みかんの花日記

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zoom RSS カワチブシ

<<   作成日時 : 2007/10/03 23:18   >>

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   猛毒植物として知られるトリカブトだが、花は紫色でとても美しい。

   花の形を見れば誰もがすぐにトリカブトだとわかる。

   だが、トリカブトの同定(なんという名前のトリカブトか)は、とても難しい。

   素人にはなかなか判断できない。分類が難解な植物である。

   外からは花弁が見えなかったり、生える環境によって直立したり、垂れ下がったり、

   はたまた放物線を描いたり、と、変幻自在で、さながら忍者みたいな奴なのである。

   自然界にある毒では、フグの卵巣に含まれるテトラドトキシンに次ぐ猛毒を持っている。

   植物の中では最強の猛毒成分があり、人の致死量をはるかに超える。

   紡錘形の根っこに、アコニチン系の猛毒アルカロイドを多量に含んでいるが、毒の成分は

   根だけではなく、茎にも葉にも含まれている。

   小さな葉をたった1枚だけ食べたウサギは、数時間後に息絶えた。そんな悲しい体験を

   持つ私は、中学1年生の時に、しっかりとトリカブトの葉を覚えた。

   トリカブトという名前は、花の形が烏帽子に似ているので付いた名前である。平安貴族や

   神主さん、雅楽の奏者などがかぶっている帽子のことである。

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   この花の形を烏帽子に見たてて
   トリカブトという名前がついた。















   またトリカブトの名前に○○ブシとか、○○ウズとつくのは、根っこの周りにつく子供の

   根、附子(ぶし)による。この塊茎は烏頭(うず)とも呼ばれ、生薬の原料となるのは

   この根っ子の部分である。

   今回紹介するカワチブシは、大阪と奈良の県境にある金剛山で最初に発見されたので

   地名の河内をとって名前がつけられた。花柄やオシベが無毛なのが、特徴のひとつだが

   前述したようにトリカブトの同定は難しいので、今回は花の構造について説明しよう。

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   先ず左画像を見てください。花を正面から見たものです。

   次に右画像を見てください。花を側面から見たものです。

   トリカブトの花の構造は、頂蕚片がひとつ(頭にかぶっている帽子のようなもの)

   側蕚片がふたつ(左右からオシベとメシベを抱いている)、と下蕚片がふたつ(下に伸び

   ている先のとがったもの)からなっています。

   これが一般に認識されている花です。

   花弁は頂蕚片の中に隠れていて、外側からは見えません。

   それでは頂蕚片と側蕚片を外して、花弁を見て見ましょう。花弁はふたつあります。

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   右画像のタツノオトシゴのような奇妙な形をしたものが花弁です。

   側面から写しているので、ひとつしか見えていませんが、同じものが2個並んでいます。

   後ろにくるっと丸まっている部分が距(きょ)で、ここに蜜を分泌します。

   トリカブトの花を眺めていると、大きなマルハナバチが花の中にもぐりこんで行くのが見ら

   れますが、マルハナバチの類は、口がストローのような形をしているので、トリカブトの蜜   

  を吸うには適した形をしています。オシベやメシベを足がかりとして蜜を吸うので、見事な

   までの花粉運搬人として、受粉の役割を担っているのです。

   
   ところで、距から分泌する蜜ですが、人間の舌でなめても、ほんのりと甘く感じられます。

   私は観察会の時に、参加者に蜜をなめることを勧めるのですが、いまだかつて、誰一人

   としてなめた人はおりません。

   皆さんトリカブトは猛毒を持っている、と言うことを知っているので、誰も手を出そうとしない

   のです。余談ですが、ごく稀には無毒のトリカブトも知られていますが、やはりトリカブトは

   猛毒、と思っていた方が安全です。

   長くなりそうなので、細かいことは後の機会に譲りますが、同定のポイントのひとつ、花柄

   は常に見る習慣をつけておきましょう。

   トリカブトの同定は、先ず葉を見ます。葉の切れ込みがいくつあるかが大事なのです。

   次に花柄を見ます。無毛か有毛か。毛が生えていたら、その毛はまっすぐか、曲がった

   毛かを見ます。次にオシベを見ます。無毛か有毛か、有毛ならその毛の種類は、という

   ように次から次へと調べていかなければ、なんという名前のトリカブトかわからないので

   す。花弁の形、上蕚片の形、など色々な要素を調べなければならないので、トリカブトは

   同定が難しいのです。

   初心者のうちは花柄が大事、と先ず覚えておきましょう。

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   花の色も同定には役に立ちません。

   上の画像はどちらもカワチブシです。日本人でも色の白い人と黒い人がいるように、花の

   色には濃淡があり、たまには純白のトリカブトも見かけます。

   下の画像は三重県の藤原岳の7合目付近の樹林下で撮影したカワチブシですが、同じ

   ものが、日当たりの良い草原に生えると、花茎は直立してアシブトウズという、全く別物

   に見える形へと変化します。

   トリカブトは忍者みたいに変幻自在な奴、とも覚えておきましょう。

   
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クリックすると画像が大きくなります。花や葉の細部を見たい時にご利用ください。

(画像はいずれも三重県藤原岳で 2007.9.29 に撮影)    


   

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
開設2ヶ月、おめでございます。
トリカブトの美しさに魅かれる者としてコメントが無いのは不思議です。
遅くなりましたが、少しコメントさせてください。
同定は常に悩みますが、みかんさん同様に先ず、葉の切れ込み、花柄の毛の有無(屈毛・開出毛)、雄しべの毛の有無(屈毛・開出毛)で判断しています。
もちろん、産地は重要なポイントです。
花柄に開出毛と屈毛が混じっていたらお手上げです。
雑種と思いながら、先に進みません。
来年はみかんさんに見ていただきたいと思います。
トリカブトの仲間で最も分かり易いのはサンヨウブシでしょうか?
サンヨウブシには自信があります。
上州花狂い
2007/10/10 21:10
こんばんはみかんさん、上州花狂いさん。
トリカブト、美しいことには間違いないのでしょうがミスリードされたイメージのせいと、同定の難しさから花好きの仲間の中でも今ひとつ反応が良くないですね。^^
ここ広島で見られるものといえばタンナトリカブトとサンヨウブシぐらいです。中国山地で今年ようやくサンヨウブシを見ることができました。花の前から葉の様子でチェックしていましたが、花の時期まで待ちきれず、葉を少し千切って舌の上に乗せて見ました。(大丈夫だったです。でも真似しないでください)実は今年、四国の山中でナベワリの撮影をしていたところ、不意にシコクブシの葉が口の中に入ってしまいました。そしたらすぐに舌がビリビリしびれ始めトリカブトの葉だとわかっているものですから余計に動悸まで激しくなってしまって。野草撮影が昂じて四国の山中で朽ち果てるのかと焦ったものです。^^;
すや@広島
2007/10/11 00:04
上州花狂いさん 今晩は。
秋も深まって、日暮れが早くなりました。ちょっと遠出をしていると、すぐに真っ暗になってしまいます。
 さてトリカブトですが、花に興味のある人は結構多いような気がします。みなさん敬遠してるだけのような・・・。猛毒植物だからこそ、私はより多くの人に知って欲しいと思っています。最初は正確な名前がわからなくても良いから、花に興味を持って近づき、少しずつその違いに気が付けば、と思っています。
みかん
2007/10/11 18:50
すやさん今晩は。スゴイ(怖い)経験をしましたね。
舌がビリビリですか、私は蜜はなめても葉を噛む勇気はありません。
トリカブトはさすがに分類は難しいですが、地域を限定すれば、それほどたくさんの種類があるわけではないので、自分の住んでいる所のトリカブトを先ず知ることが大事ですね。それと識別点を必ず見るクセをつけておけば、後から調べることも可能です。第一歩を踏み出さないことには何もはじまりません。
それに、春の芽だしの頃はニリンソウとよく間違えられるので、特に山菜を採って食べるような人は、葉をしっかり覚えて欲しいと思っています。
画像は春に葉がいっぱい出ていた所を覚えていて、花の撮影に行きました。こんな探し方もできるわけです。
みかん
2007/10/11 19:01

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