みかんの花日記

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zoom RSS 秋の七草@   クズ

<<   作成日時 : 2008/09/10 22:25   >>

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 秋の七草とは、ハギ、ススキ、クズ、ナデシコ、オミナエシ、フジバカマ、キキョウの7種のことである。

 万葉集の巻八に山上憶良が詠んだ2首の歌が原典とされる。



 秋の野に咲きたる花を指折りて かき数ふれば七種の花

 芽子が花 尾花 葛花 瞿麦の花 女郎花また藤袴 朝貌の花



 上記の2首がその歌である。

 芽子(はぎ) 尾花はススキのこと 朝貌とは今でいうアサガオではなく、キキョウがそれにあたるという。

 日本の原風景ともいえる秋の七草を、毎回1種類ずつ紹介してみよう。

 初回はクズである。

   
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   山野のいたるところに繁茂するツル植物。太く巨大になる根っこからは葛粉が取れる。

   一般家庭で消費する葛粉は、ジャガイモなどの澱粉を代用したもので、本物の葛粉ではない。

   本来の葛粉は現在でも細々と作られ、医療用や高級和菓子の材料などに利用されている。

   どこにでも生えている雑草とも呼べる草なので、クズを知らない人はいないだろう。

   旺盛に繁茂するので飼料としても利用される。ウサギやヤギの餌として、子供の頃にこの草を刈り取った経験

   がある人もいることだろう。牛馬の飼料としても有効に利用された。

   それにしてもクズの繁殖力は旺盛である。ヤブを覆い、木を包み、衰えることを知らない。

   コンクリートの斜面でも、あっという間に覆いつくす。

   この旺盛な繁殖力に目をつけた国がある。

   アメリカである。

   1930年頃から日本のクズを導入したアメリカは、1953年には年間10トン以上もクズの種子を日本から輸入して

   いる。その目的は荒地の緑化のためである。

   ところが、1日で20センチも伸びるクズは、またたく間に広がり、今では北アメリカ東南部に広く野生化し、

   害草化して問題となっている。

   どうやら日本のセイタカアワダチソウのような感じであるらしい。

   このすさまじい繁殖力、温暖化抑止の切り札にはならないだろうか。

   画像画像


















   日本古来の植物だから、日本の自然に悪影響を及ぼすことは先ずないでしょう。

   クズの花期は8〜9月、今も盛んに咲いています。

   花は葉の陰に隠れるように咲くことが多いので、花の季節に目立たないこともありますが、なかなか美しい花

   を咲かせます。それに香りも素敵です。

   風に乗って漂ってくる香りで、花の存在に気がつくこともあります。

   クズの繁殖は、長く伸びたツルの所々から根を出す栄養繁殖が主ですが、秋にたくさんの種子も稔らせます。

   栄養繁殖と種子繁殖の二刀流。

   しかも、用心深いことに種子にはすぐ発芽するものと、数年後に発芽する種子と、しっかりと別々に用意し

   ているのです。恐るべきかなクズです。


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   クズはマメ科クズ属の植物です。

   花のひとつひとつは蝶形花といって、蝶々を思い出させるような独特の形をしています。

   この花の形は、例え正しい名前を知らなくても、すぐにマメ科とわかる形なのです。

   旗弁と呼ぶ大きな花びらに、クズには黄色い紋があります。

   日本全国どこでも目にすることが出来る植物ですから、いまさらの感がありますが、意外と皆さん

   花を細かく見ていないのですよね。
   
   あなたはクズの花に黄色い紋があること知っていましたか。

   黄色い紋は虫たちに蜜のありかを教える蜜標の役目をしているのです。

   花には蜂類をはじめとする虫たちも盛んに訪れています。


   画像画像






















   クズの花はどこにでもあり、万葉の昔から人々の目に触れてきた。今とさして変わらぬ情景であったことが

   万葉集の歌からも伺い知れる。



   真葛原なびく秋風吹くごとに 阿太の大野の萩の花散る(巻10 作者未詳)



   この歌に登場する阿太は、吉野川に近い山中である。広野をクズが埋め尽くしている情景が見て取れる。

   万葉集にはクズを歌ったものが18首もあるのである。

   またクズの葉裏は著しく白いことから「裏見草」とも呼ばれる。

   裏見を恨みに引っ掛けて「恨み草」として詩歌に登場したこともある。

 

   葛の葉の うらみ貌なる 細雨かな    蕪村




   
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   ともあれ、人々の生活と密接な関係があるクズは、その時代時代の流れとともに、ある時はもてはやされ

   ある時は嫌われ、様々な人の思いと共に生きてきた。

   クズ自体は何ひとつ変わることなく、今の時代も咲き続いている。



   葛の花踏みしだかれて色新し この山道を行きし人あり   河東碧梧桐



   山道にひっそりと咲く花も、都会のコンクリートの壁面やフェンスに絡み付いて咲く花も

   どちらも同じ花である。

   だが見る人の心情によって、花はいかようにも変化する。



   画像画像 






















   最後に、曇天時に葉裏に隠れるように咲くクズと、青空の下で高々と咲くクズを並べて見た。

   あなたはどちらのクズが好きですか。














   画像はいずれもクリックすると大きくなります。
   撮影は2008.9.9 愛知県武豊町で。
   次回はキキョウの予定です。 

   

   

   

   

   

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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
みかんさん、こんにちは!
葛の花は香りが良く、この甘い香りは好きだけど・・・減反地は葛とツルマオで占領されて〜草刈機では追いつかないほど。一度、この減反地を春にトラクターで耕したら・・・沢山の葛が機械に巻きつき、トラクターが壊れるから・・・。
どうしたら、退治できるのか〜除草剤?

秋の七草で元気なのは葛とススキかしら・・・あとの花は少なくなって。
次回を楽しみにしています。
かげろう
2008/09/11 11:18
みかんさん、かげろうさん、こんばんは。
やっかいな葛を町おこしにした石見銀山の御土産で西田葛。
200グラムで3000円といいお値段です。
PCで検索するとでるヒット商品です。
詳しくは見ていないのですが、西田の葛は花が少し違うとか?
定年後のビジネスにいいかもしれません。
滝花
2008/09/11 20:36
今晩は(^^)/~
くず粉を採るには根以外土に触れないようにしないと触れた所から根が出て栄養がたまらないのでくず粉を採るときには樹に巻きついたりしたものを掘り出すと聞いたことがあります。
だから、大きく広がって蔓延った奴はくず粉採りには向かないらしい。
しかも根っこは殆ど木質で作業は大変らしい。
\(‥\ ) (/‥)/金儲けは大変じゃ
アライグマ
2008/09/11 20:56
みかんさん、こんにちは。
今回も身近な葛についての読み応えある記事、ありがとうございます。
最近、高速道路沿いの壁に張り付く葛を見て生命力の強さを感じていました。
アメリカで大繁殖してる事実は初めて知りましたが、日本古来の植物がセイタカアワダチソウのように嫌われ者になっているとしたらちょっと悲しいですね。
葛の花がよい香りがすることも初めて知りました。今すぐにでも嗅いでみたくなりました!!

たんべぇ
2008/09/12 13:11
かげろうさん 今晩は。
農家の方にとっては、やはりクズは厄介物なんでしょうね。クズの根の強大さは知っていましたが、トラクターが壊れるほどとは、ちょっとビックリでした。やはり減反することが最大の敵と思います。
みかん
2008/09/12 17:59
滝花さん 今晩は。
200グラムで3000円ですか。諦めます(きっぱりと)我が家の近くの和菓子屋さんで、日本でも有名な店があるのですが、夏の間だけクズを使った和菓子を作ります。クズを焼いただけのいたってシンプルの和菓子があるのですが、これはお茶会などで特別注文があった時だけに作り、普段は作っていません。少々高いのですが、これは逸品です。
みかん
2008/09/12 18:08
アライグマさん 今晩は。
クズの根っこを全部掘り出すのはとても大変な作業です。未開の地を開墾するようなもので、まさに巨大な木の根っこです。それもあちこち枝分かれしているから並大抵のことでは掘り出せないようですよ。私ならお金貰ってもやらないなぁ。
みかん
2008/09/12 18:13
たんべぇさん 今晩は。
クズは花が咲いていれば、近くを通るだけでも良い匂いがします。香りとしては強い方だと思います。
日本のもので海外で害草化しているのは、クズのほかにもいくつかあります。
帰化植物を毛嫌いする人もいますが、植物に国境はありません。インベーダーの良し悪しはお互い様、といったところでしょうか。
みかん
2008/09/12 18:20

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