みかんの花日記

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zoom RSS 秋の七草B  フジバカマ

<<   作成日時 : 2008/10/30 00:56   >>

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   秋の七草の中で、もっとも見る機会が少ないのがフジバカマである。

   自然に生えている野生状態の花を見たことがある人は、ほんの一握りの人たちであろう。

   そのくらい個体数が少ないのがフジバカマである。

   川の側などの湿り気のある場所に生えるが、生える場所はかなり少ない。

   私がかつて撮影した野生のフジバカマは高知、岡山、愛知、茨城など、かなり局所的である。

   ところが庭にはよく植えられている園芸植物である。

   野生のフジバカマと園芸のフジバカマは微妙に違うところがあり、少し植物を知っている人ならば

   上の画像を見て、すぐ庭に植えられたものだと気がつく。

   野生のフジバカマは花の色が淡く、茎の色はわずかに赤味を帯びるが、ほとんど緑色をしている。

   またフジバカマの特徴は、茎の下部の葉が3深裂する(下の画像)ことだが、日本にあるものでは

   3深裂しないものもある。

   
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   フジバカマは中国経由で日本にもたらされた、とするのが一般的な説である。だが、文献的な確たる証拠があ

   るわけではない。中国にも多く自生するところから、奈良時代以前に中国から帰化した植物と考えられていた

   のである。

   そんなわけで、最近では日本にもともと自生していたのではないか、という日本原産の説もある。

   戦前までは利根川や淀川のほとりなどでは、多くの自生が見られたという。

   
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   「源氏物語」には藤袴の巻がある。

   光源氏の長男、夕霧が玉鬘にフジバカマを贈って求愛する。

   さしずめ、当時のフジバカマは現代のバラの花束のようなもの、かなりハイカラな花だったのである。

   フジバカマは中国で蘭草、香水蘭などと呼ばれているように、生乾きの時に良い香りがする。

   クマリンの香りである。クマリンと聞いてピンとこない人は、桜餅を包んでいるあのサクラの葉の匂い、といえば

   わかってもらえるだろうか。

   ところで、万葉の時代、植物の分類は今ほど細かくなかったであろうことは容易に想像できる。

   身近に咲いていた同じような花は、みんな藤袴と呼んでいたのではなかろうか。

   ヒヨドリバナもサワヒヨドリも、ヨツバヒヨドリも、おそらくすべてが藤袴であったような気がする。

   そのくらい鷹揚なのが万葉人であったと、私は想像する。

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   わかりますか。

   左からヒヨドリバナ、サワヒヨドリ、フジバカマ です。

   これらの花を万葉人が区別していたとは、とても考えられないのです。

   日本には少なくとも3種類の系統の違うフジバカマがあります。

   これはあくまで私の類推ですが、日本に自生していたものが2系統と、中国からもたらされ植物園などで

   栽培されている系統のものが混在しているのではないかと考えています。

   中国産のフジバカマと日本に野生しているフジバカマを標本で比較すると、日本のものは中国のものより

   葉の幅が広い傾向があるそうです。

   私が着目しているのは、山上憶良が遣唐使として中国に渡っている点です。

   この時にフジバカマを持ち帰ったのではないか、と考えているのです。

   その根拠は、万葉集に出てくるフジバカマの歌は、憶良の歌った秋の七草の歌だけで、他には1首もないので

   す。ところが後世の「古今集」以降の八代集になると、なんと12首のフジバカマの歌があるのです。

   現在、植物園などで系統保存されているフジバカマは、当時、外来の珍しい花としてもてはやされたのではな

   いか、と想像するわけです。

   こんなところから、フジバカマは中国から日本に入った、と流布されるようになったと考えるわけです。

   ともあれ、日本のフジバカマ、最近はDNAの解析など新技術も活用されているので、いずれ、しっかりとした

   決着がつくような気がします。

   秋の夜長、こんなことに思いを馳せ、遊んでみるのも一興かも知れません。












   参考までに

   下の画像はヒヨドリバナの花と葉です。日当たりの良い乾いた場所に生えます。

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   次の2枚はサワヒヨドリの花と葉です。より湿り気のある場所に生えます。

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    フジバカマは2008.10.21 知多半島の農家の庭先で
    ヒヨドリバナとサワヒヨドリは2008.10.7 愛知県武豊町の水田脇で

    画像はクリックすると大きくなります。



   次回の秋の七草はハギの予定です。
   

   

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
みかんさん、こんばんは!
ヒヨドリバナは今年、自宅前で生えています。サワヒヨドリは良く田んぼの縁で見かけます。ヨツバヒヨドリは湿地に・・・??確認していませんが。
フジバカマと言うとお店で売ってあるものはほとんどが園芸種ですね。

野生のフジバカマは何故消えたのでしょうか??
この仲間も難しいです。
朝夕、寒くなりました(寒暖の差が大きい)ので風邪にはご注意ください。
かげろうはうっかりして風邪と仲良しになりました。
かげろう
2008/10/30 11:01
かげろうさん こんにちは。
いつも一番乗りですね。朝晩はだいぶ寒さを感じるようになりましたが、あたたかい当地は、これからもまだまだ色々な花が見られます。もうしばらくは花の季節です。ヨツバヒヨドリは高原などのやや標高の高い場所で見られます。
みかん
2008/10/30 14:25
みかんさん、こんばんは。
一度はみかんさんのお供で花探索について行きたいものです。
最近、専門家はDNA鑑定と称して貴重な花穂を切って持て帰るようにと愛好者に進めていると聞きます。根こそぎ持ち帰るよりましですが、今年は3度、花の写真が撮れませんでした。
滝花
2008/11/02 23:12
勉強になります。
フジバカマはもちろんこちらには自生していませんが、憶良が中国から持ってきたのではないかという説・・・おもしろいですね。
ヒヨドリバナは裏庭に生えてきます。
aoikesi
2008/11/05 16:00
滝花さん 今晩は。コメントが遅くなり失礼しました。
しばらく九州を歩いておりました。最近はDNA流行ですが、なんでもカンでもチョン切って持って来い、などという研究者はいないと思いますよ。私の知る学者では、少なくともそんな研究者は一人もいません。自分が撮影しようと、つぼみの時から見守っていた花が、ある日、突然チョン切られていたとしたら、それこそ怒り心頭ですよね。しかもそれが3回も続いたら、この悔しさ、一体誰にぶつけたら良いのやら。私も経験があるだけにお気持ちはよくわかります。
私の場合は根こそぎ消えてしまったのですが。
みかん
2008/11/09 18:03
aoikesiさん 今晩は。
随分寒くなってきましたね。今年は見事な紅葉を見ないうちに冬が来てしまいそうです。ですが、aoikesiさんのホームページで、たっぷりと蔵王の紅葉を堪能しました。ありがとうございました。
みかん
2008/11/09 18:08

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