本全域に分布する。

   海辺に多く、一年中厚くてかたい緑の葉をつけている。

   葉にはピカピカとした光沢がある。

   このように葉に光沢がある樹木を照葉樹と呼ぶ。

   海辺には落葉樹よりも照葉樹が多い。

   海からの潮風を防ぐためや、乾燥しやすい条件に対処して、葉を厚くして塩害を防いだり、葉からの水分の蒸

   散を少なくするために、ロウのような物質で表面を覆い保護しているのだ。

   この層をクチクラ層という。

   クチクラ層の発達した植物は、太陽の光りが反射するとピカピカと光る。

   海辺に多いタブノキやユズリハ、ヤツデなどの樹木もみな同様にこのクチクラ層が発達している。

   照葉樹という言葉は、これらピカピカと光る葉を持つ樹木の総称で、海辺の林や森を表わすのに

   照葉樹林という言葉が使われる。




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   ヤブツバキはその照葉樹林を代表する木のひとつである。

   花は早いものは10月頃から咲き出し、遅いものでは5月頃まで咲いている。

   半年以上もの長い期間にわたって花が見られる植物は、そうざらにあるものではない。

   日本に野生しているツバキは、ヤブツバキと雪に適応して生きるユキツバキの2種類だけである。

   両者の中間であるユキバタツバキや、屋久島などでは果実がリンゴほどに大きくなるリンゴツバキなどと

   呼ばれるものもあるが、これとて植物的にはヤブツバキに他ならない。




   
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   ところでツバキの語源だが、葉が厚いことによる厚葉木(アツバキ)説や、葉に光沢があるところからの

   艶葉木(つやばき)説などがある。語源はいずれも花ではなく、葉から、というのも面白い。

   ツバキを漢字で書けば木偏に春である。春が来れば花開くところからの発想だが

   この椿という字は、日本で作られた国字である。

   漢字は普通中国経由で日本に入ってきたものがほとんどだが、中にはこの椿のように日本で作られた漢字も

   あるのである。国字の代表例はほかに、榊、辻、峠などがある。

   神様に捧げる木だから榊(さかき)というように、日本で作られた漢字はいかにも明快である。

   では、椿という漢字が日本で作られる前は、どのような漢字を宛てていたのだろうか。

   万葉集をひもとくと、都波木や海石榴(つばき)の文字が見られる。

   漢字の本場の中国では、トウツバキには山茶の字を宛てている。山茶=椿なのである。




   
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   寒い季節に咲く1輪のヤブツバキには、ほっと心をなごませる温かさがある。

   日本の分布の最北端は青森県の夏泊半島である。

   遠野物語で有名な民俗学者の柳田国男は、東北地方の椿は人為的に植えられたものではないか、という

   移入説を唱えているが、どうやらその説が実証されつつあるようだ。

   今となっては東北の椿が真の自生かどうか、定かではないが、青森県夏泊半島のヤブツバキと青森県

   西津軽郡深浦町の椿山のもの、岩手県下閉伊郡山田町に自生しているヤブツバキは、いずれの群落も

   別々の系統を示すことがわかってきたという。つまりは最初は種子を蒔いて育てたものが、長い年月の間に

   野生化した可能性が極めて高いのだ。

   椿は神社仏閣に植えられることが多いので、それらからの野生逸出の可能性は否定しきれない。

   いずれにしても現在、野生の姿でヤブツバキが見られるのは確かなことである。




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   日本に自生するヤブツバキとユキツバキの2種類から、じつに様々な種類の園芸種が生まれている。

   その数はざっと千種類を越す。

   千椿集という椿の写真集があるほど日本の栽培椿は変化に富んでいる。

   ヤブツバキの種子を蒔くと、八重や変わり咲き、色違いなど、面白いほどの変異が現れる。

   我が家にも無名の名品がある。

   「ほの香」と勝手に名付けたその椿は、あるかなきかのごくごく薄いピンク。ほとんど白に近いが、うっすらと

   色が見える。おまけに咲くと香るのである。

   ヤブツバキの種子を何万粒も蒔かなければこのような名品は出ない。

   知多半島の先端でヤブツバキを主に栽培していた業者のWさんとは、ひょんなことで知り合った。

   我が家の名品は、彼の畑から突然に出現した変り種である。

   毎年Wさんの畑を見るのが楽しみで、冬の恒例行事のひとつでもあった。

   人が良く、無欲のWさんは研究熱心でもあり、彼の発案した植木鉢と、彼独特の配合用土で椿を育てているが

   今日数えてみたら、なんと椿の鉢が21鉢もあった。

   そのほとんどが彼の畑から出た無名の名品である。

   また1から出直して百姓をやるのだと、Wさんは訳あって遠い地方に越してしまった。

   いつもニコニコと迎えてくれた奥様の、花のような笑顔も忘れられない。

   今年もまた我が家の多くの椿のつぼみがふくらんできた。












   画像はすべて野生のヤブツバキ。
   1枚目の雪のヤブツバキは2010年2月6日 愛知県半田市で
   それ以外はすべて2010年1月20日 渥美半島で撮影。      

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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
どーも ヽ(´ー`)ノ
山茶花で「さざんか」だし
鎌倉の円覚寺でみたお茶の花は「ちっちぇーー椿」という最初の認識。
(/||| ̄▽)/ 良く見たらお茶だった
あの時までお茶が椿の仲間だと知らなかった。(。_o)\★バキッ
椿の仲間も面白い ヘ(^◇^;ヘ)(ノ;^◇^)ノ
アライグマ
2010/01/27 16:42
ツバキにまつわるお話、あれこれ面白かったです。
知多半島のWさんほどではありませんが、昔、身近に椿に凝った人がいて名前が次々出てくるのにびっくりしたことを思い出しました。持っていない品種を見るとほしくなって集めてきたようです。アサガオと同じみたいですね。
それと「椿」の国字というのも初めて知りました。「鰆」のような魚へんの漢字もそうでしょうか?



人士
2010/01/27 20:18
アライグマさん おはようございます。
みかんはヤブツバキよりもチャの花の方が親しみがあります。小学校低学年の頃、晩秋、花が何もなくなった頃、畑の境界に植えられていたチャの花が一斉に咲き、それらに花アブがぶんぶんときていた情景を思い出します。群馬の我が家の周辺には野生のヤブツバキがなかったからです。東京に出て、高尾山ではじめて野生のヤブツバキを見た時にはビックリしました。赤い花が咲く椿は
庭木だとばかり思っていたからです。
椿には黄色がなく、少し前に話題となった黄色の花が咲く金花茶は、椿というよりチャに近いものですね。ベトナムの白い花が咲くチャも日本のものより花がやや大きく素敵ですよ。
みかん
2010/01/28 10:23
人士さん おはようございます。
先日はお会いできず残念でした。久し振りに参加された豊ボタ楽しかったことと思います。魚へんの漢字が国字かどうかは知りません。国字辞典のようなものがあれば面白いと思うのですが。
椿は奥が深いですね。関東と関西では同じ種類なのに名前が違って流通しているものなどもあり、「千椿集」を作った編集者は大変だったと言っていました。最近はヨーロッパで品種改良されたど派手な種類もありますが、私は野生のヤブツバキにかなうものはないと思っています。
みかん
2010/01/28 10:34
みかんさん、おはようございます。

ツバキにまつわるお話を興味深く読ませていただきました。
名の由来が葉からとは知りませんでした。
椿が国字だったこともはじめて知りました。
このサイトに伺うといろいろ面白いことを学ばせてもらえて嬉しい限りです。

隣町にツバキ園があり、3月にツバキ展が催されます。
華やかなものから、小さなものまで、これがツバキかと思える品種までさまざまですが、私はなんと言っても自生するヤブツバキが一番好きです。
冬の花材として、12月から2月まで使います。

海岸通にたくさんの自生があり、今盛りに咲いています。
今年は開花がとても早かったようです。
みな一斉に佐渡の方を向いて咲いていて、私は勝手に安寿の椿と呼んでいます。
海を見つめたヤブツバキを撮りたいと思っているのですが、車の往来がたくさんで、なかなか難しいと思いながら何年もたちます。
さなえ(花の庵)
2010/01/30 05:59
さなえさん おはようございます。
安寿の椿ですか、佐渡には近くを黒潮が流れている関係で、海辺にはヤブツバキが、山にはユキツバキが自生しているという面白い島です。安寿と厨子王にまつわる伝説も多く、中には「達者」などという地名が残っている所もあります。安寿と厨子王が引き裂かれた港の近くの地名です。「達者で暮らせよ」の一言が地名になったと語り継がれています。
椿はやはりヤブツバキがいいですね。原種というのは、凛とした強さがあります。
みかん
2010/01/30 09:47
みかんさん、こんにちわ。
椿のお話、興味深く読ませていただきました。
私の田舎のは自生ではないかも、というお話。私もなんとなく自生じゃないんじゃないかなーと思っていました。確証はないのですが。
昔からいろいろな人々が追われ流れてきては住み着いた町だと聞いていますし(平家ゆかり人々、アイヌ、オランダ人・・・私の祖父も(^o^;)

椿、葉に負けない花の輝き、そしてあの潔さも好きです。
shuku
2010/01/31 21:20
shukuさん こんにちは。
人々の交流によって植物も動くことは昔からあったことと思います。戦国時代の政略結婚などによって、姫君が故郷のよすがに地元の花や種を持ってお嫁入りする、などと言うことは記録にもありますし、現在の帰化植物のように、外国との貿易等によって無意識のうちに入り込んでくるインベーダーも多いことですから、本来の自生種とは異なる植物が野生化することは充分考えられることですね。特にヤブツバキのようなものは、花を観賞すると言うより、果実から取る椿油が重要視されたような気がします。
みかん
2010/02/01 12:32

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