みかんの花日記

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zoom RSS サカワサイシン

<<   作成日時 : 2009/05/28 11:36   >>

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   聞いたことのない名前、と思われた方が大半だと思う。

   サカワサイシンはカンアオイの仲間で、分布の非常に限られた植物である。

   長い植物人生の中で、私も今回が花との初対面である。

   カンアオイの仲間は、花が地面近くに咲くので、落ち葉をかきわけたり、土を少し掘ったりしないと

   花が現れない。

   花の観察が非常に難しい植物でもある。

   おまけに花の外観だけでは種の特徴がわからないものも多く、花を割ってメシベの数を数えたり、

   縦の隆起線を調べたり、色々な所をチェックしないといけないので、素人にはちょっと厄介な植物である。




   
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   サカワサイシンは高知県の西半分だけに分布する。

   吉野川流域から西の地域だけに生えている。

   名前のサカワは、牧野富太郎生誕の地でもある佐川町で発見されたことによる。

   発見命名したのは、もちろん牧野富太郎自身である。

   サイシンとは細辛で、漢名からきている。

   カンアオイの類は分布速度が非常に遅いことでも知られている。

   ゆえに、地域ごとに独特な種類に分化しているのである。




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   サカワサイシンの外見的な特徴は、萼片と萼筒の間が強くくびれ、3つに分かれた萼片は肉厚で、

   白い縁取りが目立つことである。

   花の色は上の画像のように黒っぽいものもあれば、赤っぽいものもある。

   撮影の間中、花には頻繁にアリが訪れていた。

   カンアオイの類はまだ謎が多く、どのような虫が媒介して受粉するのか、そのほとんどがわかっていない。

   この仲間は冬の寒い時に花が咲くので寒葵(カンアオイ)の名前が付いたのだが、それはカントウカンアオイ

   などの限られたものだけである。

   秋咲きのスエヒロアオイやカギガタアオイ、ズゾウカンアオイなどもあれば、春咲きのタマノカンアオイやタイリ

   ンアオイ、ランヨウアオイなどもある。

   また、稀にオトメアオイのように夏まで咲いているものもある。

   サカワサイシンの花期は5〜6月である。




   
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   日本にはカンアオイの類が多く、北は北海道から南は沖縄県の南西諸島、西表島に至るまで

   それぞれの地域に独特に分化したものが見られる。

   ごく最近になって発表された新種もあれば、これから発見されるであろう未知の植物もあるはずである。

   カンアオイの類は、調べ始めるとどんどんとその魅力の虜になってしまう。

   昔から熱狂的なファンも多いマニアックな世界でもある。

   形の奇妙な珍品も多いので、高値で取引され、山野からの盗掘も後を絶たない。

   九州のある場所でオナガカンアオイの花を見た時、その奇妙な面白さに魅かれ、私でさえも欲しい、と思った

   ほどである。



   実は今、カンアオイの図鑑に取り組んでいる。

   首都大学東京の菅原 敬先生が長い間取り組んでこられたカンアオイ類の研究成果が1冊にまとめられる。

   先生が整理された日本産カンアオイは全部で56種類。

   そんなにあるの、と、ちょっとギョとする数字である。

   そのうち、私がすでに撮影しているものはまだ32種類だけである。道は遠いが締め切りまでにあと数種類は

   撮影したいと思う。

   ちなみに、図鑑には日本産全種類が写真で登場する。




   
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   図鑑類の写真もそうだが、写真は見るもの、とあなたは思っていませんか。

   写真は確かに見るものではあるのですが、読む、ものでもあるのです。

   写真は見るものではなく、読むことをお薦めします。

   例えば上の写真、見るだけだと、落ち葉の中にサカワサイシンが咲いているだけの写真です。

   ところが、この写真を読むことができれば、どんな場所に咲いているのかがわかります。

   先ずは落ち葉に注目してみましょう。

   株の回りには色々な落ち葉が積もっています。よく目立つのは、つまり落ち葉の量が多いのは

   トサミズキの枯れた葉です。黄色っぽい笹の葉も見えます。

   これらから、そこはトサミズキの木の下で、笹が少し混じる藪であることがわかります。

   さらに知識のある人であれば、トサミズキの生える場所は蛇紋岩地であるので、岩肌が見えなくとも

   そこの地質は蛇紋岩であることがわかります。

   また一緒に生えている植物の葉が何であるかがわかれば、その場所の植生までがわかるのです。

   たった1枚の写真でも、読むことができれば、そこに写っていない風景までが見えてくるのです。

   写真を読む、とはそういうことなのです。

   

   サカワサイシンの花の分解など、さらに面白い要素はたくさんあるのですが、それはいずれ図鑑の方で

   紹介することにします。









   今回のオマケ画像

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   ヤマアジサイ(左)とシライトソウ(右)が近くに咲いていました。

   ヤマアジサイはまだ開きはじめで、ピンクの装飾花もあまり目立ちませんね。

   画像はいずれもクリックすると大きくなります。

   今回の取材が的確に行えたのは、20年近くの付き合いがある土佐植物研究会の細川さんが下見をして

   くれたお陰です。細川さん、奥宮さん、ありがとう。

   行きは東京からの夜行バス、撮影した当日の夜行バスで名古屋に戻ると言うハードスケジュールでした。

   撮影は2009年5月26日 高知県で。

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コメント(20件)

内 容 ニックネーム/日時
今晩は、サカワサイシン初めてしりました。
すぐに本を開き花の図を見ました。
また一つ勉強になりました。
misao@大阪
2009/05/28 18:39
みかんさん、こんばんは。misaoさん、ご無沙汰しています。
カンアオイの仲間は興味あるのですが、訪れる機会がありません。
オナガカンアオイ、サカワサイシインは憧れの植物です。
2007年、植物研究雑誌で、ミクニサイシンが新種として記載されました。
当然ご存知と思いますが、ミクニ(三国)はみかんさんの故郷から命名されています。
一応、撮影していますが、同定には少し自信がありません。
上州花狂い
2009/05/28 20:51
今晩はヽ(´ー`)ノ
数年前に愛知でイワタカンアオイを見せていただきましたが、あれは良く見るカントウカンアオイなどより葉が美しく普段カンアオイ類の写真を撮らないσ(^_^)もパチリとやってしまいました。
尺取虫みたいなのがムシャムシャやってましたけど。(^▽^*)
アライグマ
2009/05/28 20:58
みかんさん、皆さん、こんばんは!
一瞬、ムベかと思いました。
私が見たカンアオイの仲間は20種にも満たないものでした。
確かにカンアオイの仲間を追い求める(マニアック)な仲間も多いと聞きます。
ある意味、それだけ魅力ある植物だと言えますね。
オナガサイシンは高嶺の花と思っていましたが、さらにサカワサイシンが加わりました。
奥の深い世界です。でも、盗掘(採取)は勘弁して欲しいですね。
t-yam1
2009/05/28 23:42
オナガカンアオイの方でしたm(_ _)m
t-yam1
2009/05/29 09:23
みかんさん、こんにちは。
カンアオイの仲間は56種類もあるんですね!
けっこうたくさん見た気になってましたが、数えてみれば両手両足で足りちゃいました。
地域ごとに特色があるようで、最近ではどこへ行ってもカンアオイの葉が気にかかるようになりました。
おかげかどうか、、、今年は可憐に舞うギフチョウにも会う事ができました。
nekoppana
2009/05/30 01:22
misaoさん お久し振りです。
この頃はどなたと山を歩いているのでしょうか。
昨年は参加できなかった植物地理分類学会の参加を兼ねて、4日間ほど富山県に出かけておりました。講演やら研究成果の発表やら、翌日のエクスカーションも含めて、学会への参加は、いつも良い刺激になります。
新知見を得ることもそうですが、もっと勉強をしなければ、と、いつも自分に発破をかける良い機会になっています。
みかん
2009/06/01 14:31
上州花狂いさん こんにちは。
昨夜遅くに富山の学会から戻りました。
カンアオイの仲間は大変面白いのですが、なかなか奥の深い知識が要求されるので、手強い相手でもあります。ミクニサイシンは撮影済みですが、細かな部分アップをもう少し撮り足さなければならないかも知れません。それにしてもこの類は細かく分けすぎ、と思えなくもないのですが。
みかん
2009/06/01 14:44
アライグマさん こんにちは。
カンアオイの葉の斑は、株ごとに違うほど変化に富んでいますね。それゆえにコレクションの対象になるのかも知れません。イワタはヒメと混生することもありますが、葉の形でハッキリと区別できますが、それは愛知県や静岡県での話しで、北陸に行くと「エッ、これがヒメなの」と驚くほど大きくなります。
昨日もそんなヒメカンアオイを見てきました。
みかん
2009/06/01 14:52
t-yam1さん こんにちは。
先日、高知で栽培のオナガサイシンを見てきました。これは分布が沖縄だけなので、まだ未撮影の種類です。いかにも南国育ち、といった雰囲気のカンアオイでした。沖縄産ではこれだけが未撮影です。萼片の先端が伸びる魅力あるカンアオイでしたよ。
オナガカンアオイもなぜあんなに長く萼片の先端が伸びるのか、不思議ですね。これを発見した九州の南谷さんは、全く偶然に見つけたようですよ。カンアオイの中では最も盗掘の危険に晒されています。最初の発見地では根こそぎ取られて壊滅状態になってしまいました。ですが別の場所では花の咲かない小さな小さな苗が、ほんの少しずつ復活の兆しを見せています。花が咲くまでには長い時間がかかりそうですが。
みかん
2009/06/01 15:12
nekoppanaさん こんにちは。
カンアオイはギフチョウにとっては大事な食料であると同時に、葉裏は卵を産み付ける格好の場所となっています。春先に優雅な舞いを見せるギフチョウはまさに春の妖精ですね。こんな美しい蝶に出会えたとは、ほんとにラッキーでしたね。私は今年の春は出会うことができませんでした。
みかん
2009/06/01 15:30
みかんさん こんにちは。
東京Yさん、上州花狂いさん、大阪の花友達に声をかけてもらっています。
後は、一人で相変わらず高野山通いをしています。

カンアオイの図鑑、楽しみにしています。
misao@大阪
2009/06/01 17:32
みかんさん、こんばんは。

サカワサイシン、当然聞いたことのない名前です。
こちらにもカンアオイはよく見かけ、私の好きな雑木林の林床にもたくさんあります。

それぞれに全部花の色も違い大きさも違い。
興味はあれど、さっぱり名がわからない植物です。
写真にもなかなか撮りがたく。

でもこのサカワサイシンと言うのは面白い形ですね。

さなえ(花の庵)
2009/06/02 20:14
misaoさん おはようございます。
高野山通い、いいですね。同じ場所を徹底的に知り尽くすのは素晴らしいことです。高野山は特異な植物も多いところですから、素敵なフィールドだと思います。私も何度か撮影に出かけていますが、まだ撮れていない植物もありますので、機会があったら案内してくださいね。
みかん
2009/06/03 08:33
さなえさん おはようございます。
カンアオイの仲間というのは、スミレ以上に奥が深く、入り込んだら抜け出せない世界かも知れません。違う種類が同所的に生えることは極めて少なく、群生しているのは大体が同じ種類です。
サカワサイシン以上に奇妙な形のものも多いのですよ。
みかん
2009/06/03 08:37
みかんさん、おはようございます。

追伸です。
昨日書こうと思って忘れました。
写真は読むもの、この言葉、みかんさんの画像はもとより、寄せられてきたスミレ画像を見ながらも実感しています。
見たこともないスミレも多く、画像を拝見しながらこのようなところに自生するのだとも思いながら興味深いです。

みんなの「スミレ図鑑」は多くのアクセスを踏みヤフーでスミレ図鑑で検索するとトップページに今日はあがりました。
開設も少しづつ時間をかけて増やそうと思います。
多くの方に利用していただけると嬉しいです。

ありがとうございます。
さなえ(花の庵)
2009/06/03 10:04
さなえさん 今晩は。

私のいちばん言いたかったことに反応してくれて、素直に嬉しいです。
ネットの世界で出来ることは何だろう、そんなことをいつも自問自答しながらブログを作っています。写真を見せることにはそれほど意義を感じておりません。何を伝えられるか、自分の言いたいことがわかってもらえるか、そんなことをこれからも発信して行こうと思います。

スミレ図鑑、色々な人の思いがこもった写真は、それぞれに個性があり楽しいですね。何点か同定ミスもありますので、近いうちにメールしますね。
みかん
2009/06/03 22:55
みかんさん、おはようございます!

サワカサイシンって変わった花を咲かせるのですね?
カンアオイの仲間は、私のような初心者にはハードルが高すぎるのでコメントを控えておりました。
それでも、最近は山でカンアオイの仲間に出会うと葉の根元の葉を払って必ず花を見るようになりました、不気味な花も見方によっては魅力を感じるようになるのでしょうね?はまらないように気をつけなければ…(笑)

「写真は読むもの」この言葉は心に響きました!
ネットを通して真剣に向き合い真剣に訴えておられる姿に改めて感動しています。
一言一句を丁寧に選びながら文章を書いてくださっているお陰で、写真から伝わることが理解しやすく、なじみのない植物でも興味が沸いてきます。
ありがとうございます。

fu-co
2009/06/04 06:26
あれッ、サワカサイシン→サカワサイシン って打ったつもりが…ガ〜〜ン!!
どうも失礼いたしました。相変わらずそそっかしいです(^^ゞ
fu-co
2009/06/04 06:29
fu-coさん おはようございます。
みかんはサワカサイシンをサカワサイシンと読んでいましたよ。追伸がなければ気が付かないところでした。この辺が校正の時によく陥る欠点でもあります。知っている植物の場合、間違っていても正しく読んでしまい、それに気が付かないことが良くあります。

ところでfu-coさんくらいの探究心があれば、カンアオイの類も覚えるのは早いと思いますよ。一通り見て歩こうとすると、とても多くの時間を費やさなければなりませんが。タデスミレを探す執念には脱帽しました。かつての私を見ている思いです。
みかん
2009/06/04 07:28

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