みかんの花日記

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<<   作成日時 : 2009/06/04 14:55   >>

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   サツキは渓流沿い植物である。

   渓流沿い植物とは、渓谷の岩場など、増水すれば水をかぶるような狭い範囲にだけ生える特殊な植物の集団

   のことで、サツキはその代表とも言える。

   一般に自然が豊かな森におおわれた山の沢は、水量が安定していて水が濁ることも少ない。

   だが梅雨時や台風がもたらす異常な雨の時には水かさが増し、時に2メートル近くも水位が上昇することも

   珍しくない。

   サツキは平常時の水位から、増水時の最高水位まで、わずか2メートルほどの間が生息範囲なのである。




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   サツキは5月から6月にかけてが花の最盛期である。

   陰暦の5月を皐月というが、それはサツキが花盛りになることからの呼び名である。

   サツキはツツジ科ツツジ属に分類され、本州の神奈川県から山口県にかけて自生する。

   飛んで九州の屋久島にも分布するのは興味深い。

   サツキが生えるような渓谷は、ダム建設の格好の場所でもあり、神奈川県の中津川渓谷はダム建設のため

   貴重なサツキの自生地が水没し、絶滅してしまった。




   
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   自生のサツキの花の色は、画像のように朱赤色をしている。

   微妙な色の濃淡はあるものの、他の色はない。

   ところが盆栽などに利用されるサツキには多彩な花の色がある。

   これは九州の南部に良く似たマルバサツキという花色の変化が多い種類があり、園芸用のサツキは

   サツキとマルバサツキの交配によって、様々な色のものが作り出されたのである。




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   ツツジの花はすべてそうだが、花びらが5枚あるように見えるが、元の方ではくっついていて合弁花であること

   がわかる。その証拠には、花が散る時、このまま形でスポッと抜け落ちる。

   サツキはオシベが5本、メシベが1本ある。

   ツツジの類を見分ける場合、オシベの本数が何本あるかは重要な決め手のひとつなので、花を見る時は

   オシベの数に注目したい。




   
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   サツキが自生する環境は、風景的にも心和む場所が多く、水の流れる音を聞きながらお弁当でも広げたくなる

   ような場所ばかりである。この日もサツキが咲く川の岩場で、涼みながらお弁当を食べた。

   サツキが生える水域は木曽川、飛騨川、大井川、天竜川、熊野川など、色々あるが、そのどこもが風光明媚

   な場所であることが多い。

   河川によって水の色や岩の色が違うのも面白く、写真になる場所が多いので、ついつい夢中になってしまう。

   この日もケイタイで撮影した枚数は100枚近くに及んだ。

   写真を撮る人のために、アングルによってこんなにも風景は変わるのだ、という作例をお目にかける。




   
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   上の画像は岩場に咲いていた一叢のサツキである。

   これはそのままただ撮っただけの画像。

   この株をアングルを変えて、その場の雰囲気や広がりを意識して写すと下の画像のようになる。




   
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   同じ株であることがわかるように写したが、私が撮りたいと思ったのは、さらに寄った(近づいた)下の画像。

   写真は咲いている株全部を入れるより、切ることによって、さらに印象強いものになることもある。

   この場合、花に当たっている太陽の光りが、半逆光であることも成功の要因のひとつである。




   
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   環境を写しこんで植物を撮る、と言うのは私の植物写真の基本姿勢である。

   周りの環境がわからない花の画像には、全く興味が湧かない。

   ただ単に花だけを写すだけならスタジオで充分である。

   自然の中で野生の植物を写す、ということは、植物を取り巻く自然環境を写すことでもあるのだ。

   素敵だ、と思えるのは、やはり太陽の下で力強く咲く野生の姿だからなのだろう。




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   渓流沿い植物と言うのは、極めて特殊な環境に適応して生きる植物である。

   大水にも耐えられる強靭な根を岩の割れ目に食い込ませ、まるで岩にしがみついているかのようである。

   枝が折れて下流に流されても、簡単に発根して定着する。

   水位の安定している熊野川のような場所では、そこだけでしか見られない独特の形に進化したものもある。

   ドロニガナ、カワゼンコ、シチョウゲなどである。

   またヤシャゼンマイやヤナギの類は、これら渓流沿い植物の常連さんである。




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   上の画像は豊川水系のニガナである。

   右の画像でわかるように、サツキと共存している。

   だが、このニガナはただのニガナではない。

   ドロニガナやサガミニガナほど特殊化はしていないが、明らかに渓流に適応して進化している。

   名前は付けられていないのでニガナと呼ぶしかないのだが、近い将来、新しい名前が付くかもしれない。




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   サツキの撮影が目的で訪れた豊川だったが、流れに沿って上流へ、上流へと向かい、この日は丸一日

   たっぷりとサツキを撮影した。

   普段は滅多に使わない大型カメラ、それに35ミリの銀塩カメラ、デジタルカメラ、それにケイタイと

   この日は4刀流で存分に撮影した、一体全体どのくらいの枚数を撮ったのか、自分でもわからない。

   1種類の植物をこれだけ夢中で撮ることは、そうざらにあることではない。

   どちらかと言うと、私は枚数をあまり撮らないカメラマンで知られている。

   だが、この日は思う存分撮影した。

   サツキがそれだけ魅力ある被写体だった証しでもある。

   我々カメラマン仲間では、今日のような状態のことを 「10年分は撮影した」 と言う。




   画像画像






























   画像はクリックすると大きくなります。

   大きな画面で楽しんでくださいネ。

   撮影は2009年6月2日 愛知県鳳来町の豊川水系で。




   




   




   




   

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コメント(15件)

内 容 ニックネーム/日時
頭では判っていてもなかなか上手く写せないですねーー。
ヽ(´ー`)ノ
サツキは適度に水浴びをしないと生きていけないのでしょうかね。
(ーー;) 風呂付の一軒家じゃないと駄目なんだ。
アライグマ
2009/06/04 15:34
私が避けて通っている,サツキ! 「ツツジとどう違うの?」と聞かれて「あー,うー」なお返事しかできません。
その,サツキの自生地の様子を見せていただき,うれしく思います。
今度からは,面倒な説明は省いて「ほんまもんのサツキは水をかぶるくらいの岩場なんかによく生えていて,生け垣に使っているのは陸にあがったサツキで違う」などとほざいてみます。
はるこ
2009/06/04 15:57
 こんばんは
サツキは園芸種とばかり思っていたので 自生が
あるとは・・・ビックリすると同時に勉強になりました。

 この場をお借りして
こちらの湿原ではトキソウが咲いているのですが 白花も
あります 特に今年は多いような気がして ネットで調べたら
「シロバナトキソウ」とされているのですが 
独立した名前なのでしょうか それとも 単なる「白花品種」
なのでしょうか? ご教示いただければ幸いです。
風太
2009/06/04 21:03
みかんさん、こんばんは。
サツキの自生は知りませんでした。中国地方にはないようですね?。
昨日、国道沿いの岩場で、ツメレンゲの自生地を覗いたばかり・・・。
県内の立○○峡のツメレンゲはすっかり消えていたとの事を聞いたばかりでしたので、穴場のツメレンゲの無事で安心しましたが。(ここのツメレンゲは緑色です)別の場所〜段○渓○は色が違います。

サツキの項目で別なことを書き込みました。


かげろう
2009/06/04 23:12
アライグマさん 毎度どうもです。
サツキは水浴びが大好きですが、水をかぶらない陸でも結構丈夫に繁殖します。それだけ適応力があるのでしょうね。
風呂付の一軒家は最高ですが、風呂なしの安アパートでも、近くに銭湯があれば充分満足して生活できるようですよ。
みかん
2009/06/05 08:35
はるこさん おはようございます。
「ツツジもサツキも同じものですよ。呼び名が違うだけ。」
どう、名答でしょ。
しいて言うならば、サツキは丈が低く刈り込みにも耐えるため、江戸時代に一大園芸ブームが起り、赤色系のサツキ×紫色系のマルバサツキによって、様々な色のものが作り出され、それが普及して現代に至っているのですよ。特に盆栽は日本が世界に誇ることができるお家芸ですからね。
専門的に解説すると、サツキの赤色はシアニジン色素、マルバサツキの紫色はマルビジン色素、どちらも単純な色素構成ですが、これが交雑するとペオニジン、デルヒニジン、ペチュニジンなどの多彩な色構成が現れるので、園芸種のサツキには野生種にはない様々な色が現れるのです。はるこさんの専門分野ですから、釈迦に説法でしたかね。
みかん
2009/06/05 09:02
風太さん おはようございます。
サツキの画像をメールで送った私の友人が、風太さんと全く同じことを言ってきました。サツキは園芸種だとばかり思っていた、と。園芸種にはその元となった原種が必ずあります。例えばチューリップだって、原種が日本に生えていないだけで、ヨーロッパやロシアなどに行けば、その原種が野原などに咲いています。様々な花色がある園芸種のサツキの原種となったのが、今回私が紹介したサツキなのです。

トキソウの白花ですが、これは単なるアルビノです。ピンクの花が咲くものと全く同じものですね。
みかん
2009/06/05 09:15
かげろうさん おはようございます。
サツキは中国地方では山口県に自生があります。分布の中心は東海から近畿地方にかけてですが。
ツメレンゲは立○○峡にはまだ沢山ありますよ。観光客が訪れる川沿いでも、手の届かない場所にはたくさん生えています。植物は多少人に盗られたくらいで簡単に絶滅するものではありません。ツメレンゲは城址の石垣などにもまだ普通に見ることができますし、たくさんありすぎて、どこでもあまり盗掘の対象にはなっていないと感じていますが。先日も富山の植物学会のエクスカーションで訪れた岩山にはたくさん生えていました。採集OKの場所でした。
みかん
2009/06/05 09:36
 お久しぶりです。
 サツキとツツジはどこが違う?はついこの間も質問を受けました。この問いは江戸時代からあり、最古のサツキ・ツツジ類のモノグラフである『錦繍枕(1693年/元禄5年/伊藤 伊兵衛 著)』にもあります。
 実物を見ると

1 野生のサツキからの野生選抜および、その実生後代。
2 サツキとマルバサツキの交雑由来と推定されるもの。
3 前述の1と2に、いわゆるアザレア(ベルジアン・アザレア)を交配したもの。
4 1〜3に起源する園芸品種から、枝変わりで産まれたもの。

 に大別されます。伊藤伊兵衛が錦繍枕を著した時代には、1と2はすでにあったようです。
 とくに昭和以降の色彩豊かな大輪の園芸品種にはアザレアと交配したものが多く、アザレアをたどればキシツツジやリュウキュウツツジ、タイワンヤマツツジなどに行き当たります。ですから、江戸時代の古典的な園芸品種は地味な印象を受けます。

 
コージ
2009/06/05 11:42
 よって、サツキとツツジの違いは?という問いに対する答えは
『サツキは野生種 Rhododendron indicum と、それを基にして育成された園芸品種群を指し、ツツジはシャクナゲを除く日本産 Rhododendron 属植物の総称である。』
 になると思います。

 よく植え込みに見るピンクのサツキは‘大盃(おおさかずき)’という園芸品種で、サツキの園芸品種の中で最古のもののひとつです。これは先の1、野生選抜品種と考えられていますが、後世の‘大盃’の実生後代、あるいは4、枝変わり品種も混じっているように思われます。
 長文失礼しました。
コージ
2009/06/05 11:50
自生のサツキの存在を知ったのは朝日植物百科(昭和50年頃に発売された)で。
庭植えのサツキは改良されたものだろう思っていましたが、自生種があるということに驚いたものでした。
↓のカザグルマもそうです。
仙台のごく一部にまだカザグルマがあると思います。
一度写真を撮ってきたことがあります。
蔵王町のどこかにもあるのではないかとキョロキョロしていますが、ないですね。

aoikesi
2009/06/05 17:34
コージさん 今晩は。
詳しい解説をありがとうございます。
最近の園芸種のサツキは派手なものが多いですね。ベルジアン・アザレアとの交配種で、日本で作出された「春のひびき」などは2月頃に鉢植えが出回っていて、季節感も狂ってしまうほどです。

ところで最後のサツキとツツジの違いは、の所ですが、植物を良く知らない人が聞くと誤解しそうなので、あえてもう一度書きますが、サツキとツツジは対等の名ではなく、日本にたくさんあるツツジ群(Rhododendron属)の中のひとつがサツキなのです。私がサツキもツツジも同じものです。と答えたのはそのためなのですよ。
みかん
2009/06/06 00:33
aoikesiさん 今晩は。
サツキは様々な園芸種が作られているので、馴染みのある花のひとつだと思います。自生種がある地域でも、ごく普通に目にする植物ではないので、多くの人はサツキ=園芸種と思っているようです。
ですが、野生のサツキはしたたかなまでの生命力で、見る者を圧倒します。
みかん
2009/06/06 00:40
 「アルビノ」でいいのですね ありがとうございました。

行きそびれていた黒髪の山 花がらだけでも見ようと
訪れましたが「白糸草」無くなっていました
 人為的とすれば非常に残念なことです。
風太
2009/06/06 02:40
風太さん おはようございます。
クロカミシライトソウは数の少ない貴重な植物だけに、残念というより無念ですね。
撮影しやすい場所に生えていましたから、たぶん盗掘でしょうね。う〜ん、花の良い時に再撮影したかっただけに悔しいです。黒髪山は貴重な植物が多い、佐賀県が誇る宝の山ですから、特に地元の人には、認識を新たにして欲しいですね。それにしても悔しいなぁ。みかんがその場にいたら、大声で怒鳴って叱りつけていたでしょうね。ほんとに残念です。
みかん
2009/06/07 05:44

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