みかんの花日記

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zoom RSS イヌコハコベ

<<   作成日時 : 2008/02/26 12:43   >>

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   1978年(昭和53年)千葉県船橋市で初めて採集された。

   最初はコハコベの花弁のないものと思われていたが、その後の研究で染色体数なども

   異なる別種であることがわかった。

   和名は発見の2年後に杉本順一によって付けられた。

   植物の名前でよく使われるイヌとは、まがいものとか、役に立たないものの例えとして使

   われることが多い。本種の場合はコハコベに似ているが、そうではないよ、という意味で

   付けられている。

   千葉県で見つかって以降、またたく間に分布を広げ、関東地方から岡山県あたりまで確

   認されているが、私が思うに、現在ではさらに広範な地域に分布していると思われる。

   というのは、分布の速度が極めて早いのだ。

   イヌコハコベを撮影したくて、東京に出かけたのは2005年だった。東京都内ならどこに

   でも生えている、と聞き及んでいて、実際に東京都港区の街路樹の下で確認していたの

   で、その場所に行って撮影したのである。

   ところがその翌年の2006年に、なんと私の住んでいる愛知県半田市に、突如として出

   現したのだ。前年、家の近くにないかとくまなく探した場所の一角に、忽然と現れたので

   ある。「うっそぉ〜〜」と思わず声に出して叫んでしまった。前年には影も形も見えなかっ

   た場所に、青々と茂っていたのである。

   ほんの一角だけに生えていたイヌコハコベだったが、2008年の春(つまり今年)、生育

   範囲は直線距離にして3キロほど伸びた。種子はコハコベより小さく軽いので、春一番の

   ような風に種子が運ばれるものと考えられる。

   ヨーロッパ原産のこのインベーダーは、じつはちょっと厄介である。典型的なイヌコハコベ

   は誰でもすぐわかるが、ミドリハコベに化けようと姿を変えるものや、コハコベに似せようと

   姿を変えるものがある。ともかく多形なのである。

   画像
























   生える環境は在来のミドリハコベやコハコベより、さらに乾いた環境に適応できるので、

   街路樹の下や敷石の間、バラスを敷いた線路や駐車場、といった土がないような場所で

   我が物顔に繁茂する。上の画像は道路わきの植え込みの縁である。こんな場所に好ん

   で生える。

   イヌコハコベの第一の特徴は、花弁がないことである。

   まるでカメレオンのように色は変わるが、一番のポイントである花弁がないことだけは共

   通している。

   最初に典型的なイヌコハコベを紹介しよう。

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   左画像が花盛りの典型的なイヌコハコベ。右画像のように茎の色が赤紫色をしているの

   が特徴。だがこの姿だけだと、花の咲いていないコハコベとまぎらわしい。

   そこで花の萼片を見る。クリックして大きな画像でご覧ください。

   下の画像の矢印の部分(萼片の基部)が濃紫色を帯びるのが良い目印となる。

   例え花が咲いていなくても、ここの色が濃紫色ならば、それはイヌコハコベと思ってよい。

   
画像










   次に茎の色は緑色で、葉も大きく、萼片の基部も緑色のイヌコハコベを紹介する。

   葉は黄緑色で大きく、見るからに美味しそうに見える。どう見てもミドリハコベのようにし

   か見えない。しかも茎は立ち上がり気味になり、あくまでミドリハコベに似せようとしてい

   るかに見える。インベーダー恐るべしである。

   花弁がないことと、種子に突起がないことを確認しないと、日本在来のミドリハコベと間違

   えてしまいそうである。

   画像画像


























   次にコハコベに化けようとしているのではないかと考えられるイヌコハコベを。

   バラスが敷かれた駐車場の中で撮影した。茎の色は赤紫色でコハコベに近く、葉も小さ

   く濃緑色をしている。だが花弁はなく、萼片にはわずかに色が入る程度である。

   画像画像

























   このようにイヌコハコベは多様である。

   まさにインベーダーと呼ぶにふさわしく変幻自在である。

   唯一共通している点は花弁がない、ということだけである。

   花弁は多くは訪花昆虫のためにある。受粉の仲立ちをしてくれる虫たちを呼ぶために

   植物は様々な工夫を凝らして花弁を作った。

   だがイヌコハコベは、みずから花弁を捨て去った。自家受粉一本やりで多量の種子を作

   ることに徹したのである。虫を呼ぶ必要がないから、花弁はいらないのである。

   事実、花の構造は単純で、5つにわかれた萼に守られて1本のメシベを1〜3本のオシベ

   が囲んでいるだけの単純なつくりだ。

   昼頃に花を見ると、たいていオシベの頭がメシベの頭にひっついている。確実に受粉が

   行われているのだ。オオイヌノフグリなども、そのほとんどが自家受粉だが、昼頃の花は

   まだ左右のオシベは離れていて、メシベに触れてはいない。虫がこなかった花だけが午

   後になるとだんだんとメシベに近づいていって、やっとメシベの頭にオシベがひっつくので

   ある。オオイヌノフグリはこのように受粉する。

   イヌコハコベはおまけに種子が小さく、長さが1ミリ以下である。軽い種子は風を利用する

   ことによって、より短期間に分布を広げる。

   気がついてみたら、日本全国がイヌコハコベだらけになっている日は、あながち遠い日の

   ことではないだろう。

   
画像




   タイプの違う2種類のイヌコハコベが、あたかも別の種類であるかのように共生している。







   (2008.2.21と2.25に愛知県半田市で撮影)

   岡山県以西や関東地方以北でイヌコハコベを見た方がありましたら、是非書き込みをお

   願いいたします。
   

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コメント(15件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは!
イヌハコベはかげろう地には無いようです。茎が赤いのはコハコベで良いでしょうか。又、ミドリハコベは見た事がありません。
参考にさせて頂き、ハコベを注意して観察します。m(_ _)m
かげろう
2008/02/26 19:18
みかんさん こんばんは〜
徒然日記見ていただいて嬉しいですm(__)m
イヌハコベというのがあるんですね
初めて知りました、アオハコベは知ってるのですが、少し違うようですね
アオハコベの方がちょっと繊細な感じですね
イヌハコベはインベーダー並みに変化しつつ繁殖していくのですか
先日イヌノフグリの側にはコハコベが咲いていました
ハコベの仲間はよく似てて難しいですが花弁がないのなら見分けられますね
注意して探してみます
タチハコベも探してみたいと思ってる花です
今年はハコベに注目かなぁ〜(^^)
いっしい
2008/02/26 22:44
 みなさんこんばんは。鎌倉の宮本です。イヌコハコベの記事、興味深く拝見しました。

 皇居のとなりにあり、わたしが普段から観察ポイントの1つにしている都立日比谷公園では、もうひと月もすると、ミドリハコベ、コハコベ、そしてイヌコハコベが散策路わきや植えこみでそれぞれ群落となって花を咲かせているのを見ることができるようになり、少し遅れてウシハコベも咲きはじめます。今や、イヌコハコベは他のハコベ類にちっとも負けないくらいに増えています。10年前はイヌコハコベを見た記憶がない(というかイヌコハコベを認識していなかった)のですが、2〜3年前にはまちがいなく定着していたように思います。なお、鎌倉の自宅周辺では、いまだイヌコハコベを見かけません。

 ちなみに、日比谷公園は植栽された植物だけでなく、帰化植物を中心に勝手に定着した植物もけっこう多いところで、例えばスミレはこれまでに7種を確認しています。機会があれば、みなさんもぜひお立ち寄りください。
宮本
2008/02/27 00:13
こんばんは。
福岡まで侵入しているのかな?見つけたら写真を写して、速攻で駆除しておきます。
ぽんぽこ
2008/02/28 00:30
かげろうさん こんにちは。
今年は色々なものの花期が遅れているようですね。さて、最新のインベーダーはイヌハコベではなく、イヌコハコベです。最初に見つかったものがコハコベによく似ていたので、この名前がつきました。ちょっと紛らわしいですが。
茎の色が赤紫色をしていて白い花が咲けば、まずコハコベの可能性は高いですが、稀にミドリハコベでも茎がうっすらと色づくものもあります。確実な違いは、やはり種子での確認ですね。
みかん
2008/02/28 09:08
いっしいさん こんにちは。
かげろうさんへのコメントでも書きましたが、イヌハコベではなく、イヌコハコベです。似たような名前はややこしいですが、最初にきちんと覚えておかないと、刷り込み現象で、後々までこんがらかることがありますのでご注意ください。
ハコベの仲間はじつにたくさんありますね。そのどれもが、あまり華やかな花を咲かせないので、通好みかも知れません。
みかん
2008/02/28 09:13
宮本さん こんにちは。
職場の近くに観察のフィールドを持つことは楽しいことですね。都心でも結構意外なものが見つかったりして、定点の観察は楽しいですよね。それにしてもスミレの7種はちょっと意外でした。
以前に札幌在住の親しいカメラマンが、東京の線路にタケニグサが生えていることにビックリしていたことを思い出しました。
みかん
2008/02/28 09:21
ぽんぽこさん いつもどうもです。
福岡にも多分イヌコハコベは入っていると思います。関東で見つかったものが分布を広げているのではなく、港の多い九州ですから、すでにこちらから上陸したものがあるような気がします。今やネット時代ですから、植物地理分類学会あたりが一斉調査をしたら、現在の分布がすぐわかるような気がします。
それにしても帰化植物のしたたかさは、引っこ抜いて駆除することによって、さらに分布が拡大するような気がします。特にイヌコハコベのように花期が長く、種子がすぐ熟し、その種子が細かいものは、よほど注意して駆除しないと、かえって種子をばらまくことにつながり兼ねません。その点、オオハンゴンソウなどは人海戦術が物を言うのですけどね。
みかん
2008/02/28 09:34
みかんさん、こんばんは!
イヌコハコベですね。はーい、よく注意して観察しなくては。m(_ _)m

タケニグサは都内の春日通り?の空き地に沢山、3メートルくらいの大きさで吃驚しました。(本郷の病院からこちらの方に用事で出かけた時に)
かげろう
2008/02/28 19:21
 みかんさん、コメントをありがとうございます。ご参考までに紹介すると、日比谷公園で確認しているスミレ7種とは、タチツボスミレ、スミレ、アリアケスミレ、ノジスミレ、ヒメスミレ、コスミレ、そしてアメリカスミレサイシンです。5年かかってこの数になりました。

 最後は帰化種ですから、公園のようなところに現れるのは十分にありえることとして、他の種類もどうもこの顔ぶれからして、芝生を入れ替えたり、植物を植えかえたりしたときに、種子や幼植物がいっしょに持ちこまれ、そのまま定着したものと推測されます。ちなみに、シャガの植えこみにはカテンソウが咲いているなど、ここでは同じようなケースがほかにも見られます。
宮本
2008/02/29 00:50
かげろうさん 今晩は。
そうですイヌコハコベなんですよ。最初が肝心ですからね。
みかん
2008/02/29 19:20
宮本さん たびたびどうも。
スミレ、ヒメスミレ、コスミレ、ノジスミレまでは想像通りでしたが、タチツボとアリアケは予想外でした。帰化のパピリオナケアはまったく想像していませんでした。最近はあちこちで逸出を見かけていましたが、日比谷公園にあるとは。カテンソウなども意外ですね。シャガが高尾あたりから運ばれてきたのでしょうか?
みかん
2008/02/29 19:26
 カテンソウについては、おそらくそんなところだと思います。タチツボスミレも、山のほうから運ばれてきたのでしょう。

 日比谷公園のスミレで数が多いのはヒメスミレ、その次がパピリオナケア、あとは多くはありません。アリアケスミレは一部でかなり増えていたのですが、定期的な除草のせいか、一時ほどではなくなってしまいました。かつてはこんなみごとな個体もありました。ご興味のある方は、アドレスのコピー&ペーストでご覧いただければ幸いです。
http://www.wildplants.sakura.ne.jp/topphotostory8.htm

 以上ご参考まで。話がわき道にそれてしまい、失礼いたしました。
宮本
2008/02/29 23:46
山口県周南市に住んでいます。ベランダのプランターにハコベが生えてきて、いつまでたっても花が咲かないのであれ?と思っていたところ、このページを見てイヌハコベと解かりました。花弁が無いのです。蕾のように見えるのをつぶしてみると種になっています。こんなハコベ初めて見ました。
俳句おばさん
2010/03/02 23:06
俳句おばさん 今晩は。
そうですか山口県でも見つかりましたか。たぶん今では九州あたりでも普通のハコベと同じようにはびこっている気がします。書き込みありがとうございました。ちなみに和名はイヌハコベではなく、イヌコハコベです。
これからも当ブログに遊びにいらしてください。
みかん
2010/03/03 01:36

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