みかんの花日記

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zoom RSS 沖縄番外編  小さな谷の小さな旅

<<   作成日時 : 2007/09/19 19:25   >>

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   抜けるような青い空  そよぐヤシの葉

   真っ赤なハイビスカスの花

   エメラルドグリーンの珊瑚礁の海

       誰もが思い描く沖縄のイメージ

   確かにこれらは、ある意味で沖縄を象徴している。

   晴天ならば、珊瑚礁の海はまばゆいばかりである。これはまぎれもない事実。

   だが、南国をイメージする様々なヤシ類は、その大部分が沖縄には自生していない。

   どこにでもあるハイビスカスやブーゲンビレアも、植栽されたもので、沖縄にもともと
   
   生えていた自生種ではない。

   旅行会社やマスコミが作り上げたイメージである。

   沖縄の自然の本当の姿を見たかったら、今や名護以北に足を向けなければならない。

   ヤンバルの森は、今も豊饒の森である。

   だが、この森は、皮肉なことに、米軍の基地があることによって守られたのである。

   
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   東海岸に流れ出る小さな沢に沿って、車一台がやっと通れるような細い道が

   谷の奥へ、奥へと続いていた。

   ヒカゲヘゴがばさばさと茂る森の下には、透明な水がサラサラと流れている。

   一見すると自然な感じに見えるこの風景も、下草には結構帰化植物が混じっていて

   唖然となる。一日借りたレンタサイクルにまたがって、キコキコとペダルをこぎながら

   簡易舗装のでこぼこ道を進む。

   吹き出た汗で、もうTシャツは泳いだ後のようにぐっしょり。その時、視界にチラリと白い

   花の塊が目にはいる。「アッ、ヤンバルセンニンソウ」と思わず声に出して、急停車。

   沢が蛇行しているわずかな平らに作られたサトウキビ畑の縁を通って、花に近づいた。

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   本州のセンニンソウと比べると、ひとつひとつの花がかなり大きく、葉は厚く光沢がある。

   山の斜面が、畑で途切れるあたりに、上の木の枝から垂れ下がって、ヤンバルセンニン

   ソウは咲いていた。花を撮ろうと近づくと、今まで気が付かなかったが、足元にはたくさん

   のハシカンボクが咲いていた。ほんのりとピンクを帯びた小さな花、どの葉を見ても、かな

   り虫に食われていた。葉脈だけ残って、斬新なデザインにも見える。

   この葉だけを好んで食べる幼虫でもいるのだろうか。

   
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   帰りぎわ、沢の中に何やら動くものがいる。じっと見ていると、水草の中からヌッと黒い

   ハサミが飛び出した。テナガエビだ。

   しかも大きい。全長20センチを超えているだろうか。捕まえたい。

   いきなり少年の頃の自分に戻る。

   そぅ〜〜〜っと近づいて、尻尾の方から胴体をつかむべく、手をバシャっと水の中へ。

   瞬間、テナガエビはものの見事に、スィーッと後ずさりするように、深みに消えた。

   お前なんかに捕まらないよ、とあざ笑っているかのように。

   くやしいな、と思いながら流れに目を凝らすと、結構黒いその姿が、まるでかげろうのよう

   に流れの中で揺れていた。

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   ぽつんぽつんと人家が現れ、バナナが数本植えられている。明らかに自家用であること

   が見て取れる。いきなり犬に吠えられた。ビックリした。

   ゴメン、怪しい者ではないから、なんて口の中だけで言い訳をする。

   谷が少しずつ深くなってきているのがわかる。

   どの家の生垣も真っ赤なハイビスカスが花盛りだ。花柱がスーッと伸びたこのタイプは

   フウリンブッソウゲ(風鈴仏桑花)の名で呼ばれる。右画像のようにオシベが弁花した

   花も見られた。

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   ハイビスカスの花を撮影していたら、車が一台やってきた。道脇に停めた自転車が気に

   なって戻ろうとしたら、その車を運転していた地元の人とおぼしき人は、軽く会釈して通り

   過ぎて行った。こちらもあわてて頭をさげる。

   普段はよそ者など、先ず訪ねることがないであろう場所だけに、なんだか嬉しかった。

   山がいよいよ迫ってきた。

   この奥に、もう人家はないのだろうか、道がかなり荒れている。

   サトイモのお化けのような、傘の代用にもなりそうな大きな葉を広げているのは

   クワズイモだ。沖縄の山中ではごく普通に目にするが、都会では観葉植物として売られ

   ている。

       
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   これより奥は水源地のため、立ち入り禁止、という看板が道の真ん中で通せん坊して

   いる。もう少し奥まで行きたい気持ちを振り絞って、ここでUターン。

   帰りは下り道なので、ほとんどペダルをこぐ必要もなく、ブレーキだけでスイスイ。

   周りの景色に見とれていると、水溜りにハンドルを取られ、思わず転倒しそうになる。

   自転車を斜め45度くらいに倒して、そこで気がついた。

   アレッ、可愛いね、君。名前は知らないけれど、きっとなんとかマイマイだね。などと

   独り言を言いながら、小さな小さなカタツムリを写す。

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   風を切る。深い緑と、青い空を眺めながら、風を切る。

   耳元でびゅんびゅんと風がうなる。

   サトウキビ畑の近くまで戻ってきて、急ブレーキをかける。

   白く乾いてまっすぐに伸びる道を、横切る小さな虫に気がついた。

   意外と早い。自転車を停めて、背をかがめてその虫を見る。

   アャーなんとまぁ ナ ツ カ シ イ ・・・・・・・・。

   親指と人差し指でその虫をつまみあげて、また私は少年に戻る。

   
   中学1年生のわんぱく盛り、ワルガキ仲間数人と、その虫をつまんで

   「A君のチンポはどのくら〜〜い」と呪文のように唱えると、その虫はモグラのような

   小さな両手を必死に動かして、あたかも、このくら〜〜い、とでも答えるようにピタッと

   静止する。それが面白くて、ゲラゲラ笑いながらこの虫とたわむれた。

   
   オケラ すかんぴんのことではない、この虫の名前である。

   バッタ目ケラ科の昆虫である。体長3センチほどのコオロギに似た虫である。

   普段は土の中で生活し、夜は「じいい」と鳴く。俳句の夏の季語でミミズ鳴く、というのは

   じつはオケラの鳴き声なのである。

   
   今の子供達は、こんな虫と遊ぶことはないのだろうな、などとふと現実に還る。

   手にしたオケラをそっと地面に戻し、私はまた自転車に乗る。

   風が、ことのほか気持ちいい。

   小さな谷の、たった半日の旅、もう少しで2車線の県道に出る。

   この谷の入り口付近には、オオシマコバンノキの赤い実があった。

   最後にそれを写してから、宿に帰ろう。

   宿への道は長い上り坂、自転車を降りて押しながら、心地よい疲労感に浸っていた。

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      長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。
                       (2007.9.11 沖縄県の小さな谷沿いで)

   

   

   

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
みかんさん、こんばんは。Yasukoです。沖縄番外編、楽しく読ませていただきました。みかんさん、気分はすっかり少年時代ですね。やんばるの森では私もたくさんの珍しい動植物に会うことができました。あんまり会いたくないヒメハブさんもいましたが。また行きたいものです。ところで今回これは携帯で読ませていただきました。りっぱに写真も見られます。私は、自分のブログはテキストのみなら携帯で更新することも多いです。パケ放題がありがたいです。
Yasuko
2007/09/19 23:22
ヤンバルのサイクリング取材記を興味深く、拝読しました。
今年3月に訪れた光景が、目に浮かびます。
橋の上から撮ったヒカゲヘゴやキノボリシダなどは今冬アップします。

昨日は渡良瀬遊水地に行って来ました。
ワタラセツリフネソウ、タヌキマメは最盛期です。
ナガバウナギツカミ、ハタケテンツキは咲きはじめでした。
ミズマツバは10年ぶりの撮影です。
上州花狂い
2007/09/20 09:38
Yasukoさんへ

毎月の携帯の利用料金が、ん万円になって、ちょっとビビリました。
それで私もパケ放題に変えました。今月は1万円程度ですみました。
普通だと8万いくらだと、参考に書いてありました。これにもビックリ
ですが、携帯は必需品ですが、電話としてはあまり利用してません。


上州花狂いさんへ

ワタラセツリフネソウはまだ4タイプ全部を写していないので
いずれまた行きたいと思っています。それにしてもミズマツバ
の復活は嬉しいニュースです。私は明日は伊吹山の予定です。
みかん
2007/09/20 22:28

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