みかんの花日記

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zoom RSS ケイリュウタチツボスミレ

<<   作成日時 : 2009/04/20 19:35   >>

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   ケイリュウタチツボスミレは渓流沿いだけに生える小さなスミレである。

   岩の割れ目や砂地の小石の間、苔むした岩の中などに張り付くように生えている。

   その生育地は、大水が出ると水をかぶる範囲内だけに限られている。

   どこにでもあるタチツボスミレが水辺に進出し、長い年月の間に渓流の流れに適応して進化した、

   いわば渓流型のタチツボスミレなのである。

   タチツボスミレの変種として扱う。

   


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   木曽川の支流にあたるその渓谷の水は、見事なまでに透き通っていた。

   折りしも光り輝くような新緑の季節、若葉はまだ産毛を残して生まれたての瑞々しさを宿している。

   吹く風さえも黄緑色に染めてしまいそうな風情である。

   さわやかな風が吹く、今の季節ならではの爽快感のある風だ。

   車はゆっくりと未舗装の林道を進む。





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   林道をほんのわずか登るだけで、周りの新緑の色が変わってくる。

   登るにしたがって緑色はどんどんと白っぽくなって、緑色とは呼べないような春霞のような色となる。

   満面に笑みを浮かべたような、山笑う、季節となる一歩手前のような、淡い色の季節

   詩人ならこの色を何と表現するだろうか。

   ヤマブキが渓谷に乗り出して、見事にカーブした枝を揺らせている。

   まだ枯れ枝のように見える雑木の林の中で、ミツバツツジが咲いている。





   
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   渓流沿いの林道は、ゆっくりと時間をかけて散策したら、さらに色々な発見があるだろう。

   だが今はケイリュウタチツボスミレを探して、ゆっくりゆっくり上流へと向かう。

   ケイリュウタチツボスミレはそうどこにでもあるスミレではない。

   同じ渓谷でも生える場所は限られている。

   苔むした岩や、相性のいいヤシャゼンマイやサツキ、ネコヤナギ、カワラハンノキなどが生えているような

   場所に目を凝らす。時に対岸であっても花が咲いていれば目に付く。





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   郷里の先輩でもあるMさんとこの辺を歩いた時に、この辺にケイリュウタチツボスミレがあるんだよ、と場所を

   教えてもらっていたので、第一のポイントはすぐにわかったが、今年の春は思いのほか早かった。

   その場所はわずかに盛りをすぎていた。

   それならば上流へと向かう。

   ポイントは勘、長年培った勘は結構さえていて、ここならばありそう、と思い車を停めたあたりでは必ず探す

   ことができた。




   
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   上の画像は河岸にネコヤナギが藪を作っていたその根元。

   こんな場所でも土壌は不安定ながら、しなやかなネコヤナギの根に守られてケイリュウタチツボスミレは生育

   する。出水時のゴミがたくさん引っかかっていることが多い。

   ケイリュウタチツボスミレは葉に特徴があり、葉は三角形から浅い心形で、テカテカとした光沢がある。

   タチツボスミレの葉よりかなり小さい。

   花が終わる頃に伸びだしてくる茎葉は菱形のようになるものが多い。流れに適応した形なのであろう。





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   上流に向かうにしたがって春は浅くなる。

   山桜がわずかに咲き始め、ミツバツツジのつぼみは固い。

   タムシバの花が白く翻り、アカヤシオが咲いている。

   手は届かないものの、比較的近くにヒカゲツツジが咲いていた。

   ほんのりとしたクリーム色の花は、石楠花のような雰囲気がある。


   

 
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   上流への道は、春から早春へと、季節を逆戻りするような道である。

   そんな季節の流れを楽しみながら、上流へ、上流へと登って行く。

   林道は決して急な道ではないのだが、周りの木々の芽吹きで確実に標高が高くなったことがわかる。

   渓谷のミツバツツジの色が濃い。




   
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   ケイリュウタチツボスミレを探すコツは、相性のいい植物をチェックすることでもある。

   下の左画像はゼンマイだが、渓畔にはゼンマイに良く似ていてより華奢なヤシャゼンマイが岩の割れ目などに

   生えている。これらの株元にはケイリュウタチツボスミレが生えていることが多い。

   このような環境は先ずチェックである。

   下の2枚の画像はいずれも対岸だったが、あの場所なら生えていそう、と直感した場所なのである。




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   ケイリュウタチツボスミレは渓谷の水辺に生える。

   流れのすぐ側である。

   だがみんな川の流れに顔を向けるようにして咲くので、流れと一緒に写そうとすると、これがなかなか難しい。

   アングルを四苦八苦して考えるのだが、どうも適した場所が見つからない。

   そんな場所を探しながら移動しているうちに、ここなら、という場所が見つかった。

   垂直に切り立った深い淵の岩壁、その苔むした場所、赤いヤシャゼンマイの株元に涼しそうに咲いている。

   恐る恐る岩を降りて、おっかなビックリ撮影する。

   ケイタイでなければとても写せない場所である。だから本業の銀塩では、このカットは撮れていない。





   
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   木曽川の支流がさらに支流へと分岐して、渓谷の流れは随分と細くなってきた。

   もうこんな上流にはあるまいと思っていたのだが、何と涸れ沢となった砂地の石や岩のまわりにあったのであ

   る。まぎれもないケイリュウタチツボスミレが。

   ケイリュウタチツボスミレは普通、河川の中流域が生育地である。

   だが、稀には源流部にも生育している。

   右画像はタチツボスミレへの移行形とも見てとれるタイプのものである。





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   この日一日、たっぷりとスミレと遊んだ。

   輝くような新緑に何度もため息をつき、胸いっぱい美味しい山の空気を吸った。

   わが身の健康を感謝するひと時でもあった。

   山はいい、たとえ何の目的を持ち合わせていなくても、そこにたたずむだけで幸せを実感する。

   自然が発する 気 は人の心を浄化する。




   
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   画像はクリックすると大きくなります。大きな画面で楽しんでください。

   撮影は2009年4月19日 長野県南木曽で。
   

   ETCを利用して、どこまで行っても1000円は嬉しいけれど、やはり日帰りは疲れます。
   それにあまりメジャーでないこの渓谷も、日曜日のせいか釣り人や登山者、写真クラブの団体さんなど
   結構な人で賑わっておりました。
   みかんはやっぱり平日がいいなぁ、とつくづく思いましたが、それではETCが有効活用できない、ムムム。

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コメント(16件)

内 容 ニックネーム/日時
みかんさん こんにちは。

すごい菫ですね。よくもまあ渓流の水勢に抗して生きているものだと感心してしまいます。
電脳中年A
2009/04/20 21:55
みかんさん、こんばんは。
今日は書き込みが早い・・・。娘は疲れて眠りました(毎日午前様でしたから・・)
 ケイリュウタチツボスミレはこちらでも探せばあるかしら。

疲れたとき、じっと山を眺めたり、川を眺めたりして、ホッとすることはありますが・・・。(もちろん、誰もいない場所で自然を一人じめですが・・・。)
ETCを利用して、どこまでも1000円は中々利用できないですよ。クシュン。((+_+))
かげろう
2009/04/20 22:53
みかんさん こんばんは、
涼しそうな色と細身の花の形が魅力的で、いつか見てみたいと思っているスミレです。先日、丹沢の河原で「移行形とも見てとれる」ようなタチツボスミレをみましたが、葉の光沢が少しあるものとまったくないものが混在していて、時々泳ぐのが好きなタチツボスミレかなと思っているところです。
はっきり特徴のあるたくさんの写真とどんなところに生えているか詳しく教えていただいてありがとうございました。
ridge_line
2009/04/20 23:10
みかんさん、おはようございます。

ケイリュウタチツボスミレのお届けをありがとうございました。
小さくもたくましいスミレのようですね。

渓流の岩の間にでもしっかりと根ざし、次世代へと紡いでいく花に愛しさを感じます。

みかんさんが渓流沿いをのぼって行かれる様子の山の彩の移り変わりが、手に取るように浮かびます。

この季節は、一日とも言えないほど、山色が変わりますね。
瑞々しく、生命力あふれる季節です。

私は詩人ではありませんが
>若葉はまだ産毛を残してと書いておられるとおり、この季節の微妙に移り変わる淡い色を「うぶ色」と勝手に呼んでいます。
生まれたばかりの色。

ケイリュウタチツボスミレは分布域がこちらにもありそうですが、なかなか動きがたいところのようです。
細かく書いていただいているので、どのようなところに咲いているかが良くわかります。
機会があれば探してみようと思います。

さなえ(花の庵)
2009/04/21 08:18
電脳中年Aさん おはようございます。
渓流に即して進化したいくつかの植物がありますが、ケイリュウタチツボスミレもそのひとつですね。このスミレに最初に注目したのは日本スミレ同好会の山田直毅さんですが、その慧眼に脱帽です。彼に自生地を教えてもらい、はじめて撮影したのはもう15年以上も昔のことです。
みかん
2009/04/21 09:40
かげろうさん おはようございます。
気持ちのよい季節になりましたね。かげろうさんの家の近くでも新緑が輝いていることと思います。
以前に水田に写る水鏡の新緑を見せてもらったことがありますが、今の季節は日本中どこに行っても感嘆の声を発するほどです。体がひとつしかないのが恨めしい季節でもあります。ケイリュウタチツボスミレは探せば島根にもあるかも知れませんよ。
みかん
2009/04/21 09:48
ridge lineさん おはようございます。
丹沢にはケイリュウタチツボスミレがありますね。中津川で見ています。今まで知られていなかった場所でも、生える環境がある場所では新発見される可能性が高いですね。
和歌山県なども知られていない産地でしたが、私が見つけていますし、これからも分布が広がる可能性は多いにあると思います。典型的でないものも結構ありますね。葉の光沢に関しては、ないものも混じりますよ。葉が全体に小さいことがポイントでしょうね。
みかん
2009/04/21 10:06
さなえさん こんにちは。
スミレ図鑑ずいぶんと充実してきましたね。まだまだこれから咲くものもありますから、さらに充実するのでは、と思っています。
みかんももう少し提供できると思いますよ。
さなえさんの畑もいつか機会があれば拝見したいものだと思っています。4月から5月にかけては花も多いですし、野草の散策にはもってこいの季節だと思います。やっと手が空いたというさなえさん、これからどんな花に会えるのでしょうかね。
みかん
2009/04/21 10:16
みかんさん、こんにちは!

春浅い南木曽の渓谷を一緒にドライブしている気分になりました。
>そこにたたずむだけで幸せを実感する。
本当にその通りですね!しみじみと感じます。

ケイリュウタチツボスミレを見極めるのは、シロートの私には少々難し過ぎますが、似たようなタチツボスミレを数年前に八ヶ岳で見ました。
昨年6月、気になって沢沿いを再訪し確認しましたが、それでもいまひとつ自信がありません。
でも、葉の形、距の色、環境など合致しているので、私の中ではケイリュウタチツボスミレということで片付けています(^^ゞ
fu-co
2009/04/21 11:23
fu-coさん こんにちは。
ケイリュウタチツボスミレは特殊な環境に生えますから、それほど同定が難しいスミレではないと思うのですが。fu-coさんなら見分けられるのでは、と思います。宮本さんの所で見ましたが、アケボノスミレ素敵ですね。今の季節はスミレを追いかけるだけでも楽しいですよね。
みかん
2009/04/21 14:07
みかんさん、こんにちは。又お邪魔いたします。
ケイリュウタチツボスミレをしっかりインプットさせていただきます。(^^)
以前にケイリュウタチツボスミレと思い専門の方にお尋ねいたしましたら、普通のタチツボスミレでした。(^^;)
渓流沿いではタチツボスミレと思って見過ごしたりしていたかもしれません。見直せば出会えるかもしれませんね。(^^)
アザミの歌
2009/04/21 16:45
アザミの歌さん おはようございます。
慣れてくるとタチツボとは雰囲気が違うことがわかってきます。渓流沿いのスミレは要注意ですね。葉の形と光沢に注意すれば、見つけられると思いますよ。三重県でも是非見つけてくださいね。
みかん
2009/04/22 08:03
一度、実物を見て、しっかり覚えようと思っていますが、まだお目にかかっていません。
それにしても花が早く,ついてい毛無くなっています。
やまそだち
2009/04/22 21:43
やまそだちさん こんにちは。
今年は確かに早いですね。昨日トウカイスミレの撮影に行きましたが、もうすっかり終わっていて、シコクスミレがかなり咲き出していました。
標高は1100メートルほどあるブナ林下だったのですが、例年だと5月のゴールデンウィークすぎの感じでした。
みかん
2009/04/24 10:12
こんばんは、
先日は私が悩んでいたものを"ただのタチツボスミレ"と教えていただきありがとうございました。
それで、気持ちを切り換えてコメントで教えていただいた中津川に行ってみました。渓流釣りの場所なのですが、咲き残っていたものがあって、葉の大きさは前回のタチツボスミレより小さくて良い感じなのですが、形と光沢がいまひとつ確信が持てないものでした。
来シーズンはもっと下流を含めて探してみようと思っています。
みかんさんも書かれているように新緑の渓流はとても気持ちが良いですね。
ridge_line
2009/04/30 00:12
ridge_lineさん 今晩は。
中津川は間違いなく自生していた場所なので、サツキが咲くような場所を注意して探してみてください。来年会えることを祈っています。
みかん
2009/05/03 19:39

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